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2日目(4)―二人の時間

3/30追記:ブックマーク件数10件突破していました。

皆さまの応援ありがとうございます。

 ご飯の前は、全然勉強なんてできなかったので、一緒に背中合わせに机に向かう。

 ミーナのノートは、書かれてなんてないはずのおとといより前の分も書かれていた。

 少し丸っこくてかわいいミーナの字を追って、ノートに書き写す。

 綺麗にまとまっていたノートは、6時間分のことが手に取るようにわかった。


「ありがとね、ミーナ」

「もう、次からはちゃんと自分でやってね?」

「もー、大丈夫だよー」


 だって、感じていたもやもやは、全部ミーナが取ってくれたんだから。

 二人で一緒にお風呂に入る。シャワーを怖がってしまうミーナの体を洗ったり、お返しに洗ってもらったり。

 ミーナと一緒にいるだけで、なんでこんなに楽しいんだろう。

 同じベッドで眠るのも、もうずっと前からのこと。


「今日は、ちょっと寒いね」


 もうそろそろ12月。天気予報で、最高気温が一桁というのが当たり前になってくる。


「そうだねぇ」


 ミーナが猫だった頃、布団に入ってきたミーナをうっかり潰さないように、寝相をよくしてたんだっけ。

 電気を消すと、もう真っ暗になった。


「わたしが生まれた日も、こんな日だったんだよ?」


 里親からもらってきたから、ミーナが生まれたときのことは知らない。


「そうだったんだ……」

「そういえば、明日が誕生日だって聞いたよ?」

「そうなんだぁ、日付まではよくわかんないけど」


 目が闇に慣れてきて、ミーナの顔が近いことに気づく。

 これからキスするみたいで、そんなことを考えてしまった頭はあっという間に熱を帯びていく。


「じゃあ、おやすみ、ミーナ」

「おやすみ、カスミ」


 目を瞑ってみても、眠くなんて全然ならない。

 毛布を出すのを忘れてしまったせいで、体が寒いからなのか、それとも、ミーナとキスすることを考えてドキドキしてしまったせいなのか。


「カスミ、眠れないの?」


 不意に聞こえたミーナの声。


「う、うん……」

「今日、寒いもんね」


 そう言うミーナも、きっと眠れなかったのかな。でも、聞こえる声は、いつもより優しい。


「ごめんね、毛布敷くの忘れちゃって」

「ううん、いいよ」


 不意に、ミーナの顔が近づく。思わず目を瞑って。

 唇は重ならなかったけど、体にミーナの温もりを感じる。


「……これなら、あったかいでしょ?」

「そ、そうだね」


 吐息がかかるくらいの距離。逆に、こっちのほうが、キスよりもずっとドキドキしてしまいそう。

 ……でも、確かにあったかくて、落ち着く。


「じゃあ、おやすみ」

「うん。……おやすみ」


 ミーナの熱と香りは、驚くほどに私に眠気を誘ってくれる。

 寝顔をぼんやりと眺めながら、私も夢にふらふらと誘われていく。



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