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長距離打撃群とノーザン隊配属

 エレンがレーダーを確認する。


「ノーザン隊とクォーサー隊の両方が出張ってきたのか。随分気合い入ってるな」


エリアルフェンリルがエナジーソードを両手に構えて連結させる。


《敵をレーダーに捉えた!》


バリーが報告する。


《了解した、全機射撃開始!》


ハルヒが命じると、ノーザン隊とクォーサー隊のアーマードスーツがライフルを撃ち始めた。


「そんな射撃じゃ当たらないね!」


エリアルフェンリルがレーザーを避けながらスピードを上げる。


《全機、近接戦闘用意!》


ハルヒが指示を出す。


ピンクの機体が軌道を変えて襲いかかる。


《下から!?》


一瞬で2機が犠牲になる。


《おまえら、散開しろ!》


ヨッシーが叫ぶ。


ノーザン隊の1機がエリアルフェンリルと鍔迫り合う。


《背中がガラ空きだぜ!》


味方が援護にきたが、察知済みのエリアルフェンリルは鍔迫り合っていた敵の真後ろにまわり込んで援護を避けた。


そしてそのまま2機ごと串刺しにした。


《ノーザン隊残機3!》


バリーが焦ったように報告する。


《ちっ、こっちも残機3だ。このままじゃ全滅するぞ》


ヨッシーも苦しげに呟く。


《これ以上の犠牲は出させない》


ハルヒのアーマードスーツとエリアルフェンリルが激しく打ち合う。


《相変わらず良い腕だ、始めて二年足らずでその技量。うちにほしいぐらいだ》


《冗談はよせ、私レベルのやつなんてゴロゴロいるだろ》


《ふふ、私の感覚がおかしいだけかもね》


割って入ってきたノーザン隊のアーマードスーツをぶった斬りながら脚部のランチャーからミサイルを発射する。


《ちっ!》


ハルヒ達が機体を後退させてミサイルを避ける。


《ミサイルまで.....!》


《あなた達が逃げ惑ってる間にノアの方舟を破壊させてもら》


エレンがそこまで言った時、機体が大きく揺れて警告音が鳴り響く。


「被弾した?いったいどこから》


レーダーを確認する。


「ふぅー、当たったー」


リンナが張り詰めていた息を吹き出す。


『私のことは完全にノーマークだったみたいね、このまま畳み掛けるしかないっしょ!』


エリアルシャッターがスラスターを全開にしてエリアルフェンリルに突撃する。


エレンが近づいてくるエリアルシャッターに気が付いた。


《少し遅かったみたいねって、なっ!》


エレンが驚いて緊急回避をする。


「うそっ、避けられた」


リンナが驚く。


《あ、なんだ。色が同じなだけか。ビックリしちゃった》


エレンが苦笑いする。


「え?色がなんです?」


《なんでもないわ。あなたピースコンパスの子?ノーザン隊でもクォーサー隊でもなさそうだけど》


「私はリンナ、ただの底辺動画投稿者だ!」


リンナは悲しい自己紹介を繰り出す。


《.....そ、そう。伸びると良いわね》


エレンが励ます。


「それはどうも。じゃなくて、今すぐ帰ってください、迷惑です!」


《は?戦争に迷惑もへったくれもないでしょ》


エレンが呆れながら指摘する。


《そもそもあんた達がちょっかいかけて来たからこんなことになったんでしょ?》


「そうなんですか?」


リンナはハルヒに尋ねた。


《いーや、お前らが先に手ェ出したんだ》


「え、どっち?」


《お前らだ》


《お前らだ》


エレンもハルヒも譲らない。


『どうやったら帰ってもらえるんだろ』


リンナが白目をむく。


「どっちでも良いからこの場から立ち去ってー!」


《それはできない。君たちは私の部下たちを攻撃した》


《やられたらやり返す、当たり前の事だけど?》


ハルヒがそう言った時、別の戦艦がワープしてきた。


《グランディオーサか》


