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ファバルト攻防戦ー後編

 強い振動がコックピットを揺らす。



「くぅ、なんとか受け止めれた」



敵がまたエナジーブレードを振り上げた。



「同じ手は!」



エリアルシャッターが横に移動してエナジーブレードを振り抜く。



敵が飛び上がって避ける。



《ちっ、コイツ》



敵がエリアルシャッターから距離を取る。



「はあ、危なかった」



リンナが一息つく。



『こいつもネオ・プライマルの基地に用があったのかな?』



リンナは片手に持ったルベリオスを背中に格納する。



「ルベリオスを傷つけないように戦わないと」



《ありゃバンカーバスターか。先に見つけておいて良かったぜ。基地ごとぶっ飛ばされたら困るところだったからなぁ!》



アルバートがニヤッと笑う。



《俺のマニファットの錆となれ!》



エリアルマニファットがスラスター全開で突撃してくる。



エリアルシャッターは一撃を受け止めたが、そのまま押されていく。



「こっちだって!」



エリアルシャッターもスラスターを全開にする。



2機が押し合う。



《ちっ、埒があかねぇ》



エリアルマニファットが機体をずらしてエリアルシャッターの攻撃をいなした。



「わっ!」



エリアルシャッターが勢い余ってすっ飛んでいく。



《何やってんだアイツ》



アルバートが呆れる。



《アイツ初心者か?へっ、それならあの間抜けさも納得だな》



アルバートはそう言ってから自分がその間抜けをまだ撃墜できていないことに気づいた。



《さっさとやられろ!》



エリアルマニファットとエリアルシャッターが斬り合う。



「よし、戦えてる」



リンナが攻めに転じる。



《コイツ、それなりにやる!》



アルバートが驚愕する。



お互いに一歩も引かない剣戟を繰り返す。



《おい、アルバート。いつまで道草食ってるつまりだ!例のブツを....》



《ウルセェ!今はそれどころじゃ》



アルバートが怒鳴った時、後ろから振り下ろされたブレードに右腕を切り落とされた。



《後ろ!気付かなかった....!》



「あ、ハルヒさん!」



ハルヒのアーマードスーツがエリアルマニファットの後ろにいた。



《お前、ピースコンパスでもネオ・プライマルでもないな。どこのクランだ!》



《くっ!教えるかよ!》



エリアルマニファットが飛び上がって彼方へ逃げようとする。



《おぉーっと!そうはさせへんで》



カンナギが行手を塞ぐ。



《ちっ!》



エリアルマニファットが進路を変更するが、



《逃げられると思ったか?》



そこにもバリーが待ち構えていた。



「え、あの」



《もう終わった。リンナ、ここは私たちに任せてさっさと地下バンカーの敵を一掃してこい》



「は、はい!」



エリアルシャッターがまたクレーターに向かう。



《さて、話を聞かせてもらうぞ》



ハルヒがアルバートに話しかける。



⭐️⭐️⭐️


《おーい、リンナちゃーん》



「あ、アテナさん」



飛行しているエリアルシャッターの後ろにワルキューレ隊がつく。



《護衛につくね。いつ敵が来るから分からないし》



「ありがとうございます!」



エリアルシャッターがクレーターの真上に到着する。



《地下に敵の反応あり、ちょうど出撃してくるとこだね》



アテナが笑いながら言う。



《運悪ーい!あっはは!》



エリアルシャッターがルベリオスを構える。



「ロックオン完了!発射!」



エネルギーの塊がクレーターをぶち抜き、地下バンカーに到達する。



隠し通路から出撃しようとしていたアーマードスーツが全て破壊される。



地下バンカーの形に地表が火を吹き出す。



《見てみて、地下バンカーの形に炎が吹き出してるよ》



アテナが指を差す。



《ヤバいぞ、ワルキューレ2より各機、距離を取れ!》



ワルキューレ隊2番機が慌てて指示を出す。



《リンナちゃんも早く!》



「は、はい!」



眼下の爆発を眺めて惚けていたリンナをアテナが急かす。



ファバルト鉱山のあった辺りが一気に消し飛ぶ。



地響きがハルヒたちの所まで伝わる。



《随分派手にやったなぁー、たーまやー》



カンナギが笑いながら言う。



《んな花火みたいに....で、話すつもりはないのか?》



バリーがカンナギに突っ込みつつ、アルバートに尋ねる。



《ふん、貴様らに教えることなど何もない!》



《おいおい、勘弁してくれよ》



バリーが呆れる。



《まだ強情はるのか?素直にどこのクランに所属しているかを言えばいいだけじゃないか》



《ふん》



《おい、アルバート》



アルバートの元に通信が入る。



《例のブツだが、すでに運び出されていたようでな》



《は!?》



