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アンリアル・マナ  作者: 朝霧 雨
2/2

試験の行方と明かされる秘密

「始め!!!」


審判のその一言で試合は始まった。


((さて、どうくるかな,))


彼女がそんなことを考えているとキョウカは数十メートルの高さまで飛び上がり、すぐに仕掛けてきた。


「言ったでしょ!!一瞬で終わらせるって!」


手を開き、振りかざしたキョウカ。

水白色の分子の様な物がキョウカの手に向かって集まっていく。その間わずか二秒、魔女の持っていそうな杖が錬成された。


「これで、あなたを殺す!!」


((この人は殺さなきゃならない。私に楯突いたこと,あの目、あの態度...きっと只者じゃない。けど!プライドのため、地位のためにも絶対に...絶対...に。))


「ぁぁぁぁぁ!!もう!なんなのよ!ほんっとに手加減なんかしてあげないんだから!ほら!!これ喰らって大人しく死になさい!!!」


キョウカがそう叫びながら彼女の方に杖を振りかざすと、氷片らしきものが杖頭部に集まり氷柱のような物,複数に形を成し、キョウカの周りに一瞬浮き、彼女目掛けて飛んでいった。しかし、それは彼女の間合いに入った瞬間、全て砕け散った。



「うそ...でしょ...。ありえない...。私の持つ最強クラスの魔法なのに...」


キョウカが浮かない顔をしながらそういうと彼女は笑ってこう言った。


「それが貴方の実力なら私には遠く及びませんよ。...あれ?何故?という顔をしていますね。仕方ないですね。自分で言うのもなんですが私、やっぱり優しいので少し秘密を教えて差し上げます。まず前提として貴方攻撃の大半は私には通じないと思ってください。」



彼女がそう言うとキョウカは釈然としない顔で彼女のことをじっと見つめながら困惑していた。



「ではそれは何故か。貴方と私では技の格が違うのです。技、というのもあれですね。魔法と言いましょうか。貴方が普段魔法に使用するのは"マナ"と呼ばれる、体外の魔法粒子。通称魔粒子。極一般で使われる魔粒子ですね。そして発動には、それを成形して放ちますよね? しかし、そこが根本的に違うのです。使う魔粒子の格。と言いますか。そこが違います。そしてなぜ攻撃が効かないのか。それは私が常に私自身の周りに無数の魔粒子を飛ばしているからなのです。格下の魔粒子で構成された魔法など格上の粒子で構成された私の障壁を破れるはずがなく、私の間合いに入った瞬間に私の魔粒子に削られ貴方の技は崩れ、無効化される。まぁそんなところです。」


少し笑みを浮かべた彼女が話終えるとキョウカの顔には冷や汗が浮いて見えた。キョウカは察したのだ。彼女には、勝てない。という事を。キョウカにとって、敗北とは、初の敗北な上に無敗のプライドを傷つけられるという大きな傷跡を残されるあってはならない事だった。しかし、勝てるすべもなく...


「あなた今、マナの格上って言ったわよね?それって、もしかしてフィナが使えるってこと!?ありえない!...でも、ありえないけど、もしそうだとしたらあなた一体どれほどの、」


「あれ、物知りなのですね。フィナのこと知ってるなんて。そうですよ。でも。マナ、フィナ、そしてもうひとつ、その上があるのはご存知ですか?」


「フィナの上ですって!?聞いたことすらないわ。存在すら確認されてないはず、私これでも情報通な方だと思うし、魔法の勉学だって相当励んで、あのイノセント魔法魔術学園を主席合格したその私が、知らない魔粒子がある?そんなまさか、でももしそんなものが存在するなら、フィナですら扱いに専門性が高く、使えるものなど今は存在しない、もし使えたら世界すら取れる、そんなものなのに、その上ですって...?本当にそんなものが...」



キョウカが主席合格したというイノセント魔法魔術学園とはこのセラス王都で何個かある魔法学校のトップに君臨する、知識、技術共に兼ね備えていなければ到底合格など出来ない魔法魔術最先鋭の学校だ。尚順位のようなものは魔法の精度、技術により決められている。キョウカはそのイノセント学園の生徒の中でも、1年生にしてマナ量、精度、技術、知識において学園1位を取ってしまうほどの実力者だ。また、マナ量とは魔粒子を変換できる量のことで、それは体力や才能によって左右されてくる。そしてそれは努力で伸ばすことも出来る。



