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漂流少女  作者: 真心
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4章 和み

深い森みたいな場所にポカンと空いた広い原っぱ。


そこにポツンと建ってるこの小さな、でも意外に広い小屋。


手作りっていうだけあって丈夫そうには全然見えない。


だって太い木材とかほとんど使われてないし。


いろんな太さの枝を上手く組み合わせて作ったって感じ。


ちゃんと開閉する窓も一応あるけど、はっきり言って意味ないかも。


開けても閉めても壁のあっちこっちに隙間があるんだもん。


そろそろ陽が暮れ始めたみたいで、隙間から差し込む光も色が変わってきてた。


あたしは今日初めて会った4人の男女と最初の夜を迎えようとしてた。






昼間あたしの覚えてること話した後に、ここのことを詳しく聞いた。


ひと通り話が終わったあと、健さんがあたしに言った一言。


「実際に見てみるといい、1番近くの海岸までそう遠くない。」


健さんはここが島だってこと自分の目で見てみろ、って意味で言ってくれたみたい。


でもあたしはとりあえず・・・


海が見たかった!


だって、海なんて子供の頃に何度か行った事しかないんだもん。


とゆうわけで、それからすぐ海岸まで行ってみることに。


道案内プラス護衛ってことでヨシアキが名乗りを挙げてくれた。


しかーし!


