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第9話
ギリギリまで吸っていた煙草を床に投げ捨てると、ジッと目を見つめる様にして話し始めた。
「運がイイ奴だな。
こんなに死人ばかりの街で死にかけた奴が目に入ったから、つい助けちまった。
気がついたんだったら、ここを出て行くんだ。
ここはお前の家じゃないんだからな。」
出てけっ、つったって動けないんだけれども。
その前にこのおっさん何者なんだ。
なんでオレはこんな所に。
どこなんだ、ここはいったい?
そんな問いが目から伝わったのか伝わらなかったのか、じっと目が合った後振り返り、壊れたドアを踏みつけながら部屋を後にした。
静寂と共に見慣れない崩れた景色が脳裏に浮かんできた。
まだ、自分の身に起きている事がどういう事なのか認められずに、考える事をやめて静かに横になって目を閉じた。
頬に違和感を感じ、徐々に目を見開くと洗い吐息が聞こえた。