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最終決戦と赫の乱入

 ワープ空間を突き進むグランディオーサの格納庫では着々と出撃準備が進められていた。


「ルベリオスを積んだ状態じゃステルスクローキングは発動しないんだ」


整備士のプレイヤーがリンナに説明する。


「A.D.Fユニットが確保出来たらルベリオスをポッドに乗っけて射出するから受け取ってくれ。それまではオーディンだけで戦ってくれ。まあ、お前は潜行するらしいし、戦闘にはならんか」


「た、多分ですけど.....ええ」


リンナが引き攣った笑顔を浮かべる。


「緊張してんのか?ハッ、無理もない。ラルから直々に指名されて、それも俺たちの命運が掛かってるんだ、緊張するななんて口が裂けても言えないさ」


「ハハ、もっと良い人いそうですけどね。ハルヒさんとかバリーさんとか。あとアテナちゃんとか」


リンナがハルヒにダル絡みしているアテナを見やる。


「アーッ、リンナちゃーん!」


アテナがこちらに気づく。


「頑張ってねー!」


アテナが腕をブンブン振る。


「ありがとーう!」


リンナも手を振り返す。


「アテナ達とネオ・プライマルの連中は囮として敵の真ん前に出て暴れるんだってな」


「はい。私がA.D.Fユニットを確保するまでの間、ヘイトを集めてくれるんです」


「リンナー!自分の機体に乗っとけ!そろそろ着くぞ!」


バリーが遠くからリンナを呼ぶ。


「私、第一陣なので。それじゃ」


走り去るリンナの背中に整備士のプレイヤーが微笑む。


『なんか懐かしいな。まるでハナサギを見てるみたいだ』


そんな感傷に浸りつつ、また自分の作業に戻っていく。


一方、艦橋は既に戦闘体勢に移行していた。


「ワープ空間を抜け次第、エリアルシャッターの出撃と同時に欺瞞のパルスミサイルを発射。そのあとすぐアーマードスーツ隊を発進、敵の注意を引き続けるわ。いいわね!」


ユキノの作戦確認に他のクルーから


「了解!」


と返ってくる。


『頼むわよ、リンナちゃん。あなたに全てがかかってるのよ』


ユキノが拳を握りしめる。


「ワープ空間、抜けます!」


クルーの報告と共にグランディオーサがワープ空間から抜け出す。


《エリアルシャッター、出ます!》


通信機からリンナの声が聞こえる。


「パルスミサイル発射!敵の迎撃開始に合わせてアーマードスーツを発進させなさい!」


ユキノが指揮を取る。


⭐️⭐️⭐️


カイザークランの旗艦、ディグレイスの艦橋は落ち着いていた。


「敵艦隊出現、さらにそこから複数の熱源体の発射を確認!」


クルーの報告を受けたコガラシが命令を出す。


「先手を取る!アーマードスーツを発進させろ!」


そしてリデルとアルバートに指示を出す。


「リデルは保管場所で待機、アルバートは敵のアーマードスーツの迎撃だ」


「オーケー、任せな」


「了解した」


二人からすぐに返事が返ってくる。


⭐️⭐️⭐️


「敵艦からアーマードスーツの発艦を確認!」


「なんですって?」


ユキノが歯を食いしばる。


『欺瞞が看破された?どうして?いや、そんなこと考えてる場合じゃない』


「アーマードスーツを発進させて」


「了解、全機出撃せよ!」


《こちらノーザンリーダー、了解した》


ノーザン隊が出撃していく。


続いてワルキューレ隊もカタパルトからの射出されていく。


ネオ・プライマルの艦からもアーマードスーツが出撃していく。


「全機、気合い入れろよ」


ハルヒを先頭にアーマードスーツ部隊がスペースウォーリャーズ連合軍の艦隊に突き進んでいく。


「敵アーマードスーツ確認!散開しろ!」


ハルヒの指令と同時にアーマードスーツ部隊がばらける。


「全砲門解放!」


ヨシオのフルファイトから破壊的な砲撃が繰り出される。


「ヨシオ、あんまり弾を無駄にするなよ」


バリーが敵を斬り伏せながらヨシオに忠告する。


「にしてもえらい数やなぁ」


カンナギが放心したような声を出す。


「斬って斬って斬りまくれ!」


ベネットが二刀流で敵を蹴散らす。


その時。


《ちょっと邪魔するぜ!》


突如、赤と黒のアーマードスーツがものすごい勢いで飛んできた。


アルバートのエリアルマニファットだ。


「あいつは」


ハルヒがベネットに斬りかからんとするマニファットの間に割り込んでエナジーブレードを受け止める。


「ファバルトにいたやつだな」


《へっ、あの時と同じと思うなよ!》


ハルヒのアーマードスーツとマニファットが激しい戦闘を繰り広げる。


⭐️⭐️⭐️


ステルスクローキングで姿を隠しながら敵艦隊を抜け、A.D.Fユニットが保管されているであろう研究施設に辿り着いたリンナはほっと一息ついてクローキングを解除してしまった。


