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第二回書き出し祭り第二会場を読んで学んだこと

作者: 稲荷竜

※注意

主に自分の趣味趣向がわかったよ、という話

絶対的、なおかつ客観的な価値について語る能力はありませんし、語らなければならない立場でもありません。

なのでここから下の文章はすべて主観、個人の趣味趣向に深く根ざしたものです。




私が拝読したのは第二会場だけですが、そこに掲載されていた作品群を見て、発見したことをつづります。


まず、私という読者は、『世界観』『設定』『安心感』をフックとは思えない人種ということがわかりました。

(フック≒物語を読み進める動機たりうる要素)


反対にフックたりうる要素は『キャラクター』『文章』あたりだな、ということもわかりました。


これらを踏まえ、拝読したものを四種類に分類して、感想を書いたり書かなかったりしました(感想はツイッターに書いてます)。


では『四種類』の内訳は?



1、手放しで面白い。続きを読みたいもの


2、技量が高く面白いのはわかるんだけれど、私の感性には響かなかったもの


3、やりたいことはわかるんだけれど、やりたいことに技量、発想が追いついていないと感じるもの


4、わからん



以上です。

2、3、4は書いてある通りです。

一言でまとめると『NOT FOR ME』となります。

私向けではないな、ということなので、これらについて説明できません。



では、なにが『1』に該当したのか?


私が『手放しで面白い』と感じたものは……


『キャラクターがはっきり示され、そのキャラが好ましく思える』

『ヒキでつい続きが気になって、次話をクリックしてしまう』


上記二点が達成されているものでした。





『キャラクターがはっきり示され、そのキャラが好ましく思える』


この項目で満点だったのは、『ベテラン死神の割に合わないおしごと』でした。


死神の哀愁あふれるキャラクターが好ましい。

気の弱い一般社会人的な感性で、嫌われ役であり、苦労を押しつけられ、イヤイヤ言いながらも強く反論できず、上司などの命令を聞いてしまう。

現状に不満はあるものの、つとめて(←重要!)ドライに仕事をこなす彼。


この彼がきっとこれから面倒ごとに巻きこまれていくのだろう、というところでこの書き出しは終了していました。


キャラクターがハッキリわかるので、続きへの期待感が高い。

『このキャラならこの先、こんな(面白い)展開が想像される』というのは、作中でキャラクターがしっかり出ていないと持てない期待です。


『キャラでフックを作って』『キャラを紹介して』『キャラを掘り下げて』『キャラでヒキを作る』というブレない構成が見事な逸品だったと思います。



同様に『第三王女の影の武者』も今後が楽しみです。


ただ、私は前述の通り『設定』『世界観』『情報』などに興味を持てないタイプです。

なので『お姫様だよ』『有名な騎士だよ』という情報を示されてワクッとならなかったぶん、『キャラクターがはっきり示され、そのキャラが好ましく思える』という点において、『ベテラン死神』のほうが好みでした。


4000文字だとどうしても情報の取捨選択が発生します。

『どの要素に何文字割くか?』は作者の戦略なので、『ベテラン死神』の情報配分戦略が私を攻めるのに向いていたのだと思います。



っていうか両方とも主人公がめんどうごと嫌いなタイプじゃねーか!

私の趣味だな!





