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三つ巴

 リンナ達はネオ・プライマルの艦隊に肉薄し、攻撃を仕掛けていた。


《艦橋を狙え!》


ハルヒが指示を飛ばす。


《リンナ、ついてこい!》


バリーが戦艦の船首に向かう。


「はい!」


リンナもついていく。


バリーがミサイルを撃ち込む。


リンナも同じところにレーザーを撃ち込む。


戦艦の船首部分が爆発しだす。


《その調子だ、一隻も残すな!》


ヨシオと共に戦艦を撃沈したハルヒが全員に促す。


敵のアーマードスーツがライフルを撃ってくる。


《敵アーマードスーツの編隊を確認、数が多いです!》


ヨシオが切羽詰まった声で報告する。


《ワルキューレ、相手を頼めるか?》


ハルヒがワルキューレ2に尋ねる。


《丁度兵装を撃ち終えたところだ。任せておけ》


ワルキューレ隊が編隊を組み、迫り来る敵アーマードスーツ部隊を迎え撃とうとする。


その時、大きなエネルギーの塊が敵アーマードスーツ部隊を消し飛ばした。


《な、なんだ?》


ワルキューレ2が困惑する。


《お前ら、どけ!》


ヨッシーの声だ。


《ワルキューレ2より全機散開!》


ワルキューレ隊が急いでばらける。


また大きなエネルギーの塊が飛来し、戦艦を撃ち抜いた。


《さすがはルベリオス、たった一発で》


ヨッシーが感嘆しながらノーザン隊と合流する。


《なんであんたがアテナのやつに乗ってんだ?》


ハルヒが疑問を口にする。


《今必要かその説明?俺たちの艦隊にも被害は出てる。早いとこ終わらせるぞ》


ヨッシーがまたルベリオスを発射する。


戦艦が一隻、消し炭になる。


⭐️⭐️⭐️

《互角みたいね》


息を切らせながらアテナが言う。


《私はそうは思わないけどね》


エレンも息を切らせながら強がる。


双方ボロボロになり、あと一撃くらえば命取りになるだろうという状態だ。


2機が己の武器をぶつけ合う。


鍔迫り合った状態で硬直する。


《ちっ、諦めなさいよ》


《はぁ?仲間に顔向け出来ないでしょーが》


《リーダー、まずいです》


副官から通信が入る。


《何が!》


エレンが思わず怒鳴る。


《艦隊の被害が広がりすぎています、戻ってきてください》


《戻れる状況じゃない、わかってるだろ》


《ですが、ノクターン隊も護送中ですし、ノーザン隊とワルキューレ隊に対抗できる戦力はこちらにありません》


《ワンマン組織の辛いとこだよねー》


アテナが煽る。


《くそっ、ノクターンを呼び戻せ!ここで負ければ全て終わりだ。エンジェル・ダストなんぞ放っておけ!》


エレンが命じる。


⭐️⭐️⭐️


ノクターン隊はネオ・プライマルの研究所にエンジェル・ダストを運び込む輸送機の護衛を担っていた。


《ノクターン隊、ラグナスで交戦中の艦隊から帰投命令が出ている。護送が完了次第、直ぐに....いや、待て》


基地の方が慌ただしくなったのを感知したノクターン1が問いかける。


《管制官、詳しく説明してもらえるか?》


《敵艦隊出現!数が多い!アーマードスーツ部隊は既に発進している模様!》


管制官が慌てたように報告する。


《エンジェル・ダストを奪われるわけにはいかん。全機迎撃するぞ》


早速レーザーが飛んでくる。


ノクターン5が撃墜される。


《陣形を組み直せ、突かれるぞ!》


ノクターン1が指示を出す。


無数のアーマードスーツがこちらに敵対してくる。


《な、なんだこの数!》


《コイツら、ピースコンパスじゃない!》


味方が狼狽える。


ノクターン1が撃墜した機体を見て驚く。


《ブルーファイターズのアーマードスーツ?》


《こっちはテリアンクランのです》


ノクターン2が困惑する。


《カイザーもいます》


《どういうことだ?なんでこいつらが俺たちと敵対する》


ノクターン1が敵を斬りながら疑問を口にする。


レーダーが光点に埋め尽くされる。


《敵がファンネルを出しやがった。ノクターン隊各機、諦めろ》


あっという間に無数のファンネルがノクターン隊、研究所からの増援部隊を喰い尽くした。


フルファイトアーマードスーツが研究所を破壊していく。


《こちらアルバート、エンジェル・ダストは確保した。コガラシ、次はどうすれば?》


《よし、こちらに持ってこい、他の艦はラグナスに向かえ。『スペースウォーリャーズ2』を停滞させた戦争屋どもを駆逐し、平和を取り戻すぞ》


アルバートのアーマードスーツが輸送機を曳航する。


《リデル、手伝えよ》


《しょーがないわね》


もう1機のアーマードスーツがアルバートを手伝う。


艦隊がラグナスにワープしていく。


⭐️⭐️⭐️


ノアの方舟で戦況を監視していたラルは突如現れた艦隊に驚きを隠せなかった。


「な、なんだこいつらは?おい、増援なんて頼んだか?」


「知りませんよ!ブルーファイターズの巡洋艦とか、テリアンの駆逐艦とか、いろんなクランの船が集結しています!」


管制官が通信を試みるが、無駄だったようだ。


「念の為、警戒しておけ。まさかとは思うがな」


ラルが祈るように呟く。


