キャロル登場
「転移」は、なにも「異世界」だけじゃない?!
突如として現れた死神キャロルに、人生やり直しを命じられた厘功は、ぶち切れたダリルと共にスタートラインにたった。
『俺の名? 名など聞いてどうする』
その死神であろういでだちの男性は、冷たい目を厘功に浴びせる。
「いや、どう呼んでいいかわからんし···」
ピクッ···と死神は、眉を動かし大鎌を取り出···
『うん! ふっ! な"ん"でだぁ"ーーっ"!!』
なかなか大鎌を取れぬ姿が面白かったのか、小さく笑う厘功。
「あのー、取れない···んですか?」笑いを堪え、聞く厘功···
ポポンッ···と軽やかな音が、死神の背後でし、目を向けると、
〘全く! あれほど小さな物を持ちなさいと言ったのに···〙
黒くて大きなマントを首から掛け、死神が持っている大鎌よりも幾分大きな鎌を背負っている女性がいきなり表れた。
「あの···誰? 知り合い?」と死神に聞くも、自分のを必死で取ろうとしてるから気付いてはいなく···
『ダリル?』
「······。」
(この人も死神? こんなきれいな人が?)
僕の目から見ても、マント越しに見える胸の位置がボンッと山になってるし、その隙間から見える腰?太もも?からは、白い紐見たいな物が見えて少しぷにっとお肉が乗ってるのが判った。
『ダリル・スペンサー? 顔を挙げなさい』
呼んでも気付かず、イライラしてるのか、こめかみが動いてる。
「······。」
『ダリル・スペンサーーーーーッ!!!』とその女性が大きく息を吸い込んだ瞬間、顔を真っ赤にし、大声で叫んでやっと···
『······。』
ジッと死神は、息をゼーハーと切らしてる女性を見て···見て···見てっ!!!
(なんで、あんな間近で見る?)
目と鼻の先、数センチ!
『なんだ、お前か···』
プチッ···
「ん? いまなんか音が···ひっ!!」
厘功は、驚き座りながら後ずさる。
『げっ! あっ、あっ、あっ、あーーーーっ!!』と死神が、大鎌をブンブン振り回してる女性から逃げに逃げ···厘功の背後に回る死神。
ゴクッ···
「あの···なんで僕が···?」と目の前に大鎌を突き付け、鬼のような真っ赤な形相で厘功が睨まれていた。
『た、頼む···。助けて!!』と厘功の背後でガタガタと震える死神に、無言で睨む大鎌女性。
「あ···あの···」と声を出し、見上げる。
〘···全くしょうがないわね! あれ程持ち出すなって言ったのに、持ち出して···〙女性は、一歩前に出て、何かを小さく言うと死神の背中にあった大鎌がミルミル小さくなっていった。
〘我の名前は、キャロル。汝の名は?〙
小さくも深く大きく響く声に、
「僕の名前は···石田···厘功です」と言葉を途切らせながら答える。
〘ダリル・スペンサー? 顔を挙げなさい〙
(そか、この後ろで震えてる人は、ダリルと言うのか)
『···。はい···』スゴスゴと身体を出し、厘功の隣に座るダリル。
(また、怒られるのかなー? この人)
厘功は、横目でチラッと見た。
すると···
〘もぉっ! 探しちゃったじゃないのぉ!! ダリルったらぁ!!!〙とキャロルは、厘功が傍にいるのを全く無視して、ダリルを自身の大きな胸(ここまで大きいのは見たことがない)に埋め、抱きしめていた。
『フガッ···バベロ···ぼい、ダズゲ···』助けを求めるダリルが伸ばした手が急にパタッと落ち、今度はキャロルが慌て蓋めく。
それを、どうしたものかと呆然と眺める厘功···
(ちょっと、羨ましいけど。僕は、もう···)
『ブッハッ! で、なんだよ! 鎌くらいいいじゃねーか! あんなの!』となんとか必死で息を吹き替えしたダリルが、残念そうに唇を尖らせてるキャロルを睨む。
(もしかして、僕邪魔者?)
