アリスちゃんの事情とコラボ申請
アリス・ハーミットちゃん。
イギリス出身の12歳の少女で、神童攻略者の一人とされている。
さらに、特例での日本への永住ビザを貰って来日し、飛鳥財閥が運営する攻略者を輩出する会社『マホロバ』に所属し、【チーム飛鳥】の一員として活躍中。
そんな女の子が、現在俺が新たに拠点としているアパートに一緒にいるのだ。
何でかって?
役所で偶然出会ってから色々と話をしたのだが、アリスちゃんがもっといっぱいお話をしたいため、俺の拠点としているアパートに行きたいと言ってきたのだ。
12歳の子を俺のアパートに連れて行くのは色々と不味いと思い、断ろうとしたら、スタッフさんもニヤニヤしながら、叶えてあげて下さいねと言われたので、結局連れて行くことにしたのだ。
どうやら、アリスちゃんが同意してるなら問題はないみたいだ。
「わぁっ♪ アパートという割にはお部屋が広いのです!」
「まぁ、攻略者かつダンジョンライバー向けのアパートだしなぁ。 さ、上がってくれ」
「はいっ。 お邪魔しますです♪」
金髪のセミロングを揺らし、赤いエプロンドレスのフリルスカートをひらひらさせながらアリスちゃんは部屋に上がっていく。
引っ越したばかりなので、見栄えが悪いのだが、アリスちゃんは気にしてないみたいだ。
片付けがまだ終わっていない中で、テーブルにアリスちゃんを座らせ、ジュースとお菓子を用意する。
お菓子は日持ちのする奴が残っててよかったと思うよ。
「しかし、イギリスじゃ12歳から攻略者になれるのか」
「そうなのです。 特にアリスは神童と呼ばれて色々訓練されたのです。 おかげで、ここ日本でも【チーム飛鳥】の一員として頑張れているのです」
日本じゃ高校卒業してないと攻略者になれないのだが、イギリスでは12歳から攻略者になれるそうだ。
そのため、海外から来た子が日本でも活動しやすいように特例で色々認めているのが実情だ。
ダンジョン攻略者法の第11条の海外からの攻略者の対処という項目で、資格の基準は海外の出身国に準ずるという例外事情が書かれているくらいだ。
とはいえ、アリスちゃんは神童と呼ばれた理由で、優先的に訓練漬けの毎日を送っていたようだ。
「大変なんだな、アリスちゃんも」
「あ……♪」
そう言った背景も聞いてしまった俺は不意にアリスちゃんの頭を撫でてしまった。
「ご、ごめん! つい子供扱いしてしまって……」
「いいのです♪ もっと撫でて欲しいのです」
「いいのか?」
「大好きなゼロ兄様に、もっと甘えたいのです。 アリスは、孤児院で育った孤児なので……」
慌てて謝るも、アリスちゃんはむしろ撫でて欲しいらしい。
どうも彼女は孤児らしく、両親は気付いた時にはいなかったそうだ。
孤児院で育った環境なので、純粋に甘えられる時期はほとんどなかったのだろうな。
まったりと配信しにくくなるだろうけど、今はアリスちゃんの想いに応えてあげないとダメだろう。
何気に俺に向かって大好きとも言ってるし。
「ちょっと失礼するよ、アリスちゃん」
「あ……っ」
俺はそう言うと、たまらずアリスちゃんを抱きしめる。
アリスちゃんは少し驚くもすぐに俺の身体に顔をくっつけて、頬ずりしてくる。
ああ、可愛い……。
「えへへ、嬉しいのです♪ ゼロ兄様の温もりが心地いいのです」
頬ずりしながらそういうアリスちゃんが可愛らしく、たまらず頭を撫でる。
暫くの間、アリスちゃんとのスキンシップに勤しむのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ありがとうなのです。 一杯甘えさせてくれて嬉しいのです」
「あはは、喜んでもらえたなら何よりだ」
もうすぐ夕方になる時間まで、アリスちゃんとのスキンシップが続いたのだ。
名残惜しそうにするアリスちゃんだが、そろそろ予定の雑談を含めたお絵かき配信をしないといけない。
「そういえば、ゼロ兄様はもうすぐ配信するのですか?」
「ああ、雑談を含めたお絵かき配信をね。 もう一つの仕事を活かした奴だよ」
「ふーむ」
俺がこれからお絵かき配信をすると言うと、アリスちゃんは考え事をする。
そして、すぐにアリスちゃんは俺にこう言ってきた。
「せっかくなので、ここで雑談コラボとして欲しいのです!」
「ふぁ!?」
まさかのコラボ申請に俺は驚く。
急遽のコラボなので、こっちの心の準備とかに問題があるのだが、せっかく彼女がここにいるのでコラボには応じようと思う。
まったり配信が遠のくことが確定してしまうがね……。
「分かった。 ゲストとして一緒に配信しようか」
「ありがとうなのです♪ 早速、凛姉様達に連絡を入れるのです」
コラボを受け入れた事で嬉しそうにスマホを取り出して通話をし始めるアリスちゃん。
多分、美波さんか凛さん辺りに連絡をするのだろう。
アリスちゃんが連絡している間に、俺はドローンの準備をして、彼女が通話を終えるのを待った。
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