京都市のダンジョン(中編)
「ふう、ようやくこの階もクリアか……」
《まさか、破れた紙を集めてジグゾーパズルのように組み合わせないと番号が分からないとはな》
《おつー。 すっげー面倒な階層だったなぁ》
《エネミーが出てこなかったのが救いか》
《ああ、確かに》
マンション型のダンジョンの最初の階層をクリアした俺は、何とか4階までクリアし、次は5階へと進む。
4階は、破れた紙を集めてパズルのように組み合わせて完成したメモに書かれた数字を入力しないと次の階へ行けない仕組みだった。
面倒くさい事この上なかったが、その階はエネミーが出てこなかった事が救いだった。
コメントを見る限り、視聴者も同じ感想だったしな。
「では、ようやく5階に入ります。 ようやく中盤ですね。 このダンジョンはどうも10階っぽい感じですね。 入り口から見たマンションはそれ以上あったけど」
《ああ、確かにそうだ。 入る前の廃マンションはかなり高層だったはず》
《10階なら何とかなりそうだな》
《4階みたいなメンドクサイ仕掛けがないといいんだけどね》
さて、このダンジョンの中盤に差し掛かる5階に来た。
このマンション型のダンジョンは10階にボスがいるような感じだ。
外から見たあの廃マンションみたいな高層なら疲労で攻略を打ち切る可能性もあったが、10階までなら何とかなりそうだ。
外とダンジョン内では中身が異なるのは、あの天橋立のダンジョンで経験済みだしな。
「お、ここは普通に6階へ上れるな。 仕掛けもなさそうだが、問題はエネミーか」
《ああ、仕掛けが無い所はエネミーが出るんだっけ》
《2階や3階は、ブラッドスライムだったけど、5階は何だろうな》
《¥2500 ともかくまだ中盤ですし、気を引き締めましょう!》
2階や3階もブラッドスライムが出現して、アイスボールで凍らせてからハンマーで叩き割る作業が続いた。
アイスボールも沢山用意してよかったと思う。
だが、5階から中盤に差し掛かるので、出現するエネミーは変わるはずだ。
『ウゥー、アァー!』
「むっ!? あれは……」
6階への階段を目指して進む途中で後ろからうめき声が聞こえてきたので、振り向く。
「ゾンビか!」
そこにはゾンビが3体が現れたのだ。
《うぉ!? ゾンビかよ!?》
《マジで腐ってんなぁ……》
《このマンション型のダンジョン、アンデットの巣窟か?》
《確かこいつは、火で火葬するか、浄化魔法や聖水で浄化させるんだったか》
ゾンビの出現に視聴者のコメントがさらに盛り上がる。
どうもこのマンション、アンデットの巣窟の可能性もありえそうだ。
実は、3階にはブラッドスライム以外にもゴーストが現れたからだ。
そこで3つ聖水を使用している。
「幸い、ゾンビもスケルトンとは違い、普通に聖水を掛ける事で浄化は出来そうです……ね?」
俺がドローンのカメラに向けて、ゾンビに対し聖水を使おうとした時にその異変は起こる。
『アァァァぁー!!』
「ダニィ!?」
何と、3体のゾンビが急に筋肉モリモリになって襲い掛かって来たのだ。
身体が腐っても筋肉姿になるというおかしなタイプのゾンビの攻撃を何とか回避する。
「あっぶな……!」
《何だ今のは!?》
《ゾンビが筋肉モリモリのマッチョマンになった!?》
《ゼロ、何とか躱したけど、あの攻撃力はヤバいな》
《というか、さっきゼロの奴、某野菜王子っぽい驚き方しなかったか?》
ゾンビの奇怪な行動に視聴者も驚いている。
まさか、筋肉ムキムキになって襲うとは思わないだろう。
その際の攻撃の威力もヤバそうだしな。
「だが、聖水には弱いはずだ! 食らえ!!」
俺がそう言いながら、6つの聖水を3体のゾンビに向けてぶっかけた。
『ギアァァァァ!』
「よし、瞬く間に消えたな。 やはりゾンビだから、聖水に弱いのは変わらないな」
すると、瞬く間にゾンビは灰になって消えた。
筋肉モリモリになっても、弱点は変わらないみたいで安心した。
「では、先に進みましょう」
視聴者にそう言って、俺はさらに上へと向かう。
6階から9階も面倒くさい仕掛けなどはなく、エネミーが代わりに襲撃しやすくなっている。
ゴーストやゾンビなど、スケルトン系以外のアンデットがかなり出現していたため、結構聖水を使ったかな。
ブラッドスライムは、6階より先は出現しないみたいだが。
ともかく、聖水を多く使ったおかげで何とか10階にまで上り詰めた。
「さて、10階はまるまるボス部屋ですね。 何が出るんだろうか?」
そして、何とか10階に到着したのだが、10階はまるまるボスの部屋となっている。
何が出るかはわからないが、警戒は怠らないようにしよう。
すると……。
『ウゥゥー、アー!!』
「ゴブリンゾンビか……! これも厄介なんだよなぁ!」
空間から1体のゴブリンゾンビが現れた。
最後までゾンビ系がひしめくあたり、やはりここはアンデットの巣窟なんだろう。
そう思いながら、俺は剣の方を抜いたのだった。
次回は明日に更新します。
時間帯は未定です。
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