《輸送機を拿捕してブツを確保した。撤退してくれてかまわない》



《誰と話してるんだ?》



ハルヒ達に会話は筒抜けだったようだ。



《お前、オープン回線のままじゃないか?》



《あ!やらかしたっ!》



アルバートが間抜けな声を出す。



《さっさと答えんかい!お前はどこのモンや!そして例のブツってなんや!》



《教えるわけねぇだろうがよぉぉ!》



アルバートがファンネルを射出する。



《ちっ!全機防御!》



ハルヒが指示を出す。



《今のうちに!》



エリアルマニファットが全速力で逃走する。



「逃すかー!」



目の前にエリアルシャッターが突っ込んでくる。



《え!?》



アルバートが驚く。



エリアルシャッターがすれ違いざまにエリアルマニファットの胴体を切り払った。



エリアルマニファットが爆発する。



《あー、やってもうたか》



カンナギが残念そうに言う。



《でもなかなかいい腕しとるな。あんな子ピースコンパスにおったか?》



《あれでまだ始めて1日もたってないんだ。末恐ろしいぜ》



バリーが少し自慢げに話す。



宙を舞っていたファンネルも消失した。



《すまんな、リンナ》



「いえいえ、皆さん無事ですか?」



《おかげさまでな》



《おおきに、新人ちゃん》



《任務は完了だな。色々問題が浮かんできたが》



ハルヒがため息をつく。



「そうなんですか?」



リンナがきょとんとする。



《私たちは先に戻っておくね》



アテナが報告する。



《私達も戻るぞ!》



ハルヒたちがグランディオーサに帰還する。



《ほなまたねー》



カンナギが見送ってくれる。



⭐️⭐️⭐️


グランディオーサに帰投したハルヒたちはすぐさま艦橋に向かった。



「第三者の存在は確定したのね」



ユキノが腕を組んで考え込む。



「何が目的なのかしら。ファバルト鉱山に保管していたやつに貴重な鉱物を狙ったのかしら」



「火事場泥棒ってことですか?」



リンナが尋ねる。



それをバリーが遮る。



「奴らには仲間がいた。そいつは輸送機を襲ったと言っていた」



「直近の輸送機に載せたのと言ったら、エンジェリニウムぐらいよ?」



「エンジェリニウム?前言ってたA.D.Fユニットと関係が?」



リンナが尋ねるが、ユキノは首を振った。



「エンジェリニウムがA.D.Fユニットに使えるなんて話、聞いたことないわ。まあ、フレームには使えるでしょうけど、真っ白だし。天使の翼にピッタリじゃないかな」



「そんなこと言ってる場合か」



バリーが呆れる。



「『スペースウォーリャーズ』と違って製造できる兵器も大幅に増えたしな。エンジェリニウムももしかしたら」



ヨッシーが言うとアテナも頷いて同意する。



「今やF.F装甲ですら製造できちゃうもんね。A.D.Fユニットにエンジェリニウムが使えるという可能性は考慮しておいた方が良いんじゃないかな」



「だとして、A.D.Fユニットに不可欠なエンジェル・ダストはネオ・プライマルが所持してるんですよね。そうなると、その第三者はピースコンパスとネオ・プライマルの両方に喧嘩を売ることになりますけど?」



ヨシオの疑問に一同が沈黙する。



「うーん、よく分かんない!考えても仕方ないと思う!その時はネオ・プライマルと共闘すれば良いでしょ。仮に第三者がA.D.Fユニットを完成させて実戦投入してきたとして、こっちにはアテナ、あっちにはエレンがいるのよ!勝てるモンなら勝ってみろってやつよ!」



ユキノがその沈黙を破り捨てる。



「そりゃ私も頑張るけどさー」



アテナが苦笑いする。



「取り敢えずアテナちゃん以外は整備が済むまで休憩しててちょうだい、次はラグナスよ」



ユキノの言葉にリンナ以外の全員が顔をしかめる。



「ラグナスって、あの?」



「とんでもない激戦区じゃねえか」



「あなた達が戦ってるときに上層部から指令を受けたのよ」



「じゃあ先に言えよ!」



バリーが突っかかる。



「ごめーん、でもね、上は本気みたいだよ。全戦力をラグナスに投入するってさ」



「はあ?他の戦線はどうするんだ?」



「そこのネオ・プライマルの戦力がラグナスに投入されてるから大丈夫よ。最終決戦と洒落込むみたいね」



ユキノが遠い目をして言う。



「どこ見てんのさ。私はどうすれば良いの?」



アテナがムスッとする。



「私だけまた戦うの?」



「違う違う。あなたのエリアルククバーヤを新造したらしいの。それを引き渡すってさ」



「えっ、アーマードスーツって作れるんですか?」



リンナが驚愕する。



「マジかよ」



ヨッシーも知らなかったようだ。



「そうよ。かなり時間はかかるけどね。もう行ってちょうだい。早い方が良いし」



「分かった。行ってくるね」



アテナが艦橋を後にする。

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