第10話 人格判定
第10話 人格判定
「わからない……」灰色の髪の少女は困惑した表情で言う。
「つまりこれはXXで、この白いのはXXで、男と男だとXXってこと?」
灰色の髪の少女は聞いた内容を復唱する。
「そんな感じだね……」彼女は顔を真っ赤にしながら答える。
「もう一回説明して!」灰色の髪の少女が期待に満ちた目でせがむ。
「もう勘弁して!」
(なんで私が未成年にこんなこと教えてるんだ!)精神的に限界が近い。
「お風呂から上がったみたいですよ」白が言い、ロボットに抱かれた少女を見る。
「髪の毛を整えてあげて」白が不揃いな髪を撫でる。
一刀両断にされたような跡が残っている。
『承知しました』ロボットが返事をし、少女を抱えたまま移動する。
「髪を切るロボットまでいるの!?」灰色の髪の少女が興味津々で見つめる。
「こっちの話を聞きなさいよ!」金髪女性は真っ赤な顔で言う。
「説明がわかりにくすぎる……」灰色の髪の少女は嫌そうな顔をする。
「私はたくさん厳しい教育を受けてきたのよ!」物理も化学も生物学も精通している。
「もっと詳しく説明してもいいわよ」
(こっちは必死なんだってば!)
「そんなに勉強して……人体機能は学ばなかったの?」
「いろんな人体器官は知ってるよ。大きな臓器から、神経、骨格構造まで」
「中身すぎる……」別の意味ですごい。
「じゃあ……男女の行為とか、子供を作ることとかは?」
「前にこの街の出生率を上げるべきかどうかの研究レポートを書いたことある」
「いや……何を学んできたんだ」
「そんなに複雑な話じゃなくて、もっと……快楽行為みたいなものかしら……」説明に苦慮する。
(単純に?こんなこと単純に説明できる?)
「レジャーみたいな行為ってこと?」
(そんな説明でいいのか!)誰か助けて。
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「とにかく、これで完成だね」
報告書(抜粋):
私が3人の男を気絶させようとした時、彼らは色欲能力の影響で簡単に制圧できなかった。
その時、教会の神父が睡魔能力で3人を眠らせ、その後その3人にXXX(放送不可の内容)を始めた。
「やっと終わった」灰色の髪の少女は喜んで画面を見る。
「提出!」報告書が送信される。
金髪女性は虚脱状態で座っている。
「ありがとう、ついでにもっと教えて!」
灰色の髪の少女は興奮してせがむ。
「男同士、男女、女同士の交流行為も説明して!」
聞けば聞くほど興味が湧いてくる。
「もう勘弁……家に帰りたい」力なく呟く。
「そうだ、報告書出したんだから帰っていいよね!」
気力を振り絞る。
「あの……お茶ありがとうございました。そろそろ……」微笑みかける。
「そうだ、検察官様」白が口を開く。
「『守護者(The Warden)』にならないか考えたことはありますか?」
微笑みながら彼女を見る。
「え……でも私の守護者テスト結果は『不適格』でした……」
守護者は都市の高危険度能力者を扱わなければならない。
(今の能力じゃうまく使えないし……)
指揮能力と文書能力の評価は高かったけど。
「守護者の判定基準は『能力』と『人格』です」白が説明する。
「そしてあなたの人格は、システム判定で高得点でした」
「マジで……」初耳だ。
(心理テスト(筆記)と面接(口頭試問)が山ほどあった記憶しか……)
「私、本当に守護者になれるんですか……」
末端の雑用と文書処理ばかりの使いっ走りから解放される!
彼女は期待に満ちた目で眼前の『管理者(The Manager)』を見つめる。
「ただし、能力はまだ伸ばす必要がありますね」
(やっぱりね……)
「あなたには刺激が必要です。そうすれば能力もっと発揮できますよ」白が言う。
(刺激?どんな刺激が必要なの?)
白は手を上げ、ダイヤモンドの指輪がきらめきながらウィンドウを表示する。
「この子の家庭教師をしばらくお願いしたいのです」白が告げる。
「え?」困惑しながら、震える指輪を見る。
「見てもいいですよ」白は微笑む。
彼女が手を上げると、前方に画面が投影される。
『管理者(The Manager)』からの任務
毎週水曜日午後3時、不死者拠点で教育指導を実施すること
任務レベル:拒否不可
「これは……」金髪女性は複雑な表情で任務画面を見る。
「グレイ、この執行官様、これから毎週水曜日に教えに来てくれますよ」
「本当!?」
「だから今日は帰してもらいましょう」
「わかった、白がそう言うなら……」
「また来週」楽しそうな笑顔を見せる。
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彼女は放心状態で、不死者の拠点を後にする。
「レッドがもうすぐ戻りますよ」白が言う。
「マジで?私が三階に来たのがバレたら……」
考えるだけで恐ろしい。
「部屋に逃げよう……いや、この時間なら拠点から脱出した方が……」
「でも相手はレッド……」逃げ切れる?
1ヶ月経っても追いかけ回される。
「どうしよう……」深く考える。
「ついさっき自分の指輪で機械を起動しちゃったからな」
初めてじゃない。
「『無』の指輪を使えばよかった……」
「でも最近あいつ指輪をよく隠してるんだよな……」
「でもこんなの簡単さ!」
「あいつの指輪を見つけるなんて朝飯前!」
「でも問題は機械に私の名前が記録されてることだよ!」
「どうしよう!どうしよう!」
「なんで私の能力で機械の記憶を消せないんだよ!」
「グレイ……」赤髪の女性が入り口に現れる。
「で、出た!」灰色の髪の少女は振り返り、緊張した面持ちで見つめる。
(まだ戻ってくるって言っただけじゃないの!)もう三階にいるじゃないか!
「消去!」彼女の体は素早く下降し、三階の床をすり抜ける。
二階へと逃げ込んだ。
「あらら~」白はのんびりと紅茶を手に取りながら。
「おかえりなさい、レッド」
「ただいま」不機嫌そうに部屋に入る。
「なんで三階の防御システムを切ったの、白?」
テーブルのクッキーをつまみながら尋ねる。
「『無』には効かないけど、他の人の動きは把握できるでしょ」
そうすれば『無』がいつ設備を使ったかも特定できる。
「この時間帯はシステムが『故障』するんですもの~」
楽しげに言う。
「はあ……」クッキーを噛みながら、頭を掻く。
「他人を三階に上げるなって言っただろう」
ソファーで眠る緑の髪の少女を見やる。
「影響を受けたらどうするの?」
「私が影響を受けるはずないでしょう」白が言う。
「それはあなたもよくわかっているはずよ、レッド」
レッドは白の前に進み出て、手を伸ばす。
「心配しないで、逃げたりしませんから」白は微笑む。
見えない白い瞳を開いて、彼女を見つめる。
「でも私が不安症なのも知ってるでしょ」
レッドは椅子の背もたれに手を置く。
突然、灰色の髪の少女が再び部屋の入り口に現れる。
「え!?」本人も驚いている。
「おかえり、グレイ」レッドは不敵な笑みを浮かべる。




