ラフィール盆地攻防戦ー前編
ラフィール盆地では日夜激しい戦闘が繰り広げられていた。
ネオ・プライマルの戦力1000に対し、ピースコンパスの戦力は900。
ネオ・プライマルの方が数は上だが、ピースコンパスは懸命に防御し、なんとか凌いでいる。
戦場はあらゆる兵器の放つ光に包まれている。
砲台からミサイルが無数に放たれ、お互いの陣地にダメージを与える。
アーマードスーツ同士の白兵戦も拮抗しており、勝敗の行く末が誰も予想できなくなっていた。
《アルター、補給に戻れ!》
ピースコンパスのパイロットであるベネットが味方に指示を出す。
《すまない、離脱す》
ミサイルの飽和攻撃が味方の機体を飲み込む。
《ちっ、ここだけは守り通さなくちゃならない!気合い入れろよ!》
ベネットが味方に対して喝を入れる。
『敵のフルファイトが鬱陶しいな』
ベネットがフルファイトに向けてライフルを連射する。
敵のフルファイトがスラスターを起動させて地面を滑るように避ける。
《逃がすか!》
ベネットが右にまわり込みながらライフルを撃つ。
《援護するよ、ベネット!》
味方が左に回り込む。
《やるぞ、クラリス!》
2機の連携がフルファイトを追い詰めていく。
フルファイトがミサイルポッドを換装する。
《させないよ!》
クラリスがビームブーメランをぶん投げてミサイルポッドを爆破した。
フルファイトが大きくよろける。
ベネットのアーマードスーツがその隙にフルファイトに肉薄した。
《終わりだ!》
ベネットがフルファイトのコックピットにライフルをぶち込んだ。
フルファイトが大爆発を起こす。
その余波が他の砲台にも伝わって誘爆を引き起こす。
ベネットとクラリスは即座に距離を取り、上空から敵のアーマードスーツを狙い撃つ。
《援軍さえ来てくれれば》
対空砲火が2機に集中する。
《どこも手いっぱいなんだよ》
2機が対空砲塔をエナジーブレードで串刺しにした。
そのまま襲いかかってくる敵のアーマードスーツを相手取る。
⭐️⭐️⭐️
《ラフィール盆地の近くに到着したわ。アーマードスーツ全機発進!》
ユキナが指令を出す。
《了解した。準備が出来次第出撃しろ》
ハルヒが了解し、部隊メンバーに指示を出す。
《バリー、エリアルヴァンネックス発進!》
《ヨシオ、フルディフェンスマーカス発進!》
ノーザン隊のメンバーが次々と発進していく。
《ワルキューレ隊、みんな準備できた?》
アテナが自身の部隊のメンバーに問いかける。
《あぁ、完璧だぜ》
《さっさと出ましょうよ》
メンバー達は準備万端のようだ。
ふと横に目をやると、エリアルシャッターが発進しようとしていた。
『リンナちゃんの機体か』
エリアルシャッターがカタパルトから射出される。
《よし、ワルキューレ隊、全機発進!》
エリアルククバーヤが宇宙に飛び出す。
ワルキューレ隊のメンバーも後に続く。
ノーザン隊とワルキューレ隊が編隊を組んでラフィール盆地に向かう。
《リンナ、あまり前に出過ぎるなよ》
ハルヒが忠告する。
「わ、分かりました」
リンナが頷く。
《何かあったら俺が守りますよ》
ヨシオが調子の良いことを言うが、バリーに突っ込まれる。
《タンクが後ろに下がってどうすんだよ、ヨシオはトップだ!》
《えーっ!またトップ?あり得ないほど怖いんですからね?あれ》
そんなこんなでラフィール盆地が見えてきた。
あちらこちらで爆発が起きている。
《かなり派手にやってるな》
《全機、作戦開始だ》
ハルヒが静かに言う。
《ワルキューレ隊は敵のアーマードスーツを殲滅するよ》
2つの部隊が戦場に突入していく。
⭐️⭐️⭐️
《ん、ベネット、レーダーにアーマードスーツを確認!》
クラリスが報告する。
《増援か!?》
ベネットが大声を出す。
ベネットと対峙していたアーマードスーツが撃ち抜かれる。
《こちらワルキューレ隊隊長アテナ》
《ワルキューレが援軍に?》
クラリスが驚く。
《みんな、アーマードスーツの殲滅に全力を尽くして!敵の本営はノーザン隊に任せて》
アテナからの指示に皆が従う。
《ノーザン隊全機、蹴散らすぞ!》
ハルヒがフルディフェンスを縦にしながら敵の陣地を突き進む。
その勢いは凄まじく、誰も止めることが出来ない。
遠くの方に要塞が見える。
「なにあれ、デッカ」
リンナが驚く。
《要塞か、内側から爆破するか?》
バリーがハルヒに尋ねる。
《爆撃装備の機体がいないんじゃな。かなり厳しい戦いになるぞ》
《リンナ、少しでもヤバいと感じたら撤退しろ、すぐにだ》
「分かりました」
⭐️⭐️⭐️
「敵、12機で当要塞に接近中。現在防衛に当たっている部隊では対処出来ないようです」
「分かった。ノクターン隊を出す」
⭐️⭐️⭐️
高速で要塞に接近していたハルヒ達はレーダーに敵影を確認していた。
《速いな、ノクターンの連中か?なんでいままで引っ込んでたんだ?》
バリーの疑問にヨッシーが答える。
《俺たちと同じ、援軍として来たんだろう》
《リンナ、お前は後ろに下がっていろ》
「え、でも」
《ノクターンはネオ・プライマルのエース部隊だ。一瞬で喰われるぞ》
「う、でもやれるだけやります」
あくまでリンナは食い下がった。
実践を積ませるって自分が言ったんじゃないか。
《自分の身は自分で守れよ。全機、迎撃しろ!》
敵影が目の前に移動する。
《藍と金、間違いなくノクターン隊だな》
ヨッシーが言う。
ノクターン隊のアーマードスーツが動き出す。
2つの部隊が激突する。