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ベテランの意地

 《逃すか!》



エリアルフェンリルがエリアルワルキューレに向かってライフルを発射する。



エリアルワルキューレはエリアルガスターを抱えたまま避ける。



《ちっ、ちょこまかと!》



さらにスピードをあげようとした時、視界の端にチラリと白いものが見えた。



身体が勝手に操縦桿を動かし、コースを変えた。



高威力のレーザーがエリアルフェンリルを掠める。



《バーストマグナムか?鬱陶しい》



銃撃の方を向いてライフルを構えて驚く。



《フ、ファンネルだと?》



白い筒状のファンネルが縦横無尽に飛び回る。



《あらかじめファンネルを射出しておいたのか、私が追ってくることを予測して》



エレンがヒートアックスに換装する。



《さっきのレーザー、ファンネルで出せる威力じゃないはずだ、ピースコンパスの新型アーマードスーツってとこかしら》



《ごめん、ヨッシーを頼むね》



アテナが手の空いた味方にエリアルガスターを引き渡すと、エリアルフェンリルのもとへ舞い戻った。



《奴1人に我々が全滅させられるかもしれない。お前はここで墜とさせてもらう!》



エリアルフェンリルとエリアルワルキューレが打ち合う。



二人の周りをファンネルが飛び交う。



《ファンネルの基本性能まで上なのか?》



エレンが言葉を洩らす。



エリアルフェンリルとエリアルワルキューレが戦場を転々としながら斬り合いを続ける。



一方、リンナ達もネオ・プライマルに対して果敢に戦っていた。



「ええい!」



エリアルシャッターが敵の腕、胴を切り払う。



そのまま後ろを向いて、敵のエナジーブレードを受け止める。



火力支援装備に付与されているリニアキャノンを起動して至近距離から撃ち込む。



弾頭は敵を貫通し、別のアーマードスーツの胴体を貫いた。



《慣れてきたか?》



バリーが尋ねる。



「ええ。負ける気がしませんよ!」



リンナが自信満々に宣言する。



《すーぐそうやって調子に乗る》



バリーが呆れる。



《にしても、ハナサギが戻ってきたのはありがたいな》



ハルヒが言う。



《え、翼赫く無いですよ?ほんとにハナサギなんですか?》



ヨシオが困惑する。



《そう言えばアテナが見当たらないわね、ノアの方舟は到着してるみたいだし....ちょっと待って》



ハルヒが唖然とする。



《俺と同じこと考えてるみたいだな》



バリーがフッと笑みをこぼす。



「えー、あれアテナちゃん?」



たまげたなぁ、あんなに凄いとは。



「私も負けてられないね」



《アレに並ぶつもりか?》



バリーが呆れる。



《まず目の前の敵に集中しろ》



そうだ。まだまだ敵はいる。



油断はできない。



そう、油断は出来ない。



《機体性能では私が優勢だけど、技術でこいつに負けてる》



エリアルワルキューレの振り下ろした一撃をエリアルフェンリルがヒートアックスで弾く。



《攻撃も弾かれるようになってきた。さすが、ベテランの意地ってとこかしら!》



2機のスピードがさらに上がる。



《こっちは5年近くスペースウォーリャーズやってんだ、老兵舐めてもらっちゃ困るなぁ!》



目にも止まらぬ攻防が火花を散らす。



ファンネルの動きがより激しくなる。



何度も鍔迫り合っては離れを繰り返し、蹴りを入れたりもする。



泥臭い戦いが繰り広げられる。



《ったく、どんだけタフなのよ》



アテナが愚痴をこぼす。



《動きが少し鈍くなった、この調子なら》



エレンがバーストマグナムを装備する。



ファンネルを周りに集め、一斉に射撃した。



エリアルワルキューレが縦横無尽に回避する。



《くっ、こっちだって!》



5基のファンネルがレーザーを発射する。



《なんなんだこの威力!》



掠っただけで爆発したファンネルを見てエレンが困惑する。



