擬人化は却下です
本日3話目です。
半年後。
俺は異世界に行く事になった。
この半年で何をしてたかと言うと。
まずはセキュリティの強化。
家の庭等に監視カメラを設置した。
そして、うちの裏に有った空き地を購入して家を建てたのだ。
で、俺の家と繋いでおいた。
これで荷物は新しい家の住所で買えば良い。
こっちの家の玄関は異世界だから使えないからね。
これを見た神は大慌て。
「ちょっとー! 何ですか、これ!」
「え? 家建てただけだよ。
異世界に送るのは元の家だけでお願いね。
新しい家はこっちの世界に残すけど、廊下で繋がってるからそこは何とかしてくれよ?」
「私はポストだけはこちらに残すつもりだったんですよ!」
「ポストが異世界と繋がるのも、廊下が繋がるのも似たようなものでしょ?」
「使用する魔素の量が全然違いますよー!」
「日本の魔素は使わないんだから、使えば良いじゃん」
「そういう問題じゃ無いんです!
物を通過させる時に、魔素を使うんですよ! しかもその質量によって使用量が変わります!
人間が何度も通過したら、凄く使うんです!」
「ふ~ん。そうなんだ」
「他人事ですか?!」
「頑張るのは神だし。嫌なら違う人にしたら?」
「ぐっ! ……判りましたよ! やりますよ! チクショー!」
良かった良かった。
おっと、もう一つ重要な事があった。
「はい、これ。サインして」
「何ですか?」
「契約書だよ。重要だろ?」
「神を疑うんですか?」
「疑うとかそんな話じゃない。認識の齟齬とかあるかもしれないから、文書にしただけだから」
これには俺の要望も書いておいた。
勿論、神から掲示された内容も書いてある。
内容は以下の通り。
家ごと異世界に行く
1.異世界では家を絶対に防御する結界(?)を張ってもらう。
2.望んだ者や害の無い物しか通過出来ないようにする。
3.電気・上下水道・テレビや電話回線・ネット回線などライフラインは日本と繋がったまま。
4.新築の家は日本に残し、廊下で行き来出来るようにする。
5.2年に1度は日本の両親に会う事が出来る。
異世界での生活
1.運んだ魔素を放出する。
2.初期の生活費は出してもらうが、後の活動費や生活費は自力で稼ぐ。
3.自分が家を出るのは面倒なので、飼い猫である「シロ」を活動させる。
4.シロが活動する為に、シロにチートを与えてもらう。
「…………」
「読んだ? じゃあここにサインして」
「おかしな点がいくつかあるんですけど?」
「そう? 大体言われた通りなハズだけど?」
「まず、結界って何ですか?!」
「異世界だろ? ドラゴンとか魔王とかモンスターとか居る世界だと思うんだ。
安全の為に必要じゃないか。それとも俺が向こうに行ったらすぐに死んでも良いのか?」
「そう言えば魔素の放出の仕方を話してなかったですね。
あちらの世界は魔法やスキルがあります。貴方が魔法やスキルを使ってくれれば、その都度放出されます。
なのですぐに死なれては困ります」
「やっぱり結界は必要だね!」
「……判りましたよ。言っておきますけど、結界内では魔素は放出されませんからね!
家を出て使って下さいよ!」
「あっ、それは無理」
「何でですか!」
「出るのは面倒だから。
…………そうだ! シロに使わせよう!」
「そう! 次の疑問点はそこですよ! 何ですか、この4番の『シロにチート』って!
しかも黒猫の名前がシロ?!」
「いや~、アオと悩んだんだけどな。結局シロにしたよ」
「悩む基準がおかしい!」
俺の命名に何か文句でもあるのだろうか?
見た目に引っ張られない見事な名付けだと自負してるのだが。
「で、チートだけど」
「流した!!」
「意思の疎通が必要だから喋れるのは当然として。
後はスキルがあるそうだから、無敵みたいなスキルでいいや」
「簡単に無茶苦茶言いますね!」
「出来るでしょ? 神なんだから。
そうそう。さっき言ったように、魔素の譲渡も出来るようにしておいてね」
「判りました! やります!
だからもう条件を乗せないでください!」
やったぜ!
「シロさんは、まず知能を上げます。
それから……もう面倒だから擬人化しますか」
「それは却下だ!!」
「え? 擬人化って流行ってるじゃないですか?」
「流行ってるかもしれないが、俺は認めない!
猫は猫だから良いんだ!! 猫が人間になるとか……美人でも美少女でも嫌だ!!
それに惚れる主人公とか気持ち悪い!!」
「は、はあ。判りましたよ。じゃあ喋れるように口腔内も改造しますよ?
それは良いんですよね?」
「良いよ。爪とか長さ自由になるとかも面白いかもね。戦闘時は長くなって、ズバッと斬り殺すとかさ!」
「改造はOKとか、基準が判らない!! そして何気に条件が追加されてるし!!」
「改造しても猫は猫だろ? 猫が良くて飼ってるのに猫じゃ無くなったら意味無いじゃん」
「言いたい事は何となく理解できますけどね……」
「俺は昨今の、擬人化だらけな事に意義を申す! 戦艦は戦艦! 動物は動物!
後、何でも女の子を主人公にすればOKっていう流れも嫌い!」
「貴方のアニメ観は良いです! 判りましたから!!」
何で不服そうなんだろうか?
まだまだ言いたい事はあったのだが。
神ならどうにかしてくれないかな?




