謝罪
ギルドマスターが訪ねてきた。
ま、十中八九、貴族の事だろう。
これで採取の事やランクアップの話だったらビックリだわ。
「こんばんは。やっぱ来られたのって、周囲のアレの事ですよね?」
「そうです……。申し訳ありませんでした」
「んん? ギルドマスターが呼んだの?!」
「違います! 事情を説明します!」
ギルドマスターの話は判った。
つまりシロが原因だと。まぁ、要因はバカ貴族の娘だけどさ。
リークした冒険者は責められないだろう。
バカ貴族でも、この世界に住んでいたら逆らえないだろうし。
「ギルドマスター、頭を上げて下さい。問題ありませんから」
「で、でも、相手は兵糧攻めするつもりでいますよ?」
「それは気にしないで。シロとクロはアイテムボックス持ちですし。
それに、ほら、えっと、俺、アレなんで、食料とはどうとでもなるんですよ、ははは」
「は、はぁ……」
異世界と繋がってるとはさすがに言いにくいな。
そうなると説明も難しい。
いや、言っても良いんだけど、そうなると異世界の物が欲しいとか始まりそうで。
ほら、例えば塩とか。安く手に入れて高価で売るとかよくあるけど。
そういうのって異世界のバランスを壊してると思うんだ。
俺の所が供給源になった場合、今までの所は売れなくなってしまう。
俺の所に依存した後、何らかで居なくなったらどうなる?
こういう事は技術があっての事だ。と、俺は考えてる。
「とにかく。食べ物飲み物は大丈夫ですから。
それよりも、アレ、ギルドマスターが言っても撤退しませんよね?」
「そこは手を打ってきました。王都に手紙を出してきましたので、近い内に解決するはずです」
「それはまたどうやって?」
「陛下に直訴したのです。『危険な物を封印している賢者の邪魔をする貴族が居る』と。
納得されれば、陛下が引き返すように命令するでしょう」
「……なるほど」
いつの間にか賢者というポジションになってます。
ま、簿記とか出来るので、賢い人って意味で賢者かもしれない。
パソコンでやっただけだけど。
本当の賢者はパソコンかもしれないな。
「そう言えば、シロから何か考えてるって聞いたけど」
「……恥ずかしい話ですが、私も貴族に目をつけられますと生活出来なくなります。
それどころか犯罪者扱いにされ、投獄されるかもしれません。
なので、もし陛下が動かれない場合は、保護してもらえないかと思ったのです」
「そういう事ですか。判りました。それは保証しましょう」
「ありがとうございます!」
「で、動かない可能性もあるんですか?」
「ラテラウ伯爵は、そこそこの地位なので……陛下も処罰しづらいと思われます」
あ~出た出た。王政なのに、貴族を処罰出来ない王。
功績があるとか、長年守っていたからとか、親しいからって理由のやつ。
いつもダメな国だな~と思いながら読んでたわ。
実際にあるんだなぁ。
あっ、だから娘も助長するのか! 納得!
もっと頑張れ、王!
「話は判りました。
今日はもう夜になりますし、泊まって行かれては?
明日シロがギルドに行く時に、一緒に行かれた方が安全でしょう?」
「うっ……確かに。…………お言葉に甘えて良いですか?」
「はははは。大丈夫ですよ。
じゃあ、一緒に酒でも飲みますか。良いのがあるんですよ~」
「本当ですか?! じゃ、じゃあご相伴に預からせてもらいます!」
ヴィンテージ物のワインを出して、一緒に飲んだ。
外の兵達が悔しがるように、ベランダで酒盛りしてやったわ。
判った事。
ギルドマスターは、酒に弱かった。
すぐに酔い、ギルドマスターも大変なんですよ~と愚痴。
1時間で酔いつぶれてしまった。
もっと見せびらかしたかったんだけどなぁ。
まぁ、悔しそうな兵の顔を見れたので、良いとしようか。
翌朝。シロをお供に二日酔いのギルドマスターは帰って行った。
周囲を囲んでる兵が引き上げたのは、それから3日後の事だった。




