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ページを捲ると、写真が一枚貼ってある。そこには自分よりも歳上の中年男性の寝顔が映っている。
一月 二十日
草太はいっぱい食べてくれる。だけれど今日、草太に異常が見つかる。私を見て勃起したのだ。私は草太の病気を治すべく、原因を切除した。草太は泣きじゃくって、声を上げた。死ねと草太は言葉を発したので、私は更に罰を与えた。話が出来ないように、草太の歯を抜いた。草太は何も言わなくなった。私は草太にいいこいいこと、頭を撫でてあげた。
ページの隙間にはまた一枚、写真がある。裏返してみると、さっきの成人男性が歯のない口を開きながら、涎と涙を流している。僕は、御堂美矢にやられた事を思い出し、気持ち悪さと不愉快さで、吐き気がしてきた。次のページを捲ると、文体は一気に荒々しく乱れていた。
一月 二十五日
何故?何故なの何故皆私の元から居なくなろうとするの?何故私の言うことが聞けないの?ねぇ、何故神様私はあの子を愛してるあの子がいなくなるならいっそ
途切れた文章の下にまた写真が一枚。僕はそれを見てどくりと心臓が跳ねた。
男の右目は空洞になり、顔へ血が溢れ出ている。そして男の両足はあらぬ方向へひしゃげていた。僕はそれを見てついに床に吐き出してしまった。
男は殺されたのだ。あの女に。御堂美矢に。僕も捕まれば、この男と同じようになるのだ。
恐怖で竦む体に鞭を打って立ち上がった。だが、外にはまだあの女がいる。その時、小屋の扉が叩かれた。コンコンコン。コンコンコン。
僕は肩を大きく揺らして、汗が一気に溢れた。扉を叩く音は更に大きく激しくなっていった。コンコンコン!コンコンコン!
耳を塞ぎたくなる凶音に、僕は気が狂って喉の奥から悲鳴を上げてうずくまった。扉の外で御堂美矢の低い声が聞こえてくる。
「開けろ!開けろぉ!」
僕は扉から一目散に離れ、部屋の隅で丸くなった。
「ひゅー……ひゅー……はれは、はふへへふれ」
歯のない声で、うわ言のように呟き、頭の中の何かに助けを求めた。御堂美矢の声と扉の音は未だに止まらない。
「あんたは私のものだ!早く開けろ!」
僕は叫んだ。
「もうやめろぉ!!」
その途端、扉と御堂美矢の声は止まり、突然の静寂が訪れる。




