8日目(2)―温まる心
サークル合宿とかなんとかで、投稿が遅れてしまいました。
家族4人で、朝ご飯を食べる。
「雨だと時間かかるから、早く食べよ?」
「うん、わかった」
そう言いながらも、考えてることは、そんな事じゃなくて。
ミーナと、もっとキスしたい。二人きりの時間が、もっと欲しい。
最初から同じ家に住んで、同じ部屋で一緒に寝てるっていうのに。
人としてミーナと出会ってから、何回もキスしたのに。
こんなこと思うのって、贅沢なのかな、私。
でも、この気持ちを、止めることなんてできない。だって、もう、ミーナのことが『好き』だから。
ちらちらと、視線が勝手に横にいるミーナのほうに向かう。止めなきゃってわかってても、ふと気を抜くとすぐそうしてしまう。
ミーナと目線が合って、クスリと笑われる。そんなしぐさもかわいくて。……なんて、本当に、頭の中身、全部奪われちゃってるみたいだ。
ご飯を食べ終わって、時計を見ると、いつもよりちょっと早かった。
ミーナが顔を洗ってるとき、ある言葉をふと思い出す。
「猫が顔を洗うと、雨になるんだっけ。……よく今まで晴れてたよね」
そう言うと、ミーナが急にこっとを振り向く。
「もー、わたしもう猫じゃないって!」
「ごめんって、ちょっと冗談言っただけだよぉ……」
「分かってるよ、だからそんな謝らないで?……」
そんな些細な言い合いも、胸の中では甘くて。
浮かぶ『好き』って感情に、いつの間にか仲直りしてる。――きっと、ミーナも。
「ミーナ、早く着替えて学校行こ?」
「ん、そうだね」
私も顔を洗って、歯磨きも済ませる。
もう体はとっくのとうに人なのに、ほんのちょっとだけ残る猫みたいな行動に、私しか知らない、という優越感をくすぐられる。
二人で歩いてると、自然に手が繋がってる。最初はドキドキしたのに、今ではもう繋がってないと落ち着かなくなっていて。
好きな人の温もり、もっと感じてたい。そう思うのは、自然なことなんだと思う。
「ストーブ、付け忘れちゃったね……」
部屋に戻って、ひんやりとした空気に気づく。今まではなんとかなってたけど、今日は寒くて寝間着を脱ぐのがおっくうになる。
起き抜けにストーブを点けておくと、着替えのときには空気も暖まってるのに。
ミーナのこと考えてばかりいて、そんなことも忘れていた。頭の中は、どんどんミーナに満たされてく。
「寒いねぇ……、二人で、あったまろ?」
まどろんでた時に、言ってしまった言葉。それを、いきなり返される。
「ん、……そう、だね」
もう、顔が火照る。抱き寄せられた体は、服越しでもミーナの温もりがちゃんと伝わる。
あったかい。甘い。ドキドキしちゃう。
……でも、それだけ、ミーナのことが好き。
無意識に腕を背中に回していて、腕からも、優しい熱が体を溶かす。
近づいた顔に、自然と目を閉じる。そうしたのはきっと同時。
――ちゅ。
はっと気づいたのか、一瞬だけだったけど、体ごとあったまる。
ミーナの命を繋ぐためだけにしてたことは、私とミーナが『恋人』になってから、二人の心を繋ぐものになった。
「いっぱい、温まっちゃったね。……もう、熱いくらい」
「うん、……私も、熱いよ、これくらい」
ミーナの手のひらが、私のほっぺを撫でる。触れる感触はあるのに、あったかいとはそんなに感じない。それだけ、私も熱くなってるってこと。
「早く着替えなきゃね、遅刻しちゃうかも」
「そうだった……!」
慌てて制服とワイシャツを取って、着替えていく。もう1年以上も付き合ってきた制服は、割と早く着れるようになった。
ミーナの着替えが済んだのを見て、ちょっとだけ急かす。
「早く行くよ?」
「う、うんっ」
鞄を背負って。スマホも財布も入ってることを確認して、階段を下りる。
「「行ってくるね?」」
「行ってらっしゃい、忘れ物はない?」
「大丈夫だって」
そんないつもの会話を済ませて、雨が止まない外に出た。
55000字もついに突破です。
まだまだ、うちの書き物を二人のいちゃいちゃを楽しんでいってくれたら、それはとっても嬉しいです。