そう思って立ち上がろうとした厘功を、キャロルが呼び止めた。
〘あっ! ごめんなさい! 厘功のこと忘れてました!〙
「······。」
(やっぱり···。いいけどね、別に···)
フワッとした甘い花の香りが花についた。
〘厘功? あなたは、とても辛い人生を歩んで、自らの清明を断ち切ってしまいました···〙
「はぁ···」
〘でも、それは、我々が選んだこと···〙
「は?」
(何を言ってるんだ? このおっぱい星人は···)
ダリルは? と言うと、やっと解放され身体中をポキポキと鳴らし、ストレッチをやりだした。
〘···聞いてますか? 厘功?〙
不意に名前を呼ばれ、思わず返事を返し、キャロルがニッコリと頷いた。
(やばい。なんも聞いてなかった。何言ったんだろ? って、腹筋やるの早くない?!)
先程、ストレッチをやり始めたダリルは、もう腹筋をしだしていた。
〘厘功? ここで汝に二つの選択をさせます〙
「はぁ···え?」
キャロルは、胸の中から二つのピンク色でシワクチャな封筒を手でシワを伸ばし差し出す。
(自分で、ダリルを胸に締め付けてたせいでしょーが!)
「なんですか? このしわくちゃなのは···」
コホンッ···
〘そ、それは、ここに置いとくのですっ! いいですねっ!〙
少し何か違うような気もするが、一先ずそれは忘れよう。
『しっかりやれよ? キャロ···』
ブガッ!!
(あんなのどっから?)
余計なことを言ったダリルは、突然現れた大きなボクシンググローブに殴られ、倒れた。
〘厘功? あなたに人生やり直しのチャンスをあげます〙
「いや、いらないです」
〘あげるのです〙
「いりませんって。もうやり残したことないんで」
ピキピキ···とまたキャロルのこめかみが動き···
〘あーげーるーのー! あげるったら、あーげーるーのー!!!〙
と今度は子供みたいに泣き叫んで転がる···
(本で読んだ異世界ナンチャラにいくのだろうか? にしても···)
先程までは、ダリルに物凄い形相で怒っていたキャロルが、今度はダリルに頭を撫でられ慰められている。
(なんなんだよぉ! 死んだんだから、いいじゃんぅっ!!)
ダリルは、目で「従え」と言ってるし···
「わ、判ったから。ねっ! 泣きや···」最後まで言い終わらない内に、
〘どーっちだっ! どっちがいーい?〙
(泣いてた···よな? 確か)
「じゃ、こ、こっちで···」と右手に持ってるのを取ろうとすると、
「······。」キャロルが、固く掴んでて引っ張っても取れず、結局···
「こっちで···」と左手に持ってるのを取る。
〘ふふっ。わぁい! 1件成功!! じゃねっ!!〙
ポポンッ···いきなり現れて、またいきなり消えた。
「なんなんだ? あれ···」
狐につままれた感じで、まだ残ってる薄っすらと白い煙をみて呟く。
『キャロル·二コーラ。俺等、死神の中ではとびきり優秀で容姿もいい。次期の大死神候補だ!』
「ふぅん。死神にも色々あんだ···」と手に持ってる封筒を見つめた。
ピンク色で桜の花がいくつか散らばって、風には刻印?が押されている。
『まぁ、どっちかしかねーけどな。俺等死神にゃ! で、どっち? 貸してみろ』とダリルが勝手に封筒を奪い取り、何かまた小さく唱えると、宙に浮かんだ封筒の口がきれいにスパッと切れ、中の紙が手元にきた。
「今のは、魔法?」
『まぁな。死神も神同様に魔法は使えるが、必要性はあまりない。で、何が書いてある?』
手紙を開くと、つらつらとアルファベットが並び読めないが、不思議とその文字が日本語に翻訳され浮き出される。
「汝石田厘功を···現実世界で···の···やり直し?···を命ずる?! 辞令? 但し、ダリル・スペンサーと···共に···幼稚園···から? だって···」
『貸せっ!』ダリルは、厘功から手紙を奪い、再び読み始めて、ワナワナと身体を震わせた。
『あっんっのっ、くっそっアッマーーーーーーーーーッ!!』
「あ!」ダリルは、持っていた手紙をこれでもか! これでもか! と言うふうに粉々に破き風に飛ばした···。
「······。」
(意味がわからないし。これって、どうなるの?!)
その頃のキャロル···
〘あーっ! また間違えちゃった! けど、いっか! ダリルがいるから···〙
こうして、僕とダリルの人生やり直しゲージが始まった?