10日目(14)―高鳴る鼓動
二人でいる幸せに浸っていると、お腹がきゅう、って鳴る。
時間を見ると、もうすぐ一時になるような時間。さすがに、そろそろお腹が空いてくる。
「そろそろ、ご飯にする?」
「うん、ちょっと、お腹空いてきた」
フロアマップを見て、フードコートのとこまで一緒に歩く。手を繋いでるのは、もういつものことで。
人の波をかき分けるようにして、なんとかたどり着く。いっぱい店が並んでて、何にしようか迷う。
「どこで食べよっか」
「うーん……、カスミが食べたいのがいいな」
「そう言われても、困るよ……」
あんまり食べるのにはこだわらないし、……それに、ミーナと一緒なら、どれもこれもおいしいし。
結局は、あまり寄ったことのないファミレスに行くことにする。
まだ、お昼を過ぎたばかりのせいか、すぐには入れなくて、待ってる人の名簿のとこに名前を書いて、置かれてた椅子に座って呼ばれるのを待つ。
「先に、メニュー見ちゃう?」
「うん、そうするね?」
傍に置いてあったメニューを持ってきて、二人でぱらぱらとめくる。
「あ、これおいしそうっ」
ミーナが指をさしてたのは、とんかつのセットで。こんなに元気なのが、ちょっとうらやましい。
「カスミは、何にする?」
「うーん……これかな」
ページをめくって見つけた、オムライスのとこを指さす。
「あ、それもおいしそうだね」
「ちょっと、食べてみたい?」
「うん、そうかも」
ミーナにとっては、まだ、何もかも新鮮なんだ。ちゃんと、リードしてあげたいな。だって、私はミーナの飼い主だったし、お姉さんで、恋人だから。
「じゃあ、ちょっとだけ、食べさせてあげるね?」
「え、いいの?」
「もちろん、だよ」
「えへへ、ありがとね」
大袈裟には喜ばないけど、軽く肩に寄りかかってくるミーナ。そんな姿に、また、かわいいって思ってしまう。
何度も何度もそんなかわいいとこを見て、その度に、胸の奥がキュンって高鳴る。その感触が、私にとって何よりも甘くて好き。
そんなことをしてたら、私の名前を呼ばれる、メニューを戻して、案内をしてくれる店員さんの後を付いていくとき、やっぱり、ミーナと手を繋いでる。
ミーナと向かい合わせに座るのは初めてだから、なんか新鮮だなって感じる。家で勉強してるときは背中合わせだし、ベッドに座ってくつろいでるときは隣にいるから。
……それと一緒に、ミーナの視線がまっすぐだから、胸の奥が高鳴って仕方なくなる。抱き合ったりキスしたり、ミーナともっと近くにいるときは、ドキドキだってするけど落ち着くような気もするのに。
「ねえ、料理、頼まないの?」
「ああ、そうだったね」
呼び出しボタンを押して、私たちの分の注文を済ます。やり方を見倣ってるみたいに、ふむふむといった様子で頷いてるミーナが、なんかちょっとだけおかしかった。
完結予定日まであと10日切ったけど大丈夫かな




