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装備を整えろ!(1)

 次の日、相変わらず暇な凛菜は『スペースウォーリャーズ2』にログインした。


目の前にエリアルシャッターのご尊顔がある。


「あ、リンナやったっけ」


カンナギが後ろから声をかけてきた。


「えーと、カンナギさんでしたっけ?」


「よー覚えとったね、例の場所、分かったで」


カンナギが笑いながら言う。


「本当ですか?」


リンナの顔がパッと明るくなる。


「製造にかかる時間もや」


「おおー!あとは計画を立てて、A.D.Fユニットを奪っちゃうだけですね?」


「そゆこと!とんでもない激戦になると思うけど、覚悟しときーや」


「私の目を見て、キマッテルデショ!」


「お、おう、ちょっと怖いわ」


二人がそんなことを言いながら艦橋に転送される。


「あら、二人とも遅かったわね」


ユキノがにこやかに言う。


ヨッシーやハルヒ達もすでに待機していた。


「カンナギ、頼む」


ハルヒはそれだけ言った。


リンナはえ、何が?と思ったがカンナギは頷いてモニターを起動した。


「まだ来てないやつおるけど、もう始めるな」


カンナギがディスプレイを操作する。


宙図が画面に現れる。


「奴らの研究所があるのはこの小惑星帯の向こう側にある小さい衛星や。名は『サコトス』。昨日からかなりの数の艦隊が常駐しだしたようや。いろんなクランの船が確認できた。もちろんカイザークランの旗艦も。そして肝心のA.D.Fユニットの製造にかかる日数やけど」


全員が固唾を飲む。


「遅くて3日らしいで」


カンナギが肩をすくめる。


「みっ、3日!?めちゃくちゃ短いじゃないですか!」


ヨシオが驚く。


「アーマードスーツ作るより速いのか?」


「通常のフライトパックと同じ扱いになってるみたいやで。あと2日ちょっとで装備と戦力整えてカイザークラン、というか連合軍とやり合わなあかん。真正面からやり合っても全滅やし、どうしたもんかな」


バリーが発言する。


「少なくともステルスクローキングは必須だろうな」


「あと、キャノンキャンサーもですね」


ヨシオが付け足し、ヨッシーも頷く。


「それにM.Wバスターもあった方が良いんじゃないか?」


「えー、装備全員分あるかしら」


ユキノが焦る。


《確実に足りん》


ラルが通信を繋ぐ。


「ラル、聞いてたんなら挨拶ぐらいしなさいよ」


《黙れ。装備の件だが、揃えられんことはない。ここのすぐ近くにカイザークランの中規模の備蓄倉庫があるんだ。確か『レヴナント』だっけ?そこを強襲して装備を》


「ちょっと待って、近くに敵の基地あるの!?」


リンナが驚愕する。


《いや、そこに詰めている戦力なんてたかが知れているし、今は召集されてるからもっと少ないぞ》


「でも戦争してるし、物資残ってるのかな?」


「あそこの武器全部使い切るとか何年かかるのやらってぐらいだし?問題ないよね」


アテナが呑気そうに言う。


《そういう訳だ。座標は送ってある。ハルヒ、リンナ、バリー、カンナギが備蓄倉庫にむかえ。アテナ、ヨッシー達は艦隊防衛の戦力として残しておけ》


「最初っからそうするつもりだったわよーだ!べー!」


ユキノがそう言って通信を叩き切る。


「痴話喧嘩ってアホくさいなぁ」


カンナギがリンナに耳打ちする。


「あ、あはは」


リンナは苦笑いした。


「時間はあまり無い。さっさと行くぞ」


バリーとハルヒが格納庫にむかう。


⭐️⭐️⭐️


カイザークランの旗艦、『ディグレイス』の艦橋にて。


「コガラシ、リデルは?」


アルバートが辺りを見渡しながら尋ねる。


「ん、アイツは『レヴナント』で物資の積み込みの護衛をさせている」


「『レヴナント』?なんかすごいモンあったか?」


アルバートのバカな質問にため息をつく。


「ピースコンパスやプライマルが来るかもしれんだろ。艦隊を失った今、奴らはせめて装備だけでも整えようと躍起になるだろう。『レヴナント』は中規模の備蓄倉庫とはいえそれなりの装備は置いてある。奴らからすれば宝の山だろう」


「あー、そういうことか。でもリデル1人で大丈夫か?」


「護衛はそれなりにつけている決まってるだろ。相手はこれ以上の損害を出すのを恐れて数を動かすことを躊躇するはずだ」


「ふーん、どうでも良いや」


アルバートが艦橋を出る。


「何だったんだ、アイツ?」


コガラシが困惑する。


⭐️⭐️⭐️


輸送船にエリアルシャッターが係留されている。


ハルヒ達のアーマードスーツも同じく輸送船にドッキングしている。


エリアルシャッターの隣のウェポンベイにはラグナスで使用した火力支援装備とバンカーバスター、『ルベリオス』が格納されている。


そういえば火力支援装備は《オーディン》というらしい。


《それじゃ、発進します》


輸送船のパイロットが伝える。


《了解》


ハルヒが答えると、輸送船はワープ空間へ突入していった。



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