宇野駅前のダンジョン(中編)
「ふっ!!」
その後もダンジョン内で何度かエネミーと遭遇した。
リザードマン以外にも、やはり大ナメクジとコウモリが潜んでいた。
コウモリに関しては、剣スキルの【ソニックバスター】で迎撃し、ナメクジに関してはアリスちゃんと謙二さん、凜さんに任せた。
「しかし、ホンマに零時くんの剣スキル、流石やわぁ」
「実際に見ていても、剣から真空の刃を発生させてまとめてコウモリを屠れるのも強みだね」
「しかも一撃でだからな」
「今までは美波姉様に頼っていたので、助かるのです」
「アリスちゃん達の方は?」
「バッチリ倒したのです!」
美波さんの魔法と一緒にコウモリを倒した後で、チーム飛鳥のみんなから俺のスキルの【ソニックバスター】の凄さを評価していた。
やはり謙二さんや美波さん、凛さんから見てもソニックバスターはかなりの難易度を誇っているみたいだ。
それを簡単に扱える俺も、ある意味異常なんだろうが、使えるものは使うしかないだろう。
俺は火属性のスキルが使えないしな。
しかし、今まではこういう空を飛ぶ敵に対して美波さん一人でやってたのか……。
これで負担が軽減できるなら使ってもいいのかもな。
《しっかし、相変わらずゼロの【ソニックバスター】は精度がすごいな》
《ああ。 遠くのコウモリをいとも簡単に命中させるんだし。 しかも三匹まとめて》
《一方で、アリスちゃん達はナメクジを相手にしてたけど、結構余裕そうだったなぁ》
《場慣れしてる感じが何とも言えないな。 面構えも違う》
一方の視聴者も色々言いたいことをコメントに残してるな。
中にはお布施付きのコメントも残しているみたいだが、俺よりもアリスちゃん達の場慣れした戦いには見惚れているのは否定しないな。
(これからチームでやっていくのに、上手く連携できるのか?)
それを考えていたら一瞬不安が過った。
このチームで俺はやっていけるのかと。
「気にしたら負けだ。 君はよくやっている。 その調子でどんどんやっていこう」
「自分に自信を持つのも大事だよ、零時くん」
「そうなのです!」
「せやでー。 零時くんの剣のおかげで上手くやれてるんやし、自信持ちやー」
それを察したのか、チーム飛鳥のみんなが励ましてくれる。
特にアリスちゃんは、配信中にも関わらず俺に抱きついてくる。
お願いですから放送事故は勘弁してください。
《おおー、アリスちゃんやるねぇ》
《アリスちゃんとゼロはいつ結婚するんだろうなぁ》
《早く結婚しちゃえよ》
《いやー、ブラックコーヒーが甘くなったなぁ》
あれ?
思いのほか、視聴者さんは俺とアリスちゃんの仲を応援してくれている?
確かに国から早期に推奨されてはいるけど……。
「VTuberや芸能人などによくある【ガチ恋】勢は、事前に国が察知してブロックしたりアカウントを消したりして排除してるんよ。 ダンジョンライバーは国家事業やし」
「ああ、なるほど……」
それでか。
芸能人やVTuberなどによく見る盲目的なファン……、いわゆる【ガチ恋】勢はダンジョンライバーに限っては事前に国が察知し、アカウントをブロックしたりアカウントごと消したりしている。
こういうのは、国家事業であるが故に、ダンジョンライバーの行動を阻害するのを防ぐためなんだろうな。
「さて、さらに奥へ進むでー。 このダンジョンは仕掛けがないし、構造は単調やし、エネミーさえ気を付ければすぐにボスのエリアや」
「はいです!」
「「「おー!」」」
話が長くなってしまったので、先へ進むことにした。
美波さんが言うように、宇野駅前に現れたこのダンジョンは構造が単純で仕掛けもない。
エネミーさえ気を付けて対処すれば、すぐにボスの部屋へたどり着けるだろう。
「さぁ、ボスのエリアに着いたで。 後はこのボスを……」
そうしている内に、ボスのエリアまでたどり着いた。
美波さん曰く、このボスを倒せば、クリアになるのだが……、何か違和感があった。
「零時くん?」
俺の様子がおかしい事が気になった美波さんが声を掛ける。
ここまで来た以上、俺は正直に話す。
「ここのボスって、あんなに大きい奴でしたっけ?」
「え……?」
俺の言葉に、アリスちゃんも驚きながら前方を見る。
「リザードキングを……食ってる!?」
本来のボスであるリザードキングを何者かが食べていた。
それを見た凜さんも顔を青ざめている。
「まさか、こいつは……!?」
リザードキングを食ったその魔物は、俺達に気付きこっちを向ける。
その姿を見て、謙二さんはこう言った。
「こいつは……、【怪獣】ロックバスターだ……!」
見た目が蟹のような感じのエネミー。
まさかのレベル2のダンジョンで、【怪獣】というより強いエネミーである【ロックバスター】と遭遇してしまうとは。
誰も全く予想できなかった……!
次回は明日に更新します。
時間帯は未定です。
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