「そんなもの"は存在します。更に言うとこれを知らないのであれば貴方は、まだ世界を全然知れていない。魔法の世界はもっともっと、広いのです。それこそ、果てしなく半無限に。フィナの上。その名前はレフィナ。そしてさらに、私はその上。私は自分ではこの魔粒子が最強だと思っています。もしかしたら私もまだ世界を知らないのかも知れない。けれど、少なくとも、世界で渡り合っていける力。それは確信しています。

そう、名前は"アンリアル マナ"ちなみにこれは私独自の魔粒子よ。」


「そ...そんな。私、自分が最強なのかと。レフィナに、アンリアル マナ?もう訳が分からない。こんな世界があったなんて。そうよね、セラスでは最強でも、世界はこの王都じゃない。もっと広い、これだけ強い人が居ること、私の知らない魔法があっても不思議じゃないのよね。羨ましいな。どこまでも広い世界に羽ばたける人達って。私だって、もっと。」



涙を流しながら震えた声でキョウカはそう言った。


ところで、マナ、フィナ、レフィナ、アンリアルマナ、それらを整理すると、マナは粒子ひとつが10の力を持っていたとしてそれを組み合わせ成形する。例えば、とある魔法に1000個使うとしたら10×1000=10000の力だと思って欲しい。そしてフィナはその粒子の力がそもそも違う。わかりやすく表現するとマナが1個あたり10の力なのに対しフィナは50ほど。同じ技を使うとしたら、50×1000=50000になる。そしてその技同士がぶつかればマナを使っていた方は砕け散る。魔粒子の関係とはそういうものだ。しかし、欠点もある。粒子の力が大きくなるに連れて、成形に時間が掛かるのだ。だから決してマナが弱い、と言うものでは無い。勝負の世界では一瞬の隙が勝敗を分ける鍵となるため、そこら辺の使い分けが勝利に繋がってくる。


「何故泣いているの?羨ましいって、あなたは羽ばたけないの?旅とかしてみたら世界は見れると思うけれど?」


彼女がそう声をかけた瞬間、会場のドアが

ドガンッと音を立て開いた。騎士の格好をした男性が3人。こちらに向かってくる。真ん中にたっている男は白っぽい雰囲気の鎧でその後ろの2人はよく見る灰色の鎧だ。


後方の2人の男は彼女の前に来て、キョウカに近づけさせないような形で立ち止まった。そして真ん中の男は床に蹲って泣いているキョウカの少し離れたところに立つとその男はこう言った。


「キョウカ。お前まさか負けたんじゃあるまいな?貴様、分かっているのか?!あぁ?」


男がそう怒鳴りたてながらキョウカの長い髪を鷲掴みにし、持ち上げた。


白銀の髪に白いドレスのような形の服、そして、背の小ささ。よく見れば可愛い女の子だ。こんな子を泣かせたのかと思うと彼女の心は少し痛んだ。


「痛い!痛い!やめてください!」


泣き叫びながらキョウカがそう言うと男は更に怒鳴り散らした。


「てめぇが負けることがどんなことか教えたはずだよな!?おい!泣けば許されると思ってんじゃねぇぞ!?」


「ごめんなさい。負けるなんて思ってなかったんです。言い訳するとマナ以外の魔粒子を使う人なんて見たこと無かったんです。」



「知らねぇなぁ。それでも勝つんだよ!お前は。」


髪を掴みながら振り回した後地面に叩きつけた。そして、男は腰に着けていた剣を抜き、彼女の目の前に突き刺した。


「お前これが見えるな?貴様は今ここで斬首だ。なんか言い残すことはあるか?」


「やだ...死にたくないよ、嫌です。許してください、死にたくない、死にたくないよ。」


「それが最後か。惨めだなぁ。さぁ死ね!」


キョウカの首に剣を振りおろそうとどしたその瞬間。彼女は男二人の間をすり抜け、振り下ろす剣先を掴んだ。


「き、貴様。一体何者だ、私の剣を止めるだと?マナを纏ったこの剣を、素手でだと...」


「マナを物に纏わせれば武器であればその能力値は強化される。自身の身体であれば耐久性、物理攻撃の威力が強化される。しかし、マナなんかを纏ったところでフィナを纏わせた私の素手に適うはずないでしょう。」


