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9日目(5)―求めるぬくもり

投稿遅れました。ゼミのレジュメ絶対許さない。

 授業の時間は、ミーナと恋人になってから大して変わらない。

 普通にノートをとって、たまにミーナのことを横目で見て、その視線が重なりあってドキドキして。


 休み時間になって、お互いでお互いをあっため合う。ストーブの熱気よりも、ミーナの温もりのほうが、ずっと好き。そんな気持ちが、繋がってしまうのが、嬉しいようで、ちょっと困ってしまう。

 ここが学校とか、誰か見てるとか、そんなことどうでもよくなるくらい、ミーナに甘えたくなるから。

 ミーナのこと、見つめる目が、自然に求めるものになってしまう。


 ぽんぽん、と頭を撫でられる。その意味も、自然とわかる。……かわいい、なんて、言うほうも言われるほうも、恥ずかしくなっちゃうもんね。私とミーナが『恋人』だってことも、秘密にするって約束したもんね。

 おうちに帰れば、気兼ねなく甘えさせてくれるし、大好きだから、我慢できる。

 ……ミーナが猫だったときは、ミーナのほうが私に甘えてきたのにな。今はもう、気持ちは一方通行じゃなくて、ちゃんと伝えられる。


 3限の国語の時間に、ふと隣から手が伸びて、私の机に白い紙を落とす。

 折りたたんであったルーズリーフを開くと、ミーナのかわいい文字が目に入る。


『そういえば、サッカーって何?』

 そっか、まだちゃんと教えてなかったし、私もそういうスポーツには興味ないし、全然知らないんだ。

 うろ覚えだけど、確か手を使わないで、足だけで相手のゴールに入れたり、味方にボールを渡すんだったよね。

 そんなのを書くと、もう手紙は回ってこなくて、休み時間に「ありがとっ」って耳元で言ってくれて、頭を撫でてくれる。


 そんな風に過ごしてたら、あっという間だったみたいに午前中が終わる。


「もう、お昼だねぇ」

「ほんとだ、もう、こんな時間なんだね」


 いつもみたいに二人の机をくっつけて、ご飯を食べる。昼休みが終わったらすぐ体育になるから、ちょっとだけ急いで。


「いつも、おいしいよね」

「お母さんが、つくってくれるもんね」


 でも、こんなに幸せになれるのは、ミーナがそばにいるときだけ。

 一人で食べてたときより、ちょっとだけ早く食べ終わって、ジャージと体操服を持って一緒に更衣室に向かう。

 トイレすら億劫になるくらい、廊下が寒いのは相変わらずで、思わず、体がすくんで、体を寄せ合う。


「うぅ……、寒いよぉ……」

「ちょっと急ごっか、更衣室は、ちょっとあったかいし」


 いつも誰かが点けてくれるストーブのおかげで、更衣室は教室と同じくらいあったかい。

 すぐ混むから、ちょっと急ぎめに着替えを済ませる。


「寒いけど、ちょっと楽しみかも」


 冬の空みたいに澄んだミーナの声で、なんか救われた気がする。

 返す言葉が見つからなくて、そっとミーナの手を握った。

自分は小さい頃サッカーやってました。(上手かったとは言ってない)


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