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京都市のダンジョン(前編)

「さて、昨日はご心配をおかけしてすみませんでした。 昨日攻略する予定だった京都市にある廃マンションに出て来たダンジョンを攻略したいと思います」


 昨日に発覚したあの長兄の岡崎 哲男のやらかしから受けたショックをアリスちゃんに癒してもらってから翌日の昼。

 本来は昨日攻略する予定だった京都市にある廃マンションに出現したダンジョンを今日、攻略する。

 廃マンションの向こう側には、元々廃墟だった小学校を壊して、新たな芸術専門の学校が建てられている。


 ひとまず、ここを攻略しておかないと、安心して学校運営が出来ないだろう。

 とはいえ、昨日は急な休みとなったので突入前にお詫びを入れた。


《気にするな。 Tetsuoの件は女神様が動いているから》

《Tetsuoよりも信者の方が怖いかもな》

《とにかく気にせずに今回も頑張って下さい》


 流れてくるチャットコメントには、激励と気遣いのコメントが寄せられていた。

 お布施はないものの、他の企業や海外の攻略者のコメントも流れていたようだ。

 早すぎて見えなかったのだが……。


 コメントにもあるように、愚兄の哲男には女神様が動いてくれている。

 奴の件は、女神様に任せるとして、俺はそのままダンジョンを攻略していこう。


(アリスちゃんは、下京区の駅地下に出たダンジョンを攻略中だしな。 凜さんも一緒みたいだし)


 なお、アリスちゃんは凛さんと合流して、駅地下のダンジョンを攻略している。

 あそこはレベル2なのだが、難易度的にレベル3近い形なので、二人での攻略としたようだ。

 向こうも【チーム飛鳥】のチャンネルで攻略配信している所だ。

 俺も負けていられない。


 何せ、俺が挑むこの廃マンションに出現しているダンジョンはレベル3。

 レベル2と比べて難易度が高めとなっているからだ。

 幸い、まだ魔法系スキルを封じるエネミーが出てこないのは救いだが、ダンジョンの構造次第で攻略に時間が掛かるかもしれないな。


「今回は、念を入れて聖水も用意しています。 廃マンションなので、何が起こるかは分からないので」


《あー、確かに》

《廃ビルや廃校もそうだけど、アンデットが出やすいからなぁ》

《幸い、聖水の価格が安めなのが救いだな。 確か長野の安曇野(あづみの)の湧水で作られた奴なんだよな》


 そう。

 今回はいざという時の為に聖水を大量に用意した。

 長野県の安曇野(あづみの)で汲める湧水を素材として聖なる力を付与して作った水が今所持している聖水なのだ。

 これだけで大半のアンデットを浄化できる優れもで、しかも安い。


 今回は、廃マンションのダンジョンなのでアンデットが出る可能性もある。

 何が出てもいいように、多くの聖水を持ってきたのだ。

 ちなみに、所持している鞄は対策庁から支給されたアイテムボックスで、これ一つで数千個入れられる魔法の鞄なのだ。

 重さも変わらないので、抱えながら戦う事も可能だ。


「では、突入!」


 道具のチェックも終わったので、すぐにダンジョン内に突入する。

 中に入ると、廃墟と化したマンションの内部がそのままダンジョンとなっていたようだ。


《うわー、マジで朽ちたマンションそのものがダンジョン化してるよ》

《ホラーゲームにも出て来そうなマンションだなぁ》

《おい、やめろ!! 俺はホラーが嫌いなんだよ!!》

《¥2000 お祓い用として寄付します。 ご査収ください》


 ダンジョン内部を見た視聴者も反応は様々だ。

 朽ちたマンションそのものがダンジョンとなっているので、ホラーゲーム感がバリバリ出てくることで、ホラーが嫌いな視聴者も出てきている。

 あと、お祓い用として何故かお布施が入ってきたのだ。


「今の所、エネミーは出てきてない模様……?」


 俺がそんな事を言った瞬間、マンションの各部屋の厳顔のドアに突然血が付着した。


《うぎゃあぁぁぁ!! 血がぁぁぁぁ!?》

《まさかの衝撃映像が!?》

《いや、待て、落ち着け! 確か……》


 視聴者が阿鼻叫喚のコメントを流している間に、俺は別の魔道具を用意した。

 氷の魔道具【アイスボール】だ。

 ドアに付着している血の色が、余りにも真っ赤過ぎるのだ。


(確か血に偽装して襲うスライムがいたはずだ。 多分、奴だろうな)


 俺は警戒しつつ、魔道具を手にしてドアに付いた血を見る。

 少ししてから、その血は俺に襲い掛かって来た。


「やはりかっ!! くらえっ!!」


 同時に俺がアイスボールを襲ってくる血に投げつけた。


『!?!?!?』


 聞き取れない悲鳴をあげながら、その血はアイスボールによって凍結される。

 そして、すぐに鞄からハンマーを取り出して、そいつを叩き割った。


「やはり【ブラッドスライム】か」


 そう。

 明らかに真っ赤過ぎたその血の正体は、【ブラッドスライム】だった。

 これは、血に偽装して触れた人間を取り込んで溶かしてくる凶悪なエネミーだ。

 だが、ランクはDでまだ【魔獣】の域なのだが……。


《やっぱりかー》

《というか、ブラッドスライムって触った人間を溶かす凶悪な魔獣だよな》

《ああ、確か物理が効かないから、火の魔法で溶解させる方がいいのだけど、こんな倒し方もあったのか》

《¥20000 【KENJI】 スライム系を氷属性で固めてから叩き割るって発想もなかったな。 これの火属性が使えない場合に利用できそうだ》


 今回俺がやったのは、氷属性の魔道具で固めてから打撃武器で叩き割る方法だ。

 スライム系に関しても本来は火属性スキルを使ってスライムの粘体を熱で溶かすのだが、俺は火属性のスキルが使えないので、これで対処しているのだ。

 やはり、コメントにはこの発想がなかったようで、盛り上がっている。

 あと、謙二さんから赤いお布施付きのコメントを貰ったが、平常運転として割り切ることにした。

 なんか、また参考にされそうだけどね……。


 さて、ブラッドスライムを倒した俺は、次の階へ上がることにした。

 多分、ここからが本番なのだろうな……。

 

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