《決定打にならないなんて、やっぱり近付くしかない!》



エリアルワルキューレが激しい射撃の波を縫うようにエリアルフェンリルに接近して、エナジーブレードを突き出す。



《大胆な手、甘いわね!》



ファンネル2機がエリアルフェンリルの胸の前でシールドを展開する。



《ちっ!》



シールドとブレードがぶつかり、火花が散る。



残ったファンネルがエリアルワルキューレに狙いを定める。



《シールドがあんただけのものだと思わないでよ!》



4基のファンネルが菱形のシールドを展開してエリアルワルキューレを包み込んだ。



《そっちもシールドか、ていうかお前、ハナサギじゃないのか》



《やっと気づいたのかよ》



アテナが呆れる。



《安心したわ、あなたで》



エレンがホッと一息つく。



《それ、どういう意味?》



《そのまんまよ....》



リンナが撃ったミサイルをファンネルが全て撃墜する。



《ねぇ、あなたのところの新人、どうなってんの?》



《リンナちゃんのこと?どうも何も普通にセンスあると思うよ》



《センスあるだけじゃあの火力支援装備を使いこなせないでしょ》



《そう?レクチャーあったんじゃない?》



《はあ、ピースコンパスの新人はなんでいっつもこうなのよ》



エレンがため息をつく。



《こっちにも1人ぐらい欲しいわ》



《ピースコンパス全軍に告ぐ、戦局はこちらに傾いている!ラストスパートだ、気合い入れろぉぉ!》



ラルの激励が耳に飛び込んでくる。



《私たちが優勢だってさ。今なら撤退を見逃してあげてもいいのよ?》



《ふん、今更撤退するか。ネオ・プライマル全軍、全力を尽くしてピースコンパスを撃滅せよ!自爆してでもだ!》



《なにそれ、こわ》



エレンの命令にアテナがドン引きする。



《じゃ、さっきの続きを》



エリアルフェンリルがヒートアックスを構える。



エリアルワルキューレもエナジーブレードを構える。



両軍の艦隊が前に出始める。



艦砲射撃が一層激しくなる。



《ハルヒさん、どうしますか!?》



ヨシオが焦ったように尋ねる。



後ろから警告音がひっきりなしに鳴っている。



《おい、ノーザン隊の連中か?》



誰かから通信が入る。



《誰だ!》



ハルヒが怒鳴る。



《なんで怒鳴るねん!俺やカンナギや!ここは俺らに任せて、艦隊をどうにかしてくれ!》



《ベネットだ!敵の艦砲射撃がこちらに流れてきてるんだ、このままじゃまともに戦えなくなる!》



《分かった、ノーザン隊、ワルキューレ隊、敵の艦隊の攻撃に移るぞ!弾薬は残ってるな?》



《ちくしょう、やってられるかよ》



バリーが悪態をつく。



ノーザン隊とワルキューレ隊が編隊を組んでネオ・プライマルの艦隊に向かう。



戦艦から激しい防空砲火が放たれる。



《怯むな!全機全兵装発射!》



ハルヒの命令と共に、ノーザン隊とワルキューレ隊が各々の最大火力を放出する。



いくつもの戦艦が爆沈していく。



《この調子でやるぞ!》



⭐️⭐️⭐️



ノアの方舟の格納庫にエリアルガスターが吊るされていた。



修理にかなり時間がかかるようだ。



ガスターの隣にはエリアルククバーヤが吊るされている。



《おい、火力支援装備とルベリオスを用意してくれ!》



ヨッシーはそう言ってエリアルククバーヤのところへかけ出す。



《は?ガスターは飛べる状態じゃないだろ?》



ラルが困惑する。



《アテナのククバーヤを借りる!》



《そうか、了解した》



すぐさま火力支援装備がエリアルククバーヤの背部にドッキングされる。



横からルベリオスもせり出してくる。



エリアルククバーヤに乗り込んだヨッシーがすぐにルベリオスを装備し、操縦桿を前に倒す。



《ヨッシー、エリアルククバーヤ、出る!》



ヨッシーが戦火渦巻く戦場に再び飛び込んでいく。

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