チリ
「お~い、佐野~、生きてるか~」
ペチペチと顔を叩いてみる。
クロもすぐに戻ってきて、叩くのに参加している。
怪我させるなよ?
「う、うう~ん……はっ!」
「おお、起きた起きた」
「何さっきのは! スライムってもっとカワイイ物でしょ!!」
「そりゃゲームのやりすぎだぞ。実際はそんな事は無い」
「ラノベでもスライムはカワイイ部類に入ってたわ!!」
「そりゃ仲間にするからだろ?
仲間になるモンスターを凶悪な見た目にしてどうするんだよ」
「くっ! 理不尽だわ!」
「それを俺に言われてもなぁ。価値観の違いじゃね?
こっちの世界では犬猫はカワイイ対象じゃないかもしれないだろ?」
「それは神が設定したとしても、許されないわ!
あっ、そういえばシロちゃんは?」
「冒険者ギルドに行ってる」
「ギルド?!」
立ち上がって喜んでいる。
クロも一緒になって喜んでいる。楽しいのだろう。
冒険者ギルドがある事に感動したのだろう。
俺も最初はそうだったし。
「こうしちゃ居られないわ! 早速行ってみなきゃ!
カメラ、はスマホで良いか! よし!」
「いやいや、落ち着け。
外が危険なのはさっき見ただろ?」
「クロちゃんに護衛をお願いするわ! ね~クロちゃん?」
「うん! がんばるー!」
「それだけじゃない。外には未知の病原菌が一杯だ。
俺も1歩出ただけで感染した」
「うっ……。で、でもすぐに症状が出る訳じゃないんでしょ?
それに、今ピンピンしてるじゃない」
「シロの治癒魔法とポーションで治した」
「なら私も治るわね! レッツゴーよ!!」
そう行ったくせに、離れに向かって行った。
帰るのかと思ったら、靴を取りに行っただけだったわ。
そしてそのまま玄関から出ていった。
……まぁ良いか。
他人から見た異世界ってのも重要だ。
シロクロだと、どうしても動物目線になるからね。
そんな事を考えてたら、佐野がトボトボと戻ってきた。
早いな! もう病気になったのか?!
「どうした?!」
「……出られなかった」
「は?」
「何か見えない壁があって、出られなかったのよー! 何あれー!!」
結界に引っかかったのか。
って事は害がある人間って事になる。
いや待て。それは入ってくる人間に対してだ。
中から出る分には問題無いはず。
……もしかして、異世界人は外に出られないのか?
「それは結界だ。俺や家に害のある者は入れないようになっている」
「私、害があるの?!」
「いや、出られないってのは初めてだ。
多分、異世界人は出られないんじゃないか?」
「あなたは出たんでしょ?!」
「俺は元々出るようにと、神様に言われてるからなぁ。
俺と、シロクロ以外はダメなんじゃない?」
「ヒドい!!」
「だから俺に言うな」
「神に言えば良いの?!」
「そうだけどさ。言ったって神の心象が悪くなるだけだと思うぞ。
それよりも下手に出て、機嫌良くしてもらって、願いを叶えてもらった方が得」
「……相変わらず打算的な考えするのね。
でも、確かにそうだわ。短絡的すぎたわね。少し落ち着こう」
「そうしろ。しばらくすればシロが帰ってくるさ」
「シロちゃんとお話出来るのか~。楽しみだなぁ」
楽しみなのは良いけどさ。
肝心な事を忘れてないか?
「なぁ、用事があって来たんだろ?」
「そんなの異世界と比べたら塵と同じ! どうでも良い!!
あっ、飲み物貰うね~」
塵ときたか。
まぁ、確かにそうかもしれないけどさぁ。
取引に使うソフトって話じゃなかったか?
仕事関係だろ? 重要だと思うんだけど。