エレンが忌々しげに呟く。


《増援が間に合ったみたいだな》


バリーがほっと一息つく。


突如として現れた戦艦から1機のアーマードスーツが飛び出した。


その機体は瞬く間にエリアルフェンリルのもとへ到達した。


《仕事増やさないでもらえますか?エレンさん!》


《私に言われてもね、アテナちゃん!》


エリアルフェンリルが蹴りつけた。


アテナのエリアルククバーヤはそれを避け、エナジーブレードで切り落とした。


《ふっ、流石》


残った脚からミサイルを放って撤退する。


《こら、待ちなさいよ!》


ミサイルを迎撃しながらアテナが怒鳴る。


《またどこかで会うかもね、新入りちゃん》


「あ、はい。またいつか!」


リンナが返事をしてすぐにハッとする。


『またあの人と会うかも知れないの?おっかないなぁ』


《くっそー、逃したー!》


アテナが悔しがる。


そしてリンナに気づいた。


《あえっ!?あ、違うか。君、初めて見るね》


「あ、リンナって言います」


《ふーん、エリアルヘロンに似ててびっくりしちゃったよ》


「エリアルヘロン?」


『また知らない単語が出てきた。というかさっきの人と言い、私の機体を見て驚きすぎやしないか?しかもエリアルヘロンて。エリアルシャッターですけど』


《え、知らない?ハナサギさんのアーマードスーツ》


「ハナサギ!もしかしてハナサギさんと仲良かったりしました?」


突然大声を出したリンナに驚きつつもアテナが答えた。


《まあ、短い間だったけど。戦ったこともあるし?》


「おぉー」


《あいつ、ハナサギファンだったのか?》


ヨッシーがぼやく。


《知らん。てかお前もワルキューレと一緒にハナサギについて教えてやれよ》


《えー、アイツレベチすぎて俺殆ど着いてけなかったからよ、正直底が知れん。俺じゃなくてミネーなら喜々として話せただろうけどな》


《ミネー?誰それ》


《まあ、あいつは.....活躍したの終盤だったから、無理もないか》


ヨッシーが苦笑いしながらミネーを思い浮かべる。


《ま、アテナもあの子も楽しそうで何よりだ》


楽しそうにおしゃべりしているアテナとリンナを見てハルヒが微笑む。


《ウィングがね、バーって赫くなって.....》


「うぉぉー、それでそれで!?」


《盛り上がっているところ悪いが、艦に戻らないか?》


「あ、すいません。思わず夢中になってしまって」


《リンナちゃん、グランディオーサにおいでよ》


「いいんですか?」


《大丈夫だよ。誰も怒りゃしないさ》


《ハルヒ、ヨッシー、グランディオーサにはお前たちも向かえ。ノアの方舟はこれより本拠地に戻ることになった》


ラルの発言に二人が驚く。


《はあ?じゃあこの戦争の指揮を取るのは誰なんだ?》


《指揮系統は変わらない。お前たちの母艦がノアの方舟からグランディオーサに変わるだけだ》


《理由は?》


《それはグランディオーサに行ってから聞け》


《早く行こ、リンナちゃん!》


「了解!」


エリアルシャッターとエリアルククバーヤがグランディオーサのに飛んでいく。


《はあ、細かいこと気にしてもしょうがないか》


ノーザン隊とクォーサー隊のメンバーもグランディオーサに向かう。


⭐️⭐️⭐️


グランディオーサに乗艦したリンナ達はすぐに艦橋に案内された。


「ごめんなさいね、突然呼び立てして」


ブロンドの女性が艦長席に座りながら言う。


「構わないよ、ユキナ」


ハルヒが言う。


「ラルから聞いてるでしょうけど改めて伝えておくわ」


「何を?」


「.....」


ハルヒとユキナの間に沈黙が訪れる。


「あの人何も言ってないの?」


「グランディオーサに行ってから聞けって言われましたけど」


ユキナがラルに対して怒りを爆発させる。


「何やってんのあの人はー!報連相はちゃんとやってってあれほど.....コホン」


