シロの回。冒険?2
『シロの回。冒険?2』
「シロさん……本当に大丈夫?」
「大丈夫です。実験済みですから」
「本当に?」
「大丈夫です」
「…………だって、聞いた事無いよ?! アイテムボックスに入るなんて!!」
「問題ありません」
「そもそも! アイテムボックスは生きてる物は入らないはずじゃないの?!」
「誰が言ったんです? そんなウソを。使用者から聞いたのですか?」
「えっ?! ウソなの?! だってそう聞いてるよ?!
ま、まぁ確かにアイテムボックスを使える人自体少ないから、使える人には出会った事無いけど……」
「私は使えます。そして入れます。何か問題が?」
「ううっ……本当に大丈夫なんだね?」
「ええ」
森に居た狼?で実験しましたから。
彼らに聞いた話では、中では呼吸が出来ないとの事でした。
つまり空気が無いのでしょう。
その辺りの疑問は主にも聞きました。
主曰く、入れた物に変化が無いので空気以外の気体が入っているんだろう。
だから生き物を入れると死んでしまうんじゃないか。
つまり生き物が入れられないのではなく、入れると死んでしまうのでは?、との事。
それを聞いて解決策も考えましたよ。
そして実践して成功したのです。
さ、文句を言わずに袋に入るのです。
「で、この袋に入るんだね?」
「そうです。落下防止です」
「ら、落下?! どういう事?」
「アイテムボックスの中は底が無いらしいですので」
「底が無い?! って事は?!」
「はい。袋が破けると落ちます」
「この袋! 頑丈なの?! 大丈夫?!」
「大丈夫です」
主に貰った袋ですよ?
それに文句を言うとは……。
まぁ、元の世界の物ですから、理解出来ない素材だとは思いますが。
その復路は『トン袋』という物で、工事現場で使う物だそうです。
クレーンで吊ったりするので破れないそうです。
名の通り1tまで入るそうですよ。
「袋の中が獣臭いんだけど……」
「実験でも使いましたからね。そこは我慢してください」
「ううっ……。入ったけど、どうするの?」
「ここをこうします。はい完成ですね」
「……なんか、さらし首みたいになってるけど」
体はすっぽりと入っていて、頭だけ出しています。
そして袋の口にあるヒモを締めたので、丁度台に首だけ乗ってるようにも見えますね。上手い事言いますね。
「……これ、本当に大丈夫だよね?」
「大丈夫です。では入れますよ?」
「ゆ、ゆっくりね! うぉっ! 浮いた?! ひゃあ! んん?! 今どうなってるの?!」
「アイテムボックスに入ってますよ」
袋の取っ手をしっぽで持ったまま、袋をアイテムボックスに収容しただけです。
こうすると、何故か全部入らずに「入りかけ」みたいになるのです。
入った部分は見えなくなるので、現在の状態は取っ手とギルドマスターの頭だけが見えてます。
「うわ~、ギルドマスターの生首だ……」
「ええっ?! シャティ、どういう風に見えてるの?!」
「首だけが見えてます……。不気味です!」
「マジで?! シロさん! 大丈夫なんだよね?! 俺、生きてるよね!!」
「生きてます。シャティさん、叩いてみてはどうですか? 痛さで実感出来るでしょう」
「いや~、不気味過ぎて、触りたくないです」
「ちょっと! 失礼だぞ!」
「質問なんですけど、シロ様がしっぽで持っているその取っ手を離すとどうなるんです?」
「アイテムボックスに吸い込まれます」
「シャティ! 変な話をするな! シロさんの気が削がれるだろ!!
シロさん、いや、シロ様! 集中してくださいね! お願いします!!」
「問題無いですよ。
では行きましょうか。方向を指示して下さい」
「わ、判った。まずは北門を出て……」
「北ですね」
街中なので、1分の力で走ります。
人が邪魔なので、屋根の上を走りますか。
「ぐえっ?! うえっ?! むげっ?! ぎょえ~~~~~!!
シロ様!! ストップ!! ストップでお願いしま~~~~す!!!」
「どうしました? 北門に着きましたけど」
「も、もしかして……この状態で走って王都まで行く、と?」
「そうですよ? 問題が?」
「問題アリです! 無茶苦茶怖いです! 地面が近いし! 速いし! 揺れるし!!」
「そこら辺は慣れて下さい」
「ぇえ~~~~~…………」
「次の方向は? 指示して頂かないと、適当に最速で走りますよ?」
「み、道なりに進んで、村が見えたら右折です。ですので、ゆっくりお願いします…………」
しょうがないですねぇ。では4分くらいの力にしておきましょう。




