10日目(12)―二人の心
急ピッチで書かないと間に合わなさそうだしこれからペース上がると思います
「ふぅ……、ようやく着いたね」
「うん、そうだねっ」
コートのポケットから握ってる手を出すと、出てた手汗が乾いていくせいかちょっと涼しくなる。
結構大きい建物だから、先に館内マップを取っておく。隅っこに寄って、マップを見ようとして、手を離すと、ミーナが、腕に軽く手を掛けてくる。そんなとこも、かわいくて好き。
私たちがいるとことは、ちょっと遠い。
「先、映画のチケット買っとこっか」
「わかった、じゃあ、そうしよ?」
自然と、恋人つなぎする指。指の股に、手の温もりが伝わって、鼓動が、少し早くなる。
エスカレーターはどうしても横には並べないから、エレベーターを使って、映画館のある階まで昇る。
チケットを買う列に並んで、ゆっくりと進む流れに合わせる。
「やっぱり、いっぱい買われてるね」
「そうだね、だから早く買っとかないとなくなっちゃうって思って」
前の人たちが買ってるのも、やっぱり私たちが観ようとしてるのばかりで。
世間に疎い私や、ましてちょっと前は猫だったミーナでも知ってるんだから、当たり前と言われればそうなんだけど。
私たちの番が来て、まだ昼前なのに、二回先の三時からの回しか取れないみたいだった。
それでも大丈夫かって訊かれて、大丈夫だと答える。
真ん中くらいの列を隣同士で二席、それぞれの財布から出す。無事に隣の席を取れて、ほっとしたようにカウンターから離れる。無くさないように、チケットを財布に入れておく。
「映画見れるのしばらく後だし、まだお腹空いてないでしょ?」
「肉まん、さっき食べたもんね」
「それなら、しばらくいろいろ見てみよっか」
「うんっ!」
せっかく、デートするんだから、ミーナと、いっぱい思い出つくりたい。
自然と恋人つなぎをして、下の階まで降りる。
そういえば、ミーナの分のパスケースも買っておきたいな。
いろいろな事を考えながら、二人でまたエレベーターに乗って、とりあえずは1階まで戻る。
「ああいうの、カスミが着たら似合いそうだなぁ」
「えー?そんなことないって」
「そんなことあるって、だって、カスミはかわいいもん」
「もう、ミーナ……っ」
そういう事をさらりと言ってのけるミーナのほうが、かわいいのに。
「じゃあ、ミーナが着ても似合うね、ミーナだって、かわいいもん」
「そ、そうかな……」
「そうだよ、だって、私より、ずっとかわいいもん」
「えぇ……?でも、そう言ってくれるのは、嬉しいな」
砂糖を入れたココアみたいに甘々な会話は、それだけ、ミーナと私は、お互いのこと、恋してるってこと。
好きな人の、好きな人でいられる。それが、嬉しくないわけなんてない。
深まっていく気持ちは、私とミーナの関係をよりいっそう濃くしていった。
こいつら朝にもこんなことしてたよな