ユキナが平静を取り戻す。


「では説明させてもらうわ。今回あなたたちを召集したのは他でもない、マテリアル・ベルト戦争を終結させるためよ」


ユキナの発言に全員が困惑する。


「5ヶ月以上続いてる戦争がそんな簡単に終結するのか?」


ヨッシーが訝しむ。


「シンギュラリティがいれば可能かもしれないけど、流石に私達じゃ無理じゃないかな」


アテナも苦笑いしながら否定する。


「話を聞きなさい。何も私たちだけで戦争を終結に持っていこうって訳じゃないの」


「と言うと?」


「あなた達はこれから長距離打撃群として味方の援護に向かってもらうわ」


ユキナが立ち上がる。


「鉱山地帯、デブリフィールド、膠着状態の戦場が飽和してる。そのせいで戦争の流れが停滞して、結果落とし所を見失ってずるずる続いている」


「新兵器もどんどん出てくる。相手方からゲームチェンジャーが出てくる前に戦局をこちらを優勢にした状態で動かしたいと言うわけだな」


ハルヒが腕を組んで考え込む。


「打撃群の詳細は?」


バリーが尋ねる。


「旗艦はグランディオーサ、所属部隊はノーザン隊、ワルキューレ隊よ」


「2部隊編成か、人手足りるか?」


「言ったでしょ、どこも膠着状態なの。そんなとこから人員引っ張れるわけないでしょ?そもそもトップエースであるワルキューレがここにいること自体おかしいのよ」


ユキナがため息をつく。


「あの、私はどうすれば?」


置いてけぼりをくらっていたリンナが口を挟む。


「あら、そうね。えーと」


「リンナです」


「リンナちゃんね、どうしようかしら」


ユキナが考え込む。


「リンナはうちで預かる」


ハルヒがリンナの肩に手を置く。


「コイツはなかなか良い筋をしているからな、実践を積ませてバケモノに育て上げる」


リンナが滝汗をかく。


『え、バケモノに育て上げるってなに?私人体実験でもされるの?』


「あはは、あまり怖がらせないであげて」


ユキナが笑いながら言う。


「じゃあリンナちゃんは今日付けでノーザン隊に配属します。あなたの活躍を期待しますね」


「は、はい、頑張ります!」


リンナの声が上ずる。


「あ、そうだ」


これだけは伝えておこう。


「あの、私今ゲーム映像録画してて」


「え!えーと生配信とかじゃないよね?」


「違います違います!」


リンナは慌てて否定した。


「なら大丈夫よ、ただその録画をアップロードするのは戦争が終結してからにしてもらえる?」


「か、構いませんけど」


「こちらの動きが筒抜けになる可能性があるからな。ま、対策は取れないだろうが、動きにくくはなるだろうよ」


ヨッシーが頷く。


「じゃあ早速だけど行ってもらいたいところがあるの」


ユキナがホログラムを起動する。


「ラフィール盆地よ」


「ラフィール盆地といやぁ、燃料系の資源が埋まってるところだよな?」


バリーが尋ねる。


「そうよ、味方がかなり押されてるみたい。救難信号がひっきりなしに送られてきてる」


「膠着状態って話はどこいったんだよ」


「知らないわよ!とにかく、ここを取られるとかなりの痛手よ。絶対に死守してちょうだい」


「了解した。グランディオーサは戦闘区域まで行くのか?」


ハルヒの質問にユキナが答える。


「勿論、艦隊戦は任せて。対アーマードスーツ戦闘の指揮はあなたに任せるけど」


「そうか。じゃあラフィール盆地に到着するまでに私たちはアーマードスーツの準備をしておく」


ハルヒたちが艦橋から退出する。


リンナもペコッと頭を下げて艦橋を退出した。


「進路をラフィール盆地に向けて、最大戦速!」


ユキナが艦長席に座りながら指揮を出す。


グランディオーサが進み出す。

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