「えーと、A.D.Fユニットは....!」


突然、ミサイルアラートが鳴り響く。


リンナが回避行動を取った瞬間、ミサイルが側を掠めた。


《クローキングを解除したのが命取りだったな!》


「あんたは....!レヴナントにいた護衛の!」


エリアルシャッターとリデルのアーマードスーツがエナジーブレードをぶつけ合う。


《エリアルデュエットの錆となれ!》


「負けないよ!」


オーディンのリニア砲がデュエットの胴を掠める。


《ちっ、鬱陶しい!》


デュエットがビームブーメランを投擲する。


「わっ!」


エリアルシャッターへの直撃は避けられたものの、オーディンに損傷を受けてしまった。


「全武装、ハイグレードロックオーン!」


しかしお構いなくリンナはありったけの火力をエリアルデュエットに放つ。


《舐めるな!》


リデルは無謀にも攻撃の間を縫って距離を詰める。


「ええっ!?」


リンナは損傷したオーディンをパージして真上に飛び上がりながらライフルを乱射した。


デュエットがオーディンを真っ二つにしつつ、真上のエリアルシャッターに向けてグレネードを放り投げる。


「爆弾?」


リンナが的確にグレネードを撃ち抜く。


グレネードが爆発し、リンナはデュエットの姿を見失った。


その隙にデュエットがエリアルシャッターの後ろに回り込んでエナジーソードを突き出す。


が、エリアルシャッターはそれをエナジーブレードで弾き、コックピット部分を思いっきり殴りつける。


《格闘!?ならこっちも!》


デュエットの蹴りを受けたエリアルシャッターがよろける。


「うわー!」


『なんでこんなやつに手間取ってるんだ、私は!』


コガラシから聞いていた話と違う。あいつは『戦力差は明確だ、個の力でも集団の力でも』なんて抜かしやがった。でも現実は違った。


目の前にいる奴は平然と私と渡り合っている。目標物を手にしてもいないのにクローキングを解くような間抜けに。


《コガラシ、こいつら強えぞ!話と違うんだが!?》


アルバートの焦ったような声が聞こえる。


《数で押せばいい》


コガラシが冷たく言い放つ。


《何言ってんだ?数で押せないぐらい相手の練度が高いんだよ!つーか、他の奴ら全然働かねぇぞ、適当なこと言いやがって!》


アルバートがまた文句を言っているが、こちらがそれを気にする必要は無い。


《大人しく、やられろよ!》


「嫌だよ!」


エリアルシャッターとエリアルデュエットの剣戟が火花を散らす。


⭐️⭐️⭐️


「苦戦しているようだな」


コガラシはそう呟くと立ち上がった。


所詮こちらは寄せ集め。奴らに期待など寄せるのが馬鹿なのだ。


「ペテルギウスを用意しろ!」


クルーにそう命令して格納庫に向かう。


すぐに自機であるエリアルモントールに乗り込む。


《ペテルギウスの準備が完了しました。機体を転送します》


クルーの報告を受けたコガラシが頷く。


「頼む」


エリアルモントールがF.F装甲のドッキングソケットに転送される。


「エリアルモントール・ペテルギウス、出撃する!」


⭐️⭐️⭐️


囮役に徹していたハルヒ達はカイザークランの旗艦の下に現れた巨大なアーマードスーツに思わず動きを止める。


「な、なんだあれ」


《F.F装甲ですか?でも二回りぐらい大きくないですか?》


ヨシオが困惑する。


《ピースコンパス、聞こえてるか?》


エレンが指示を出す。


《時間を稼ぐぞ。リンナがA.D.Fユニットを手に入れるまでの辛抱だ》


《そうだな。雑魚に構う時間はもう終わりだ》


ハルヒがサクッとアルバートを始末する。


「ノーザン隊、ワルキューレ隊、目標はあのF.F装甲だ。行くぞ!》


ハルヒ達がF.F装甲のところへ向かう。


⭐️⭐️⭐️