依然戦闘中のハルヒ達も突如現れた艦隊を目にして、動きを止める。


《何が怒ってるんだ?》


ハルヒが困惑する。


《増援か?だとしたらどっちのだ?》


バリーも訝しむ。


「すごい、大艦隊だ」


リンナが呆然とする。


集合体恐怖症の人間にはちょっとキツイかもしれない。


アテナとエレンも動きを止める。


《....なんのつもりだ、カイザー》


エレンが唸る。


《カイザーって、カイザークランのこと?終戦しろだのなんだのうるさい?》


アテナが尋ねる。


《そうよ。他のクランも連れてどういうつもりかしら》


一際大きな戦艦がラグナスに姿を表す。


カイザークランの旗艦、『ディグレイス』だ。


《大きい、私1人じゃ時間かかりそうだね》


アテナが狼狽える。


《ピースコンパス、ネオ・プライマルの両軍に告ぐ、貴様らの長きにわたる戦闘行為で我々一般プレイヤーは現在進行形で大きな損害を受けている。貴様らの戦闘行為に巻き込まれたものも多数いる。我々は貴様らを許すことはない。力づくでも終戦に向かう!今ここに、スペースウォーリャーズ連合軍を結成し、戦争の源である貴様らを抹殺することをカイザークランのリーダー、コガラシが宣言する!》


《スペースウォーリャーズ連合軍?どうせすぐ内ゲバで壊滅するさ》


アテナが不敵な笑みを浮かべる。


《全艦隊、全武装使用許可、一斉砲撃せよ!アーマードスーツは一斉砲撃の30秒後に出撃せよ!》


スペースウォーリャーズ連合軍艦隊から物凄い火力の砲撃が繰り出される。


ピースコンパス、ネオ・プライマル両軍に甚大な損害がもたらされた。


《ノーザン隊、ワルキューレ隊、撤退して!》


グランディオーサのユキノから撤退命令が下される。


《了解した、ノーザン隊、ワルキューレ隊、全速力で撤退するぞ!》


ハルヒの鶴の一声でノーザン隊とワルキューレ隊が艦砲射撃を避けながらグランディオーサに向かう。


《決着は次にお預けね!》


アテナも撤退を選択する。


《そんなこと言ってる....》


艦砲射撃がエリアルフェンリルを掠める。


《くそっ!全軍撤退だ!一刻も早くラグナスから離れるんだ!》


エレンが撤退命令をくだす。


連合軍艦隊からアーマードスーツが出撃してくる。


《まずいぞ、アーマードスーツだ!》


バリーがライフルを撃ちまくって相手を牽制する。


「ワープの準備をしておいて、ハルヒ達が格納庫に入った瞬間にワープするから!」


グランディオーサの艦橋でユキノがクルーたちに指示を出す。


「敵アーマードスーツ確認!」


「対空戦闘、始め!キャノンキャンサーの使用を許可します」


ユキノがテキパキ戦闘指揮を取る。


「全速反転、シールド起動、余分なエネルギーはシールドと防空兵器に回して!」


「了解!」


「ノーザン隊、ワルキューレ隊、順調に接近しています!」


そこへラルから通信が入る。


《フロンタル9に》


「分かったわ」


「対空砲3番から7番被弾、防空網突破されました!」


管制官が慌てて報告する。


「真正面じゃない!ミサイル発射、撃墜しなさい!」


防空砲火を突破したアーマードスーツの部隊にミサイルが迫るが、敵はビットンを射出して全てを撃墜した。


「ミサイル、目標命中せず!敵、依然接近中!」


艦橋からも迫り来るアーマードスーツが見える。


「万事休す、かしら」


ユキノが覚悟を決める。


敵がライフルを艦橋に向ける。


思わず目を瞑る。


《させるわけ!》


アテナの声が通信機から聞こえてくる。


《アテナ!》


ユキノの顔が希望でパッと明るくなる。


アテナたちは間に合ったんだ!


緊張が抜けて床に座り込んでしまう。


エリアルワルキューレのファンネルが艦橋付近にとりついていたアーマードスーツ部隊を全て撃ち落とす。


「ファンネルってほぼチートじゃないですか?」


リンナが苦笑いしながら言う。


《そう?避けられるからあんま分かんないや》


アテナが軽々と言い放つ。


《駄弁ってる場合か!格納庫に飛び込め!》


バリーが怒鳴って開いたハッチに向かって飛び込んでいく。


《えー、大丈夫なんですかぁ〜!?》


ヨシオが悲鳴をあげながら突っ込んでいく。


「敵アーマードスーツ引いていきます、艦砲射撃第二波であると予測されます!」


「ハルヒ達は?」


ユキノが尋ねる。


「全機収容完了!あ、ベネット機、クラリス機、カンナギ機も!」


ユキノが命令を下す。


「ワープ開始!」


グランディオーサがラグナスから姿を消す。


そのすぐあと、連合軍艦隊の艦砲射撃が始まり、また多くの戦力が失われることになった。


それでも、生き残った船が戦線を離脱し始める。


ネオ・プライマルの艦隊も次々とワープし、戦線を後にする。


⭐️⭐️⭐️


ディグレイスの艦橋の艦長席に座ったコガラシが息をつく。


『だいぶ戦力は削れたな。あとは、A.D.Fユニットを完成させるだけだ』


必要な材料は揃っている。


『スペースウォーリャーズ2』の二つ頭を一気に始末できるチャンスを逃さない手はない。


「これからはカイザークランの時代だ」


コガラシが呟く。

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