第6話 不死者の拠点 -2
第6話 不死者の拠点 -2
「女!女だ!近づけるな、あの女たちを遠ざけろ!」
教会堂内で全裸の神父が怒鳴るように叫んでいた。
その直後、彼は振り向くと嘔吐を始めた。
「ここの神父なの……?」金髪の女性が呆れたように彼を見つめた。
「さっきまで床に倒れた男に……(自主規制)」傍らの執行官が報告した。
「これが神父……?」女性は再び理解に苦しむ表情を浮かべた。
政府組織『執行者(The Enforcers)』は、日常的な能力者騷動に対処する執行官(Enforcer)たちで構成された警察類似部門だ。
「あの子を呼んでこい」金髪の女性が指示した。
「それは……?」
「ミネメのあの子よ。また出勤日を忘れてるに決まってる」
「了解しました、長官」傍らの青髪の男性が答えた。
「神父は連行して尋問を」
「床で眠ってる男三人は?」不明な白い液体が付着していた。
「はあ……連行して」彼女は諦め顔で言った。
「私は不死者の連中から状況を聞いてくる……」
そう言い残し、教会を後にした。
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『不死者(The Undying)』は政府の秘密組織で、一般には知られていない。
メンバーの能力は全て不明で、コードネームは能力名ではなく色で区別される。
数年前に新加入した一人の少女だけが例外で、対外コードネーム『消去(Erasure)』、内部では『灰色(Gray)』と呼ばれ、不死者が特別に育成した能力者だ。
(前に会ったことがある……)
灰色の髪の少女と、傍らに立つ灰色の髪の男性。
(あの少女は能力者の能力を"消去"できるかどうかをテストするために来た……)
当時のテストで、彼女は確かにほぼ全ての『執行官(Enforcer)』の能力を消去した。
(一部の能力だけは消せなかったが……)
その後は『監視員(Watcher)』として、コードネーム『消去(Erasure)』で活動している。
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能力は三種類に分かれる:物理系、精神系、そして最も理解・使用が難しい概念系。
私は不死者の拠点の入り口に立っていた。
(まさか不死者全員が概念系能力者なのか……)
ドアを開けると、目に飛び込んできたのは——
(伝説では概念系能力者は人類文明を覆すことができると……)
完全体ならば滅ぼすことさえ——
「XXに付き合うって言ってるのに、なんで他人を探すのよ!」
灰色の髪の少女が大声で言い放った。
「XXが分からない人とするのは、欲望が湧かないわ」
翡翠色の髪の少女が返した。
「なに……!!」灰色の少女は不機嫌そうに言った。
「外で誰かとXXしてくる」翡翠色の少女が宣言した。
「XXを教えてくれれば分かるって言ってるでしょ!」灰色の少女が叫んだ。
「穏やかな午後を、未成年少女たちのXX談義で過ごすとは……」
入り口に立った彼女は呆れ顔で額に手を当てた。
「全部イヴがXXを教えてくれないからよ!」灰色の少女が指輪を掲げた。
『未成年は閲覧できません』システム画面が表示した。
「ほら!なんで成人限定情報なんてあるのよ!」
「でも、気になる……」思索に耽る。
「一人で考えてなさいよ」翡翠色の髪の少女が彼女の傍らを通り過ぎた。
「知らなくていいことよ……」小声で呟いた。
「別に良いことじゃないんだから」
「あ、待って」灰色の少女が彼女の手を掴んだ。
「あなたが何かしたら、私がレッドに怒られるんだよ」
「考えただけで……」恐ろしい。
彼女の震える身体から、何を恐れているのか誰も知る由もなかった。
「『消去(Erasure)』」入り口の金髪女性が声をかけた。
「メッセージも返さないなんて」と不満をこぼす。
「あ、『束縛(Bind)』……」灰色の少女が彼女を見た。
金髪女性、コードネーム『束縛(Bind)』は政府機関『執行者(The Enforcers)』所属の執行官だ。
「メッセージ……?」インターフェースを確認する。
「いや、今忙しいの!」逃げようとする少女をしっかり掴んだ。
「完全体の監視任務を私に押し付けるなんて、おかしいよ」
「ブラック組織!」灰色の少女が叫んだ。
「完……完全体……」彼女はその場に凍りつき、引き止められている少女を見た。
突然、少女が振り向いて彼女と目が合った。
「まさかこれは……」服の裾を握りしめ、体に妙な感覚が湧き上がる。
「どうしたの?」灰色の少女が尋ねた。
「あ、そういえば前に女の暴動も彼女のせいだったっけ……?」
「人を暴動に駆り立てる、この『色欲(Lust)』って何の能力?」灰色の少女が言った。
(色欲!?)金髪女性は膝から力が抜け、赤面しながら少女を見つめた。
「イヴに聞いても教えてくれない」未成年閲覧禁止。
「危険な能力だってだけ」
(色欲……色欲ってまさか!?)金髪女性は少女の瞳を見つめ、胸の奥が揺さぶられるのを感じた。
(いや、彼女は未成年の少女よ。私が未成年の少女にそんな……!)
心の中でそう思いつつ、体の奥底の欲求を抑えきれない。
「ふう……」少女がゆっくり口を開いた。
「処女なの」少女は彼女を見てがっかりしたように言った。
「え!?」
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「ここは処女かニューハーフばっかり……」少女は諦め顔で言った。
ニューハーフ、男女の区別がつかない身体。
「処女?」灰色の少女が首を傾げた。
「イヴ、処女って何?」指輪に尋ねる。
『未成年は閲覧できません』システムの声。
「なんでよ!」
「外で女とXXしてくるから、放して」振り向いて言い、手を振り払う。
「教えてくれれば付き合うって言ってるでしょ、XXって何なのか!」それと処女って何なのか。
再び言い争いが始まった。
突然、一つの拳が二人に向かって振り下ろされた。
「うるさい!」レッドが現れた。
「こ……こいつのせいで……」灰色の少女が言い訳する。
「監視しろって言っただろうが、入り口で騒ぐな!三階まで声が聞こえてたぞ」
「子供か!」大声で怒鳴った。
「どっちが大声だよ……」小声で呟く。
(それに私は子供で間違いないし……)
未成年なんだから、情報制限されて当然でしょ。
「それとお前、『色欲(Lust)』」翡翠色の髪の少女を指差す。
「許可なしに拠点を出るな」少女に言い渡した。
「そんな呼び方やめて」少女は嫌そうに言った。
「ここでは全員能力名で呼び合うのがルールだ」
「だが、不死者の一員として、色のコードネームを考えてやろう」
「能力名が外に知れたら社会がパニックになるからな」
「普通は髪色で決めるが、緑は既にいるし……」
ふと入り口の金髪女性を見る。
「マーロじゃないか!」不審な笑みを浮かべた。
組織コードネーム『束縛』、本名はマーロ。
「レッド……」彼女は困惑した表情で見つめた。
「失礼します!」逃げようとした瞬間、レッドに進路を阻まれた。
「白から聞いたわ、子守りを手伝ってくれるんだって?」金髪女性の肩を掴んで言った。
「そんな約束してません……」手を振り払おうとする。
二人の押し問答が続いた。