「あんな大きさのF.F.装甲なんて見たことないわ。製造にどれだけの労力がかかっているのやら」


ユキノが呆然としていると、ラルから通信が入ってきた。


《ずいぶんヤバいのが出てきたな》


それにしてはラルの声は楽観的だ。


「ハルヒ達で大丈夫かしら」


《大丈夫だろ、援軍送ったし》


「援軍?」


ユキノがコンソールを確認する。


レーダー上に3機のアーマードスーツを表す光点が示されている。


「たった3機?でも....」


3つの光点のうち2つはあり得ない速度で飛行している。


「なっ、何よこの速度。オーディン装備しててもこんな速度出ないわよ!」


機体名を確認したユキノが絶句する。


「は?え.....」


顔を上げると黒々とした宇宙に赫の軌跡と金の軌跡が伸びていた。


⭐️⭐️⭐️


F.F装甲に向かって全速力で進んでいたハルヒ達の前に敵のアーマードスーツが立ち塞がる。


「ちっ、構っている暇はないのに.....ん?」


赫いアーマードスーツと金のアーマードスーツが自分たちを追い越して前方の敵を薙ぎ払っていく。


金のアーマードスーツが分身して敵を翻弄していく。


《な、なんですかあれ、あんな装備ありましたっけ》


ヨシオが困惑する。


《.....フッ》


エレンが笑みをもらす。


《ハッ、百人力どころじゃねえな》


ヨッシーも嬉しそうに呟く。


《おおぉわ!一緒に戦えるなんて!》


アテナも大興奮している。


《おーい、待ってよ〜》


ハルヒ達の後ろから紫色と灰色のアーマードスーツが追いついてくる。


《ヴァリュート!久しぶりだな!》


《え?あっ、ヨッシー!こんなとこで会うなんてね!》


ヨッシーとヴァリュートがペラペラ喋り出す。


「お喋りは後にしてもらっていいか?」


見かねたハルヒが2人に物申す。


《あ、ごめんよ。ボクさ、久しぶりだから舞い上がっちゃって》


ヴァリュートが謝る。


《全く、お前ら急ぐぞ!ハナサギとミネーが全部やっちまうぞ!》


⭐️⭐️⭐️


《....だとよ。ホントに俺たちだけであのデカブツやっちまうか?》


エリアルシュトレインを駆るミネーが提案するが、エリアルヘロンを駆るハナサギはそれを拒否する。


「俺たちはもうピースコンパスじゃないんだ。今のピースコンパスの子たちで決着をつけないと。いつまでも頼られっぱなしになるぞ?」


《げっ、それは面倒だな。お手伝い程度に抑えとくか?今更な気もするが》


2機のシンギュラリティが頷き合う。


⭐️⭐️⭐️


エリアルモントール・ペテルギウスのコックピットにいるコガラシは驚愕が鎮まらなかった。


『あの赫い翼、黄金の鳳蝶!噂に聞いてはいたが、実在するとは....シンギュラリティ!』


コガラシがぶつぶつ呟く。


「くくく、俺の詰めが甘かったみたいだな。ピースコンパスとネオ・プライマルの共倒れは不可能か。しかし、ペテルギウスならそんな状況すら覆せるはずだ!一矢報いてやる」


エリアルモントール・ペテルギウスが戦闘態勢に移行する。


何十本ものレーザー、何千発ものミサイルを放って己に歯向かう者を撃墜しようとする。


《ちっ、あん時とは桁違いだ!》


ミネーが自身の分身をミサイルにぶつけて爆破する。


「武器を一つでも減らす!」


エリアルヘロンがバーストマグナムを放つが、本体に到達する前に消散してしまった。


「レーザーが効かないのか」


ハナサギが驚く。


追いついてきたハルヒ達も攻撃に加わるが、効果が見られない。


『ちっ、リンナ、早くA.D.Fユニットを!お前ならできるだろ!』


心の中でハルヒが叫ぶ。


エリアルモントール・ペテルギウスの攻撃が激化する。

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