その申し出はある人物によってあっさりと却下されました。


「ちょい待ち! あんたは健さんと今夜のご飯の調達よ。」


マコトさんのこの一言で。


ヨシアキはちょっと不満気ふまんげだったけどね。


いつもは男が毎日交代で食料の調達担当なんだって。


1人増えたってことで、今日は男性陣揃って食料たくさん捕ってくるそうです。


それで、海岸にはマコトさんが連れて行ってくれる事になった。


海岸へ出るのに通った道は最初に歩いた時みたいな深い森。


聞くとこの辺はなだらかな山になってるらしい。


マコトさんとは途中いろんな話をした。


相手は大人だけど世代の違いはそんなに感じない。


あたしからするとお姉ちゃんができたような気分。


でね、話してみると相手が 「記憶喪失」 っていうのを実感できた。


健さんがスゴイ物知りで記憶喪失のこと少し教えてくれてたんだ。


一言に記憶喪失っていっても、いろいろあるんだって。


言い変えると 「健忘」 って言うらしい。


あたしも健忘症って言葉は聞いたことある。


ある日突然、発作が起きて一時的に記憶障害になり新しい記憶を作れない状態になる前向健忘。


発作前のある期間の記憶が完全に消失してしまうのを逆向健忘とか。


こうゆうのは一過性全健忘っていうらしい。


でも、マコトさんやヨシアキの症状から見たらそれとはまた違うものだろうって。


頭を強く打ったりして、生まれてからの全部の記憶が無くなっちゃう状態。


それを全生活史健忘とか言うらしい。


全部って言ってもそれは自分に関することだけで、例えば日本の歴史とか、生活する上での

基本的な行動とかはちゃんと覚えててできちゃうんだって。


2人はそれなんじゃないかって健さんは言ってたけど・・・


頭を打った覚えも、痛みも傷もなかった2人。


仮にそうだとしても、名前だけ覚えてるのも妙だって。


結局のところ何も結論は出なかった。


それよりあたしは健さんの物知りさに驚いたってば!怖い人だけどちょっと尊敬しちゃったよ。


あと、自分の記憶力にもビックリ。


聞いた内容も言葉もほとんど全部覚えてるんだもん。


まぁとにかくね、マコトさんは記憶が無くてもほんと明るい人でさ。


見に行った海岸から小屋に帰り着く頃にはすっかりマコトさんと仲良しになっちゃった。


やっぱ言われた通り、本当に海があったよ。


最初は久しぶりに海見て単純にはしゃいじゃってたけど・・・・・・・


やっぱ誰も嘘なんか言ってないのかなぁ・・・・・・って、ちょっと複雑な気分だった。


マコトさんと2人で帰って来てからは、留守番してた順子さんも加えて一緒に話したんだ。


最初からずっと無口だった彼女は、19才の大学生。


ここに来たのはあたしより少し早いけど、やっぱり未だに信じられなくてまだ怖かったみたい。


女3人になったからか、はたまた自分より年下のあたしが意外に平気そうなの見てか。


ガールズトークが始まると少しづつ話してくれるようになった。


でも何より、マコトさんがすっごい嬉しそうだった。


あたしが来てから順子さんもやっとまともに話してくれたんだって。


年はバラバラでも、女3人ってのは確かに心強いし楽しいよね。


で、記憶がある順子さんには興味ありありなあたし。


いろいろ聞き出したんだから!


大学のこと、やっぱ最初に聞いた。


自分も大学行くつもりだからね。


楽しい!? 学科は!? サークルってどんなのあるの!?


あたしの猛烈な質問攻めで、どんどん話してくれるようになったんだ。


それと性格面。


基本的に大人しくて控えめな性格らしくて、彼氏もいないんだって。


うわ〜もったいない、だって・・・


最初はマコトさんが目立ち過ぎて気付かなかったけど、よく見ると順子さんもかなり可愛い!


この中じゃあたし3位なんじゃ・・・


ええぃ今はそんなことはどうでもいい!


そんなこんなで、男性陣が帰ってくるまで続いた雑談会。


いつの間にかあたし順子さんのこと 「順ちゃん」 って呼ぶようになってた。


もう順ちゃんも 「遥ちゃん」 って呼んでくれる。


あたしはすっかりこの状況に溶け込んでしまってた。


まるでずっと前からここでみんなと暮らしてるかのように。






「戻ってたか、メシにしよう。」


小屋の入口から突然覗いた健さんは相変わらず無愛想ぶあいそう


すっかり時間を忘れて話し込んでたガールズ3人は健さんに驚かされましたよ。


「出ましょっか。」


マコトさんに促され、あたしと順ちゃんも立ち上がった。


みんなで外に出ると、外はすっかり夕方。


(やっぱ時間経ってるんだ、ここでも)


すっかり染まった周りの景色を見たあたしは不思議な感覚に襲われた。


そのリアルな感覚が、これが夢じゃないってほぼ確信できた理由。


ヨシアキがすぐにこっちに気づいた。


「あ、ただいま〜!」


そう言いながらヒザをついて何かしてる。


よく見ると火をおこしてるみたい、すごーい。


「おかえり。」


「おかえりなさい。」


「おかえりー」


マコトさん、順ちゃん、あたしの順番。


「おぉぉ!」


??


