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プロローグ①
いつだってレオンがいてくれた。どんなときも。
だから寂しくなかった。
………
……
…
それは突然だった。
「婚約破棄だ」
用があると婚約者であるレグリス殿下に王城に呼びされて、彼の執務室へと行った。私を呼び出すなんて珍しいと思って行ってみたら、
「そしてぼくはこのエリザベスと新たな婚約を結ぶ!」
レグリス殿下と私の腹違いの妹ーーエリザベスがいた。そして突然の婚約破棄。混乱。
「なっ」
「なぜといいたげだな。この詐欺師が」
なんでーー聞こうとしただけなのに喋るなと言いたげに遮られ、睨まれた。
「よくも我々を騙したな!ニセモノの聖女の分際で!」
殿下の怒りは収まらず燃え上がる。
(ニセモノの聖女?騙した?)
何がなんなのかわからずにいると
「お姉さま」
殿下の隣にいるエリザベスがニッコリと微笑み、私に右手の甲を見せてきた。
「……え」
その手甲には
「私が真の聖女だったのです」
聖女の証である紋章が浮かんでいた。
(うそ……)
その日、私は国中を欺いた罪により国外追放となり、魔の森に放り込まれ、彷徨った末に私は倒れた。