「ふぃ、フィナだと!?では、キョウカの言ったことは本当だったということか。貴様本当に何者だ。名前は?...何故その女を庇う」


「仕方ないですね。冥土のみあげ程度に教えて差しあげましょう、私の名前は、"マナ"。彼女を庇う理由は、まだ勝負がついていないということと、私が彼女を旅に連れ出してあげたいと思ったから。それだけよ。」


「た、旅って...?。それに、そのフィナを纏った剣、すごい。神様みたい。」


後ろで蹲るキョウカが涙を拭きながらそう言った。


「そう?ありがとう。そんなこと言われたのは初めてだから嬉しいわ。」


彼女達がそう話していると男はまたも怒鳴り立てた。


「キョウカ、貴様!何勝手に口を聞いているんだ!貴様は罪人なのだぞ!いいだろう!なら今殺してやる!」


「私を前にそんなこと言える身だと思っているの?剣を握られてる状態で。冗談はその弱さだけにしてくれるかしら。」


「貴様は関係ないでは無いか!早く退かぬなら貴様も国家反逆罪で斬首するぞ!」


「言ってくれますね。なら彼女を殺すのは私を倒してからにしなさい。まぁ。最も、貴方ごときに負ける私ではありませんが。」


握っていた剣を離したマナがそう言うと、泣き潰れるキョウカに大丈夫だよ。と言う笑みを浮かべ鎧の男と1対1の勝負に出た。


「本当にいいんだな?死ぬかもしれないぞ?」


「ええ。問題ないわ。」


「そうか。なら、いざ尋常に!」


そう言うと剣を構え、ながらマナの方に向かってくる。


「マナさん!!死なないでください!!」


キョウカがそう叫んだ瞬間、男の鎧と剣は

完膚無きまでに砕け散った。


マナの手には薄青く輝く剣が握られていた。


「貴様、その太刀筋、貴様まさか、レイン家の者か?」


「レイン家って、あの剣の盟主のですか!?」


泣き止んだキョウカが落ち着きを取り戻した男にそう聞くと、ゆっくりと返事を返した。


「剣だけではない。魔法術においても、最前線をいく名家だ。キョウカ。悪かったな。旅に出ると言ったか?裏で俺が手を回しておくから、行ってくるといい。」


「え、良いんですか!?...あ、ありがとうございます。」


そう言うと男は残り2人を引連れ、帰っていった。


剣の成形を解こうとしているマナにキョウカは思わず声をかけた。


「良いんですか?何も言わなくて。」


「えぇ。問題ないわ。別に話したいことなんて無かったもの。」


「そうですか。」


「それより、旅の件だけど急だったし、また後日にでも...」


「行かせてください。お願いします。もうそれ以外道がないんです。」


「そう。なら良かった。これからよろしくね。キョウカ」


「は、はい!よろしくお願いします!」


「あ、言い忘れてたけど、マナでいいよ。私もこの堅苦しい話し方あまり好きじゃないし。これから長い旅を一緒にするんだし、気楽にいこ。」


「少し、恥ずかしい...です。さっきまであんな態度取ってしまっていたのに。」


「あれは、試験官として。だから仕方ないと思うし、あまり気にしてないよ。だから安心して」


「は、はい。あっ...う、うん。改めて、よろしく。ま、まな。」


キョウカの片言な話し方に思わず笑ってしまった。


「改めて、よろしくね。キョウカ」


結果、試験は中止、2人は旅に出ることに。しばらくの間魔術試験は中止になるとのこと。後でキョウカに話を聞いてみればさっきの男は王宮騎士団副団長だそうだ。キョウカの事を幼い頃に助けたという理由と副団長と言う権限を使って脅していたのだのか。でも、キョウカはようやく試験管と言う役職は解雇されただの魔術師の女の子になれたのだ。


一方マナとキョウカ、お互いに心を許し、そしてお互いこう思った。


ーこの人の事。もっと知りたいー


こうして、彼女達の旅は始まりを迎えたのだった。

























こんにちは!朝霧 雨です!1話に引き続き2話です!今回はとうとうメインヒロインの"マナ"という名前!明かしてしまいました!ですがまだ謎は多いので今後はそれを回収しつつどんどん話を進めてこうと思います!この小説が有名になるまで定期的に投稿していこうと思ういますのでどうぞよろしくお願いします!

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