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第3話
さっきまで、眠りの呪文を唱えていた理科教師が人が変わった様に叫び、ほんの一瞬だけ時間が止まった。
その後、悲鳴が微かに聞こえた。
きっとみんな何かしら叫んでいるのだろう。
けれども、机や椅子の暴れる音、窓ガラスが割れる音にかき消されてラジオのチューニングを合わせているように途切れ途切れに聞こえるだけだった。
どのくらい時間が経ったのだろう?
静けさが空間を支配すると、その後は正体不明の恐怖が押し寄せてきた。
「あぁあぁぁあぁーっ」
堰を切ったように、普段物静かなオタクの佐藤が叫びながら立ち上がって、壊れた教室のドアを蹴破り走り去っていった。
緊迫した状況はまるでせき止められていた川が、豪雨でかさが増し一気に溢れだした様に解放された。
次から次へと机の下から飛び出し、蹴破られたドアから走り抜けていった。
「勝手に動くな!!
指示に従えっ!!」
もはや先生の指示などこの状況で耳に入ってる奴なんていなかった。