『ヒキでつい続きが気になって、次話をクリックしてしまう』


これについてお話しする際には、なんといっても『Qデスゲームで嫌いな奴へ復讐するのに最適な能力を述べよ A死に戻りで皆殺しです』を挙げないわけにはいきません。


タイトルでネタバレしてます。

そして、書き出しの内容は、おおむね、タイトル通りでした。


デスゲーム系漫画が好きな主人公。彼はいじめられていた。

いじめっ子たちデスゲームに巻きこまれて死なねーかなあと思っていたら、突如始まるデスゲーム。


ここまではまあ『どことは言わないけどどこかで見たことある! どことは言えないけどどこかで!』みたいな展開でした。

正直退屈だった。


しかし、退屈な展開だというのに、文章がわかりやすく、主人公の内心がハッキリしているので、だらだらと読んでしまいます。

フックはないが読みやすい文章というのでしょうか。


私は強烈なフックの連続でページをめくる手が止まらない文章を『能動的文章』――

そしてフックはないけど苦痛もないので読んでしまう文章を『受動的文章』と呼んでいます。

この作品には高い受動的文章力がありました。


そして、だらだら読んでいるうちに、なんと、タイトルを忘れているのです。

タイトルを忘れているところで、デスゲームが始まりました。


殺害される教師。

騒いだクラスメイトも死ぬ。

そうしてなぜかデスゲーム主催者的キャラ(たぶん主催者ではないがそれは妄想なので小カッコ内に記すにとどめる)が、主人公に寄ってきて質問します。


主人公はデスゲーム系漫画が好きでよく読んでいるので、そこで経験を活かした回答をし、なんらかの優位を得るのだろう――

タイトルを忘れていた私は、そう予想しました。


ところが、主人公が死にます。


ファッ!? となりつつ続きを読むと、なんと、主人公が死に戻っているような描写のヒキが!

そうか! 死に戻りなのか!(タイトルに書いてある)


熱が入りすぎてわけわからん文章になってしまいましたが、衝撃が強かったんだよ!

好きってことだ!


きっと長くて覚えにくい、ともすれば読み逃しそうなタイトル、序盤のテンプレすぎる(しかも具体的な作品を挙げられるアレじゃなく、集合的デスゲームプロットとも言うべき、どこで見たかわからないけどどこかで見た感じのアレ)退屈な展開、それらすべて作者の計算だと思います。

作者天才じゃん。やべーよ。


なんだかめちゃくちゃな紹介文でしたが、文字数と支離滅裂さに私の『好き』が現れすぎていると思ってください。




もう一つ『ヒキでつい続きが気になって、次話をクリックしてしまう』作品がありました。


それは『代筆メイドは、お嬢様の婚約者に恋をする』です。


こちらは情緒的な文章(私にとってフックのある文章)でお嬢様付きのメイドの心情、その変化、生まれる恋心などがつづられていきます。


叶わぬ恋を抱き、相手と実際に対面してその想いは弱まるばかりかいっそう強まる……

ここまでで悲恋が確約されているのですが、なんと、『悲恋では終わらない』とでも言わんばかりのヒキが!

今後が楽しみ!


『キャラクターがはっきり示され、そのキャラが好ましく思える』『ヒキでつい続きが気になって、次話をクリックしてしまう』の、私にとって重要な2要素をバランスよく兼ね備え、文章も好ましくわかりやすく、主人公の今後に期待も持てる、完全に私好みの作品でした。





総評


第二回書き出し祭りは私に色々なことを教えてくれました。


主に私の好みについてです。


キャラクターが好き。

ただし、知らないキャラの過去をいきなり紹介されても興味持てない。


キャラの過去がフックになるのは、現在のキャラに興味を持っていて、そのキャラのことを知りたい、そのキャラの話を知りたい、という精神状態の時だけなんだなあと思いました。

私も『格好いいキャラ』を書く時には過去を前に出しがちなので、現在に興味を持たせてから過去に行く、というステップを踏むよう心がけたいです。


キャラクターのみならず、物語そのものの構成の仕方も見えてきたような気がします。


物語は『つかむ』『関心を持たせる』『話を進める』の順序を踏んで進めていくべきで、いきなり『話を進める』と心がついていけず、『つかむ』ができていなければそもそも関心を持つにいたらず、『つかむ』だけで『関心を持たせる』をおろそかにして『話を進める』の段階に入っても、「あっはいがんばってください。さようなら」と言ってブラウザバックするだけなんだなあと思いました。

(※私の好みの話)



また、設定、世界観ばっかり描写されても『はあ』としか思わなかった。

ほんと興味ないんだなあ、と発見しました。

私の作品にもそういう趣味趣向が現れている気がします。

気を付けよう。


他にも様々なことがわかりましたが、そろそろ5000文字ぐらいになりそうなのでここらで終わります。

今回は時間がない予定だったのでいち会場しか見に行かないつもりでしたが、来るはずの案件が音信不通なので時限爆弾のそばで椅子に拘束されてるみたいな時間を過ごしています。

いつ爆発するか知らないけどもういち会場ぐらい拝読するかもしれません。


しかし読む前に書きたいことができたので、書くほうを優先します。

創作はいいぞ。

みんなもやろう。

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