「おかえりって言ってくれる女の子がいるって・・・・・・いいよなぁ最高!」


・・・・・・・


なんかテンション上がってますよヨシアキさん。


この人最初からずっとこんな調子だよ。


よく言えばムードメーカー、悪く言うとウザ男・・・・・・


まだどう反応していいか分かんないあたし。


ふと横を見ると順ちゃんと目が合った。


「はいはい、そりゃどうも。」


じつに手慣れてるマコトさんの受け流しっぷり、見事です。


「え、オレそこの2人のこと言ったんだけど?」


とぼけた顔のヨシアキ。


「はぁ!?」


これはマコトさんも黙ってないよね。


「あ、マコトさんも女の子だったっけ、うっかりうっかり。」


うへ・・・・・・真顔でとんでもないこと言うよこの人。


「ちょっとあんた、私のどこが男なのよ。」


あーヤバい怒ってる怒ってる・・・・・・


「男とは言ってないってば。女に見えないっていうかさぁ・・・・・・・」


「よく見なさいよこの美脚! このボディライン!」


いやマコトさん・・・・・・そこでポーズ取らなくても・・・・・・


「そういう意味じゃないんだよね〜中身だよ中身。」


あははは・・・・・


「へ〜あんたが私の何を知ってんのよ。」


「ほら、この前ここの近くであの野犬が出てきた時あったじゃん。」


「それが何よ。」


「その時そこのやり持って追っかけてったんだよ。」


ヨシアキの言ってる槍っていうのは小屋に立てかけてある木の棒のことみたい。


「きゃぁぁぁ! いやぁぁぁ!! って言ってさ、犬の方が逃げてったんだよ!?」


あたしと順ちゃんの方を見てヨシアキがニヤついてる。


「あ、あれは怖かったのよ!」


「え〜怖いなら逃げるとか、男にしがみつくとかしない? 女の子ならさ〜」


「うるさいわねぇ!あんたさっきから!」


むー・・・・・・入り込めない


あたしも順ちゃんも立ち止まったまま2人のやりとりに唖然・・・・・・


「何やってんだお前ら・・・・・・早くメシの準備手伝え。」


おっと救世主! 健さんだあああああ


それだけ言って健さんはまた離れた場所で作業し始めた。


「はいはい〜火はもうすぐ点くよ〜」


火をおこす作業を続けるヨシアキ。


「ごめん健さーん!」


マコトさんはふぅっと溜息をついた。


とりあえず落ち着いたようで一安心・・・・・・(汗)


「ごめんね、恥ずかしいとこ見せちゃった。」


マコトさんの照れ笑い。


「い、いえースゴかったです」


何がだよあたし。


「スゴいって何よぉ・・・・・・あーダメだわあいつ相手にするとペース狂っちゃう。」


深ーく溜息をついたマコトさん。


「・・・・・・フフ、楽しいですねお2人。」


順ちゃん笑顔で言っちゃった。


「え〜一緒にされちゃった・・・・・・ま、いいけどね。」


切り替えの早いマコトさん。


あたしに手招きすると、ご飯の準備の説明を始めてくれた。


ご飯っていってもここに米なんてあるはずもなく・・・・・・


川で釣った魚、木の実、キノコ (健さんが以前に毒味済み) を調理する。


キャンプっていうよりサバイバルだよほんと。


あたしや、まだ慣れてない順ちゃんを除く3人のおかげで料理は手際良く完成。


これを毎日やってるのかって思うと尊敬しちゃいます。


出来上がった料理を葉っぱや竹を使った手作りの食器に盛り付ける。


さすがにテーブルまでは作れなかったようで、みんな地ベタに座って 「いただきます」


「うわ・・・・・・魚すっごい美味しい」


思わず声が出るほど美味しかったよほんと。


「海水から取った塩と木の樹脂から取れる油を使ってるの、味付け最高でしょ。」


マコトさんのプチ情報にあたしは2度頷く。


「ん・・・・・・油?」


油って味に関係あるの?


「オリーブオイルみたいな風味があるのよ、私が見つけたの。 ナイスでしょ?」


へ〜って感心しながらあたしはまた2度頷く。


「遥ちゃんさ、来たばっかりなのにすっごい馴染んでるよね。」


夢中で味わってたから自分に言われたってすぐに気付かなかった。


「え?」


「ハハ、それに美味しそうに食べるよね〜」


ヨシアキだった。


「いや、だって美味しいんだもん。」


実は美味しいもの大好きで食いしん坊っていうのは誰にも内緒。


「清楚な順ちゃんにさばさばした遥ちゃん、どっちも好きよ〜私!」


マコトさん、何気なくお姉さん目線の発言。


ってチョイ待ち、なんか引っかかるんですけど。


「それって・・・・・・褒めてます?」


一応聞いてみる。


まぁ確かによく言われますけどね、この言葉。


「え・・・・・・」


あの〜言葉に詰まってますよマコトお姉さま。


「出た、失言?」


少しニヤつくヨシアキ。


「微妙・・・・・・ですけど・・・・・・」


おーい順ちゃんまで何言ってんの!


「やだ! 褒め言葉よ! ねぇそうでしょ!? ねぇ!」


救いを求めるマコトさん、でもみんなそう簡単には頷けない様子。


「・・・・・・・」


ビミョ〜な雰囲気。


ビミョ〜な沈黙。


そして、その約6秒の沈黙を破ったのは意外にも離れてた健さんだった。


「とりあえず謝っとけ。」


!!


