月明かりの来訪者
騎士の鎧を纏った者が報告していた。
「それでクボ大平原で何があったのだ申してみよ」
「はい実は、、、」
私はギド山中の依頼を受け、時間短縮のためにクボ大平原を移動してた時の事です。
「ギド山に行き来するには、北東の山脈ルートを使うのが安全かつ、通常のルートであろう。それで何故に危険なクボ大平原に向かったのだ?」
何人かの取り巻きが、騎士に言葉を掛ける。
はい実は食料の殆どを、ギド山中にいた者達に分け与えて来たのです。
それで以前、クボ大平原を突っ切り2日の日和で突破した事を思い出しまして、、、
「あれは何人かの騎士が居たから出来た事!」
「まぁ待て、まだ続きがあろう?」
皮袋に入れられた白い塊
「これは?」
月の灯りを頼りに早馬を飛ばしていた所、先に見えた灯りが見えました。
商人の馬車かと思い同行を頼もうと近寄った所、それは一軒の店がありました。
「店とな? そんな面妖なものを信じたのか?」
「まぁ待て、最後まで話を聞こうぞ」
手元には白い塊を握る。
はい、流石に騎士が一人、馬も限界に来ていたのも事実であり、匂いに釣られてか? 大平原の至る所からユンピョルの遠吠えが聞こえていました。
「そうだクボ大平原はあの獣が群れをなし、人を襲って来るのだ。それも10や20と言った数に直ぐに膨れ上がる」
取り巻きがまたペチャクチャと話し出す。
「それでどうしたのだ?」
はい、意を決して入ってみた所、其処には見た事がない野菜や果物が置かれ、一人の男が商売をしていました。
「クボ大平原の真ん中で、店を構え商売とな!」
そこで何泊かの宿を取りました。
何かを思い出す様に騎士は、さらに語り出した。
人が浸かれる程の瓶に湯を張り、入浴しました。其処で使ったのが、その塊・石鹸です。
ほんのりとした良い香り、何日も水浴びをしていなかった私は入浴の虜になりました。
「それでクボ大平原にいる事も忘れ、2日もの間その宿に泊まっていたのか!」
取り巻きは女騎士にものを申すが、真ん中に座る者は手を前に差し出し話を止める。
「それで食うはどうしていたのだ?」
はい、見たことも無い野菜を使い。焚き物や煮物と言った奇妙な食事が出されました。
それが独特の味ですが不味くはなく、落ち着けると言った空間でしょうか?
女騎士は思い話しを聞かせる。
「それで土産に石鹸を貰ったのだな、その者はなにか言ってなかったか?」
この石鹸はなんでも、、、と言う訳なのです。
女騎士からは石鹸の良い香りがし、肌ツヤがよくなり、クボ大平原の噂が広がるのは時間が掛からなかった。