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4R 魔法を覚えな始まらん

何とか目が見えるようになってきたんだ。


ああ、そうだ。俺は相変わらず赤ちゃんのままだ。


ようやくお母様のお顔を拝見することができた。


んまぁ美人だこと。


どこの女優さんかと思ったわ。


しかし異世界はすごい。


異世界がすごいのか、ここの侯爵家がすごいのか。


メイドさんもまぁ美人しかいない。


リンシャーンもとんでもない美少女だったよ。


こりゃあ将来が楽しみだわ。




「リーチ様!オムツがテンパっていますです!」


オムツがテンパってるて。


俺の名前がリーチだからか?


リーチのオムツがリーチって?


もう少しでオムツから溢れそうってことかな?


色んな意味で将来が楽しみだな!




そんなんわけで美人揃いな侯爵家なんだ。


お父様の趣味でこうなっているのなら、なんてうらやまけしからん権力をお持ちなのか。


だがお父様にはまだ会うことは出来ていない。


これで熊さんみたいな男だったらびっくりだぜ!




そんなことより大発見があったんだ。


魔法だ。


魔法を見た。


お母様が俺を喜ばす為なんだろうか、指に光を灯したんだ。


俺もただ寝て起きての生活をしていた訳じゃない。


成長したらどうするかを考えていたんだよ。


魔法の使い方だ。


パチ屋の外側は作れるさ。建物だからな。


その中を作るのは俺の魔法でしか無理なわけだ。


そもそも魔法の使い方がわからん。


覚えるためにはどうしたらいいか日々悩んでいたんだよ。


そしたらお母様が指に光を灯してらっしゃる。


チャンスと思って声を出したんだ。




「おんぎゃあああああああ!おぎゃあ!おぎゃあ!」


まさかのギャン泣き。


感情バグり過ぎだぞっ!


赤ちゃんの感情制御機能どうなっとんのじゃい!


「あらあら、どうしたの?魔法を見せたのが怖かったのかしら。本当にごめんなさいね。よしよし。」




お母様がせっかく魔法を使ってくれたのに、俺が泣いたせいで引っ込めてしまったのだ。


その後もなんとかしてもらう為に声を出したり手足を動かしてみたがダメだった。


それ以来見せてくれねーんだよ⋯


ああ、お母様。俺は嫌だから泣いたんじゃないんです。


もっと見たくて、教えて欲しくて声を出したとです!


伝わらないもどかしさ。


話せない辛さ。


存分に味わいましたよ。


だが俺は諦めない!


何としても早いうちから魔法を使えるようにならないとなんだ。




魔法⋯魔法⋯魔法⋯魔法⋯魔法⋯魔法⋯


頭がおかしくなりそうだ。


体は思うように動かない。


話すことも出来ない。


魔法の取っ掛りすら掴めない。


考えては諦めて。考えては諦めて。


そんな毎日を最近は送っているよ。




ある日俺は見つけた。


もう何度諦めたか分からない。


いつものように寝ていたんだ。


すごいリラックスしていたのか。


それとも自然体だったのか。


何やら違和感を感じたんだ。




いやオムツは汚れてない。


そっちの違和感では決してない。


何やらお腹の辺りに違和感があるんだ。


だからオムツは汚れていない。


そっちでは断じてない。




自然体でいるとお腹の辺りに渦巻いているものがあるのに気が付いたんだ。


おそらく魔力と言うやつなのではなかろうか。


いくら俺がパチンカスだと言っても、未成年の頃は多少ファンタジーなことに興味を持っていた時期だってあるさ。


さて、この魔力とやらをどうやって使うかなんだ。


分からない。


教えてくれお母様。


だが俺は話せないんだ。


だから1人でやるしかない。


そこから俺の魔力との格闘が始まったんだ。




俺は考えた。


お母様は指先に光を灯した。


ということは魔力を指から放出したことになる。


もしくは魔力をお腹で光に変換して指先に移動させたのかもしれない。


後者の場合、火や水ならどうする?


そんなものが体内を巡るか?


おそらく無理だろう。


なので魔力だ。魔力を動かす。


これをやってみようじゃないか。




色々試してみたよ。


赤ちゃんは動けないから体内の魔力を動かすために何をするばいいをだ。


まずは腹に力を入れる!


「リーチ様!またオムツがテンパっていますです!」


お約束だよな!


ふぅ、スッキリした。


危うく自摸(ツモ)るとこだったわ。


リンシャーンの反応スピードがなければ、おそらくリーチ一発で自摸(ツモ)ってたな。




ただ力を入れたらオムツがテンパるだけだからな、そうじゃないってことがわかったわけだ。


このお腹にある渦巻くものを、更に渦巻かせる。


ぐるぐるぐるぐる⋯


ぐるぐるぐるぐる⋯


ぐるぐるぐるぐるグルコサミン!


膝を回しちゃうぜ!


違う!世田谷で育っちゃいない!


俺の魔力は異世界で育てるんだ!




ぐるぐる回れと念じていると、何やらお腹が温かくなってきた。


この感じはなんだ?


これが魔力なのか?


もっと回せばいいのか?


とにかく回してみよう。


お腹がネジ切れるほど。




その日から俺は魔力をぐるぐると回すようになっていた。


何日か後には全身を巡るように魔力が身体中を回っている。


そうするとどうだ。


魔力を回す前と今では身体の動きが全く違う。


速く動くようになっていたんだ。


声も大きくなっている気がする。


いや気の所為じゃない、なってる。


リンシャーンがびっくりしてるもんな。




「リーチ様の声がテンパっているでますです!」


どゆこと?声がテンパるて何?


あ!なるほど!


張ってると!聴牌(テンパイ)のことを張ってるって言うよ!


声を張ってると、そう言いたいんだな!


なんて頭のいい子なんでしょ。


テンパってるって言葉の使い方の新たな可能性⋯


見つけてくれてありがとう。


ほんと⋯将来が楽しみな子だよ!


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