なんていう直球!


その一言でこの場の雰囲気が一変したのは言うまでもないデスヨネー


「ぶ・・・・・あははは!!マコトさん、謝ろうか・・・・・・・!」


ヨシアキはもう大笑い。


必死にこらえてるけど順ちゃんまで笑ってるよ!


え! えぇぇぇぇぇ!!」


もうね、すんごい取り乱すマコトさん見てたらあたしまで笑っちゃったよ。


「ってかさ・・・・・健さ・・・・・・話、聞いてた・・・・・の!?」


ヨシアキもう笑い過ぎてちゃんと喋れてないよ。


「・・・・・・声がデカくて嫌でも聞こえてくる。」


健さん、完全に呆れてます。


「あぁぁぁ・・・・・・遥ちゃんごめん・・・・・・・いい意味で言ったつもりが・・・・・・・」


わわわ! マコトさん泣いちゃいそう!


「イヤいいですよ! 全然気にしてないんで・・・」


なんであたしが気ぃ遣ってんですか(汗)


「ごめんねぇ・・・・・・今度から言葉には気をつけるわ・・・・・・・」


いや、だから気にしなくても。


「だいたい、人の事どうこう言える性格じゃないわよねぇぇぇ私ぃ・・・・・・・」


まったく・・・・・・ヨシアキが 「失言?」 とか言うから・・・・・・・


「もう私のこと呼び捨てでいいからね! 遥ちゃん!」


呼べません(笑)


「そうだ! 私のこと1回だけ思いっきり蹴って!」


無理です(笑)


「もう遥ちゃんの奴隷になるわ!」


やめてください(怒)


・・・・・・・・






マコトさんの大失態 (本人の意思を尊重して) があったものの・・・・・・


とりあえずその一件は、余計な一言を発言したヨシアキを責めることで解決した。


責めたのはもちろん、あたし。


だって、あのままじゃマコトさんがあまりにかわいそうだもん。


罪状は、あえて言うなら 「女性のプライドを傷つけた罪」


流れ的に健さんに非はないとして・・・・・・


責任を感じてた順ちゃんも、別に悪くないとあたしが決定。


マコトさんを追い詰めた罪をヨシアキ君の謝罪で一件落着・・・・・・させました(笑)


まさか出会って1日目であたしの本性を見ることになるなんて・・・・・・


ヨシアキ・・・・・・乙


あたし・・・・・・次から自重しよう


ともあれその一件があったおかげか、その後は少し和やかな食事になった。


和んだのはあたしに関する会話がほとんどを占めてたからだけどね!


来て初日から 「怒らせると怖い子」 って印象を全員に持たれたのは一生の不覚。


こんなことなら 「さばさばした遥ちゃん」 で素直に認めとけばよかったよ・・・・・・・






夕食と片付けを終えれば、その日はそれぞれ自由行動でいいみたい。


ただ、一応ここでのリーダー的な存在の健さんが決めた幾つかのルールがあるらしい。


1:それぞれに分配した仕事はちゃんとこなせ、そしたらその日は自由


2:いつ寝ようと勝手だが、他人(オレ)の寝る邪魔すんな


3:朝はオレが起きる頃には起きろ


4:遠くへ行くときは誰かに言ってから行け


5:昼メシは基本ないから朝メシはたっぷり食っとけ


6:死にたくなきゃ拾い食い禁止


なんだこれ(笑)


このルールをヨシアキは 「ケンケン6ヶ条」 って呼んでるらしい(笑)


