表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/100

10日目(18)―真っ赤な顔

まさかの1日2話更新。ストックもないのに。

 ふと、視界が暗くなる。スクリーンのほうを見ると、もうエンドロールになっていて。

 結局、映画なんてほとんど観れなかったな。心の中、ミーナでいっぱいなっちゃったから。


「映画、もう終わっちゃったね」

「全然見れなかったね……、カスミのせいで」

「もう、何で私のせいなの?ミーナってば、先に寝てたでしょ?」

「そうだけど……っ」

 

 その続きを言われたら、多分嬉しさとか恥ずかしさとか、何もかもが混ざって、顔中熱くしちゃうのに。


「だって、キスされたせいで、カスミのことしか見えなくなっちゃったもん」


 耳元で言われた言葉は、やっぱり、私の心をキュンと鳴らせるには十分すぎた。


「ずるいよ、そんなこと言うの……っ」

「本当の事だもん、……じゃあ、カスミは、どうだったの?」

「私も、ミーナのことしか、見えなくなっちゃった……っ」 

「じゃあ、おんなじだね」


 同じことを想ってしまうのは、同じ気持ちを抱えてるから。……私とミーナが、お互いにお互いを恋してるから。

 今だって、耳元から顔を離して見つめ合った視線が、自然に近づいて、唇が重なる。

 暗いことをいいことに、ずっとずっと気持ちを確かめ合って。

 部屋が明るくなったのに気づいて、真っ赤になったミーナの顔がはっきり見える。


「そろそろ、出よっか」

「でも、顔赤いの直さなきゃ……」

「じゃあ、ジュースでも飲んで、ちょっと休もっか」

「そうだね、あるの忘れてたよ」


 よく冷えてたオレンジジュースは、火照った体を芯から冷ましていく。

 ストローで飲んでるからすぐにはなくならないはずなのに、いつの間にかもう無くなっていた。

 その頃には、顔の火照りも、大分収まってきて。


「わたしの顔、まだ赤くなってる?」

 

 ミーナの顔は、もういつもと同じくらいになってるけど、……それをまじまじと見たせいで、また、顔が赤くなっちゃいそうになる。


「ううん、もういつもと全然変わんないよ」

「カスミは……まだちょっと赤いかな」


 それは、ミーナの顔を見ちゃったせいだから、なんて言えない。そんなこと言ったら、またからかわれちゃいそうだから。 


「大丈夫だって、これくらい」

「本当に?」

「もー、本当だって」


 こうやって、話をするだけで楽しいし、心がほぐれてく。


「本当だ、さっきより、赤いの収まってるね」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

「うん、……そうだね」

 

 ちょこっとだけ、寂しそうなミーナの声。でも、私の中にも、デートから帰るってことに、寂しいって思うとこがある。帰る家も同じで、ずっと一緒にいるっていうのに。

 そのくらい、今日のデート、楽しかったのかな。それなら、すっごく嬉しい。

 空いたジュースのカップをゴミ箱に捨てて、また、手を繋いで歩き始めた。

にゃんにゃんしてる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