謎の少女と魔術試験
「((私には..."才能"という物が分からない。何のために存在して、何のために齎された物なのか、ずっとそうだった,守る為のものだと信じ、使用しても必ず守れるってわけでもない。なら何故に才能という物が存在するのか。私はずっと。その答えを探していた。))」
〜 〜
「あの...おばあさん?力って何のためにあると思う?」
そう聞いたのは透き通った水色の髪と瞳、真っ白な肌の少女だった。
「おや、どうしたんじゃ。お前さんが急にそんなこと言い出すなんて。」
少女に言葉を返したのは、町外れにある村の少女と生活を共にしているおばあさんだ。過去に,とある封印から解け,衰弱しきっていた少女を救い、それ以来一緒に暮らしてきた。
彼女にとっておばあさんは信頼出来る人であると同時に命を救ってくれた恩人でもあった。
「そういやお前さん、ずっとこの村にいるのかい?」
「うーん...もうそろそろ行こうかなって思う。」
「行く宛てはあるのか?」
「あっ、いや、うん。ない。」
「そんなことだろうと思ったよ。なら、王都にでも行ってみるといい。あそこなら何かあるじゃろ。」
「何かって...まぁ。わかったよ。行ってみる。」
彼女は少し笑みを浮かべながら、そう答えた。
「くれぐれも気をつけてな。」
「うん。ありがとう。」
そんな話をした次の日、彼女は王都に向け出発した。
誰もいない森の中をひたすら歩いていく彼女の背中は、少し寂しげだった。
ーーー王都セラス、遥昔から存在していて今も尚、人望厚き王が政党し、人々もまた、幸せに暮らしている都だ。
「おぉ...すごい...色々すごい。さすが、王都ってだけあるね」
((こう色々あると悩むなぁ...まぁでも、ちょっと調べたい物もあるし王宮の大きい図書館にでも行ってみるか...))
王宮図書館。王都のあらゆる書物が揃う場所。調べ物をすると言った彼女は、図書館のある王宮へ向かった。
〜王宮門前〜
「ダメだダメだ!!」
門番であろうか、太く力強い声が王宮前門に響き渡った。鉄の鎧になんとも強そうな兜、容姿からしてなかなかの強者であろう2人組。そんな2人に停められていたのは...
「そこを通してください。」
そう、彼女だ。
「そもそもお前どこの誰だ、役職証明書も無い上に王宮に入るってのに王宮○○のような王宮免状も無いではないか、......いや,
待てよ、お前魔術師か?」
「よくお分かりで。でもなんか嫌ですねその呼び方。如何にも悪そうで。
まぁ、そうですね...美少女魔法使い!ちょっとダサいけれどまぁはい。これでいいですよ。」
1人の門番が彼女にそう尋ね、こう言った。
「魔法使いか...そうか。なら貴様、王宮魔術師の資格を取って来い。そしたら通過を許してやる。」
「なんですかそれ。そんなものが必要なのですか?それに、魔術師では無く魔法使いと言ったはずです。」
「魔法使いは魔術師の一環として捉えられているからな。一環である以上名目が魔術師であるのも仕方ない。」
「そうなのですか...それなら、まぁ。仕方ないですね。」
「そんなに嫌がることか?それともなんだ?もしかして取れないとかそういうことじゃあないよな?あ、ちなみに言うと試験内容は、現王宮魔術師である最年少合格者のキョウカと言う少女を倒すだけだぞ?」
「なんですかそれ、やけに馬鹿にした物言いですね。いいです、それなら取ってきて見せつけてあげますから待っていなさい。」
「そう来なくちゃな。一応応援はしてやる。頑張ってこいよ。」
試合会場は円形のドーム室内。
形式はどちらかが「参った」と降参の意を示すか、どちらかの死亡。死なせても良いと言うのは少し残酷に聞こえるが、王宮魔術師になると言うことはそれくらいの覚悟を持って挑め。と言う意向のためらしい。
正直乗る気じゃないけど...そんなことを思いながらも試験会場に向かうことにした彼女。
"王宮魔術師"現王宮資格の中でも最難関の試験で、当時の試験官が強すぎた為に、ここ30年で8000人以上の魔術、魔法の腕に自信のある猛者たちが挑むも、合格出来たものはわずか一人だという。ーーそう、それがさっき門番の言っていた昨年、最年少合格者のキョウカと言う少女だ。丁度当時の試験官の年による引退もあったため、最強を打ち破った者として、キョウカが次試験官らしい。そしてそれ以来、"絶対に無理だ"と言う者たちが増え、ここ1年で試験に挑むものはわずか数人だったらしい。しかし、1人では王宮魔術師の仕事が務まるのか、そもそも一人でいいのかといった不安もあった。...が。十分だった。前試験官も同様の事を成していたがそれを打ち破ったとされるキョウカは、王宮魔術師と試験官の2つを掛け持ちしても、寧ろ疲労など微塵も感じないほど、その魔術力は強力だった。
しかしそれを知って尚一切怖気ずく事無く
ステージ内に彼女が入る彼女。
入るとすぐ向かい側にはキョウカと思われる少女が居た。
「貴方が、キョウカ?」
彼女がそう聞くとキョウカと思われる少女が少し荒々しく応えた。
「だとしたらなんだって言うの?どうせ"貴方も"落ちるんだから私の名前なんて聞く必要も無いのよ」
「そう。ならまぁ、お急ぎのようだし早いところ始めましょうか。」
「そうね、理解の速さだけは上出来ね。一瞬で終わらせてあげる」
「やってご覧なさい。できるなら、ね」
"できるなら、ね" 話し方が急変した彼女に少し圧倒されたキョウカだった。しかしやることは変わらない、いつものように"落とすだけ。
((何この子...この子がなんだっていうの、何この態度、こんな強気な子初めて...そしてこんな...綺麗な顔の少女が挑んでくることも...なんだって言うの、うんん、違う、こんなこと思ってる暇なんてない。"落として終わり"それで終わるだけ。))
「よーい!!始め!!!」
審判の男が笛を鳴らし、試合が始まった。果たして彼女は...勝利し、資格を得ることが出来るのか、そしてキョウカとはどのような少女なのか。
そして、"彼女"の名前とは...。?
こんばんは,こんばんは、朝霧 雨です。
まずは、『アンリアル・マナ』を目に止めて頂きありがとうこざいます。楽しんでいただけましたでしょうか?初投稿という事で文面、ストーリー性等で至らなかった点が多々あったかも知れませんが楽しんで頂けましたら幸いです。2話以降は書き終え次第投稿させていただきます。宜しければ私と一緒に彼女達の物語を追いかけてみませんか?。という事で、次回!『試験の行方と明かされる秘密』です!お楽しみにっ!!