実際には別にちゃんと決まってるわけじゃないんだって。


健さんが言ってる事をマコトさんが整理しただけ。


ルールとか嫌いだけど、なんか面白いしまぁいっか。


片付け後、あたしはマコトさんと一緒に近くの川へ髪を洗いに行った。


ここでは暗くなると小屋の外の何箇所かに松明(たいまつ)を灯してくれる。


そのおかげで小屋の周りはけっこう明るい。


髪や顔を洗うこと専用に使ってるその小さな川への道も、明かりでちゃんと照らされてる。


明かりがないと夜はほんと真っ暗になるから当然といえばそうだけど・・・・・・


つくづくここの人は凄いって思うよ、あたしなんか火をおこすのも無理なのにさ。


みんな、ちゃんとここで生活してるんだよね。


健さんとヨシアキは小屋の近くに座り込んで何か話してる。


珍しくヨシアキも真剣な顔してたし、なんか真面目な話でもしてるのかねぇ。


順ちゃんは眠いらしく、ちょっと前に小屋に入っちゃった。


「シャンプーもリンスもないのに髪キレイですよねぇ。」


濡れ髪をなびかせてるマコトさんにあたしはうっとり見とれてた。


「え、そうかしら?」


「サラサラだったじゃないですかぁ・・・・・・うらやましい。」


「遥ちゃんもサラサラじゃない〜」


「あたしのはそう見えて痛みまくってるんです。」


「そなの?」


「切れ毛とか枝毛がいーっぱい、やんなっちゃう。」


肩にかかるぐらいの毛先を指で摘んでねじり回すあたし。


「気にならないわよ全然〜! 遥ちゃん可愛いし。」


「それはどうも・・・・・・あんな性格ですけどね。」


う・・・・・・・イヤなこと思い出した。


「でも、はっきり言えるのは悪い事じゃないわよ? 私もそうだし(笑)」


「あたしの場合、相手も立場も後先も考えないですからねぇ・・・・・・」


「でも、ヨシに怒鳴ってくれてスッキリしたわ〜ほんとにありがとね。」


お礼を言われたのは嬉しいけどやっぱ一応 「新入り」 があれはないよな・・・・・・


マコトさんがあたしに謝りまくったあの後、ヨシアキに叫んだ言葉。


「ちょっと!! あんたが余計なこと言うからでしょヨシアキ! マコトさんに謝りなさい!!」


思い出すと今でも恥ずかしい・・・・・・


みんなポカーンてしてて、すぐにヨシアキが素直に謝っちゃった。


まぁさ・・・・・・


過ぎたことは仕方ない。


髪を洗ったマコトさんは順ちゃん寝てるのか見てくるって言って小屋の中に入ってった。


あたしはもうしばらく夜風に当たることにした。


今日出会ったばかりの健さん、マコトさん、ヨシアキ、順ちゃん。


みんなと向き合って喋ってると、つい忘れることがある。


これが本当の日常じゃないってこと。


そう・・・・・・あたしには家があって家族もいて友達もいる。


帰るべき場所があるんだ。


でも、それは他のみんなも同じ。


そんなみんなが平気な顔してここで生活してるの見てると日常を忘れちゃいそうだ。


帰りたい・・・・・・


本当に?


帰り・・・・たい


友達はみんないい子ばっかだし、会いたい。


でも、家族に会いたい・・・・・・・のか分からない。


お父さんは好きじゃない。 お母さんはわりと好き。 弟のことは心配かも。


やっぱ帰れるならそりゃ帰りたいよ。


でも、なんでかな。


まだ海を見ただけで、ここが島なんだって自分で確認したわけでもないけど・・・・・・


なんとなく、そう簡単に帰れないような気がする。


いや、もしかしたら・・・・・・2度と・・・・・・・・


なのに、わたしはなぜこんなに落ち着いていられるの?


なんか自分が何考えてんのかよく分かんない。


空を見上げれば真っ暗な空に星がいくつも光ってる。


かすかに声がする方を見れば健さんとヨシアキは確かにそこにいる。


足を踏み締めれば確かにあたしの立ってる地面はある。


ほほでる風は確かにあたしの肌を優しく刺激する。


全てがリアル、現実。


夢じゃない。


分かってる、そんなこともうとっくに分かってるのに。


なんでかな。


最後の確認がしたかった。


ペチッ


自分の頬を少し強く叩いた。


うん、やっぱ痛い・・・・・・・



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