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身内に劣等感を抱くダンジョン配信者は、新天地でまったり配信したい  作者: イズミント


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京都市のダンジョン(後編)

《うげぇ、ゴブリンもゾンビ化したバージョンがあるのか》

《確かこいつは、厄介な攻撃もしてくるはずだ》

《火属性が使えないゼロがどうやって聖水をぶっかけるタイミングを作るのかは楽しみだ》


「一部の視聴者さんが言うように、こいつも聖水は効きます。 ですが、500ml分の聖水をいくつ使用すれば倒せるかはわからないので、まず使えるように色々攻撃を仕掛けます」


 マンション型ダンジョンの10階でボスのゴブリンゾンビと遭遇したのを受けて視聴者からのコメントがざわつく。

 ゴブリンのゾンビ化したバージョンを見たことがない視聴者が殆どのようだが、一部の視聴者が言うようにこのボスも聖水が効く。

 だが、いくつ聖水を使えば倒せるかはまだ不明だ。


 なので、確実に聖水が効くように攻撃を仕掛けたりして足を止めないといけない。

 まず、俺は剣を手に取ったのだ。


《あれ? 今、ゼロが取り出した剣、錆びてないか?》

《確かに。 とはいえ、現状じゃ【鍛冶師】のスキル持ちがいないからなぁ》

《なるほど、使い捨てか。 確かにそれなら何があっても大丈夫だろう。 本命は聖水を掛ける事だから》


 コメントには俺が使う剣が錆びているのに気になる視聴者もいる。

 だが、現状では一部の視聴者が言うように【鍛冶師】スキルを持っている者はいないのだ。

 凛さんみたいな【創造者(そうそうしゃ)】は、あくまで武具やアイテムを作成するという役目に特化しており、メンテナンスや修理は【鍛冶師】スキルに振り分けられているからだ。

 なので、使い込んで錆びついたら専用のゴミに捨てるしかないのが今の現状だ。


《¥20000 【美波チャンネル】 聖水を掛けるまでに、いかに足を止めるための攻撃を仕掛けられるかやね。 頑張れ、ゼロ君》


(おっと、美波さんからの赤いお布施が来たか。 アリスちゃんも攻略終わってるし、負けられないか)


 期待の眼差しを感じる程のコメントの中に美波さんの赤いお布施付きコメントを見つけた。

 やはり、彼女も見ているのか、プレッシャーが半端ない。

 だが、アリスちゃんも駅地下のダンジョンを攻略したというメールを8階探索中の時に届いてたし、負けてはいられない。


『オオォォォ!』


「うわっと!!」


 気合を入れて仕掛けようとする俺を阻止するかのように、ゴブリンゾンビの口から何かを吐き出してきた。

 それを慌てて回避する。


「うげっ、マジかよ……!」


《げぇっ! さっきの吐き出した唾液に溶解性能があるのかよ!?》

《食らったら、確実に溶かされるな》

《やべぇ! 飛び道具も放つとかうかつに近づけられないんじゃ……!?》


 奴の口から吐き出した唾液の弾は、着弾した際にその床を溶かし始めた。

 これが人に掛かったら、問答無用で骨まで溶かされるだろう。

 これを食らうわけにはいかない。


「せいっ!!」


『ガっ!?』


 だが、俺も即座に反撃する。

 突然の攻撃にゴブリンゾンビは対処できず、そのまま錆びた剣で斬られる。


「今っ!!」


『ギエェェェッ!?』


 そこからすぐに2本分の聖水をゴブリンゾンビにぶっかける。

 すると、奴は苦しそうにもがくが、すぐには浄化できないようだ。

 だが、やはり聖水は奴にも効果があるようで、かなりのダメージを与えてくれる。


《やはり聖水は効くが、すぐには倒せんか》

《というか、奴を斬った剣が溶けてないか?》

《奴の身体の中に溶解液が仕込まれてるっぽいな》


 聖水を撒く事を優先したので、手放した剣はそのまま溶けてきているようだ。

 錆びているので問題はないが、奴の身体にも触れるわけにはいかなくなったか。


「なら、これで行くしかないな」


 そう言いながら数本の錆びたり刃こぼれした剣を取り出して、奴に向かって投げつける。

 

『ウオォォォォ!!』


 黙ってやられないと言わんばかりにゴブリンゾンビも溶解性能がある唾液の弾丸を口から吐き出す。

 投げた剣の数本が盾となって、唾液に当たりその剣は完璧に溶かされるが、何本かが奴の身体に直撃する。


『グアアァァァァ!!』


「よし、今だ!!」


 多数の剣が刺さり、そのままの状態で俺は聖水を2本ずつ連続で振りまく。

 大体ここで聖水を8本は使ったが、これによってゴブリンゾンビは溶けて消えていく。


「ふぅ、終わったか」


《やったぜ!》

《お疲れ、ゼロ》

《いやー、ゴブリンゾンビさんは強敵でしたね》

《誰だ、霧を呼んだのは!?》


 ゴブリンゾンビを倒した事で、専用のスマホにもクリアしたという証明通知が入って来た。

 これでマンション型のダンジョンはクリアとなる。


 ただ、コメント欄には色々と突っ込みを入れたい内容もあるけど、ひとまず配信を終えないとな。


「さて、色々ありましたが何とかダンジョン攻略が完了したので、ここで配信を終えたいと思います。 皆さま、お疲れ様でした」


《おつー》

《お疲れー》

《¥25000 【STELLA.Ch】 お疲れ様デース! 流石でしたー》


 配信の締めに、ステラちゃんを含めたいくつかのお布施付き労いコメントや普通の労いコメントが寄せられた。

 愚兄の件で色々あったものの、何とか今日のダンジョン攻略は完了できた。


 とはいえ、聖水と錆びたりしたボロボロの剣は結構使ったしなぁ。

 そう思いながら、下京区の役所で報酬を貰ってから、拠点の宮津市のアパートに転移するのだった。


「あ、ゼロ兄様。 お帰りなのです♪」


 アパートに入ると、既にダンジョン攻略を終えたアリスちゃんが先にアパートに入っており、料理を作っていたのだ。

 そういえば、彩音さんから予備の鍵をアリスちゃんに渡してたような……?



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