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第8話
「おぃ、石田。
何ボーッとしてんだ。」
振り返ると、理科教師の鈴木が隣でジーッと無表情で顔を見つめてきた。
「すみません」
心無く謝った言葉に、眉をピクッと動かしたが、鈴木は話を続けながら歩いていった。
(何か重要な事あった気がするんだよなぁ。
何か忘れてるような・・・・・・)
そんな中、ふと手に違和感を感じて目線を下に向けると、真っ赤に染まり、血が滴っている手のひらが目に入った。
「うぉわぁっ!」
目の前には白くて、ボロボロの汚れた天井が広がっていた。
起き上がろうとすると、身体を鈍い痛みが駆け抜けていった。
見ると至る所に包帯が巻かれており、手当てされているようだった。
周りを見渡すと、ランプの光に照らされた天井と同じく白くて、ボロボロの汚れた壁に囲まれている小さな部屋だった。
床に壁から剥がれ落ちている瓦礫が散乱していたのを見て、先の光景は夢だったんだと気がつき、ボロボロのベッドにゆっくりと倒れ込んだ。
「気がついたか?」
ハッと声の方向に目を向けると、薄汚れた白衣を着た中年の男が立っていた。