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2日目(1)―消えない余韻

 気がつくと、もう朝。

 時間は、いつも起きる時間の1時間も前で。

 カーテンの向こう側の光は、ちょっと暗い。

 昨日は、結局あのまま寝ちゃったのに、布団はしっかりと掛けられていた。


 布団、掛けてくれたんだ、優しいな、ミーナは。

 まどろんだ頭は、ミーナのことしか考えられなくなっていて。

 横を見ると、すやすやとミーナが寝息を立てる。

 私の夢、見てたらいいな、なんて。


 昨日のことのはずなのに、ミーナと交わしたくちづけが、脳裏に焼きついて離れない。

 だからなのかな、余韻は、まだ全然消えてくれない。

 寝顔のミーナを見て、かわいいな、なんて思ってしまったり。

 不意に、顔が近くて、唇を重ねてしまいそうになったり。


 その衝動を抑えようと、身を起こす。

 ひんやりとした空気が、目を覚まさせて、それでも余韻は収まらない。

 重ねる前のドキドキも、唇に触れたミーナの唇も温もりも、さっきしたみたいに思い出せてしまう。

 ぼうっと、体が熱くなるのを感じる。胸が苦しくて、痛くて、それなのに甘い。

 ミーナとキスしたときのような感覚すら、再現できてしまうくらい。


「んん、かすみ……?」


 ずっと身を起こしてたせいか、冷えた空気にミーナも起こしてしまったみたいだ。


「ごめんね、起こしちゃった?」

「ちょっと、寒くなっちゃって」


 ミーナも身を起こして、私のことを軽く抱く。肌の当たるとこから、温もりが伝わってくる。

 その熱が、私の心を溶かしそうなくらい体の中で増幅していく。

 熱くなったはずなのに、体は、もっとミーナの温もりを求めてしまう。


 私、おかしくなってるのかも。きっと、ミーナと、キスしたときから。

 抱き寄せたミーナの体は、やっぱり猫だったときよりずっと重い。


「どうしたの、カスミ」

「……ん、大丈夫だよ」


 ミーナの体、あったかくて気持ちいい。

 人肌恋しくなってるのは、きっと寒いから。

 そう思わないと、私はどうにかなってしまうかもしれない。


「もー、カスミ、ご飯食べよ?」

「んー、あと5分……」


 もうちょっとだけミーナに触れてたくて、眠りたがる小学生みたいなことを言ってしまう。

 こんなにドキドキするのに、ミーナの肌の温もりが、肌の香りが気持ちいい。体が、浮いちゃいそうなくらいに。


「本当に5分だけだからね?」


 そう言うミーナすらかわいい。唇を尖らせる姿も、膨らましたほっぺも。

 5分どころじゃなくて、もっと一緒にいたい。ミーナのこと、ずっと見てたい。

 そんなことを考えてしまう私は、病気なのかもしれない。



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