八百屋
バシッ!バシッ!
重厚な石造りの牢獄で頭から袋を被った大男が、錠に繋がれた男に木の棒を振り下ろしていた。
バシーン! バシーン!
抵抗も出来ずただ殴られ、その間に何処からか声が聞こえ来る。
「これはどこで手に入れた。隠すのなら為にならんぞ、さぁ吐け!吐け!」
大男の横に尋問官が立ち、同じ言葉を言って来る。
(どうしてこうなった?)
この世界で生きて行く事を選択した。
記憶が鮮明に蘇って来る。
異世界に転移して来て、こんな時は凄い能力を持ってたりするのに俺のスキルって、、、
スキル: 八百屋
店舗:土間 和室:四畳半:六畳:キッチン:水回り
なんなのこのスキル?
でも店舗が出現するって、ある意味チートだが売られているアイテムが、三種類の野菜だけだ。
ニンジン・ダイコン・ハクサイ鍋料理では無いんだから、これって一体。
それから数日、この能力の事が次第に分かってきた。
・野菜は初め三個だけしか無いが、金銭を使い拡張ができる。
欲しい商品をクリックし金銭と交換取得して行く。
・八百屋のスキルのウインド内には、野菜に他に果物・食品関係・調味料や雑貨類もある。
・一度購入した物は陳列が可能になる。
(棚などの拡張要素が必要とされる。)
・金銭は一日の最後に集計され、カード枠に振り込まれる。
・購入した商品は次の日に新しく陳列される。
・商品は金銭を使い拡張が必要とされる
近所の八百屋さん的な商品の多さと言った感じだ。
その中の雑貨で石鹸が、今回の騒動の発端に成った。
・アグレ石鹸
顔・身体・頭をこれ一つで洗え、乾燥肌やアトピーなどの方にも安心して使って頂ける弱酸性。
オリーブオイルを原料とし、洗い上がりはしっとりとしてツッパリ感がない。
販売は自動で行われ、何処かの町の一角に店舗が表れている。
商品等を手にするならば、店舗の近くでは行けない。
スキル当事者が生きている以上、自動で販売等の作業が行われる。
この世界に来て店舗シュミレートの様に金銭をえて生きていけると簡単に考えていた事、他人を信じ付け込まれ利用されると考えなかった事、プラス思考ではないがスキルを得て舞い上がっていたのかも知れない。
投獄された、この二年間はなにをやって来たのか?
拷問の間までも自動で販売され、利益を積み上げられていく基礎を作り
この世界に置ける領域の基礎を構築し、八百屋と言う自動販売を構築した二年間だった。