8日目(1)―あなたのもの
気が付いたら7日目だけで15000字使って、30回以上キスさせてました。
目覚ましの音に、私は叩き起こされた。
幸せな夢を見ていた気がするのに、何も思い出せなくなる。
「ん……、もう朝……?」
一人心地に呟いて。手探りで目覚ましを止める。今日も学校だけど、正直、まだ寝ていたい。
目覚ましを止めるために浮かせてた手を、ミーナの背中に回す。
やっぱり、あったかい。もうちょっとだけ、こうして、夢に溶けていたい。
「ん、……カスミぃ……っ」
ミーナの瞼が開いたと思ったら、寝ぼけた声で名前を呼んでくる。
「ミーナ?……起きた?」
「うん、……おはよう、カスミ」
また、ミーナの目が閉じる。その意味は、もう私には簡単にわかる。
「おはよう、ミーナ」
二人の息しか入らないくらい近い私とミーナの距離が、ますます近づいて。
……ちゅっ。
たった一瞬だったのに、それだけで心が満たされる。
初めてキスしたときにはなかった『好き』って気持ちが、溢れるほど私を満たして。
もう、眠れないくらい、ドキドキしてる。一番近しい関係になったっていうのに、そんなことで、また恋心が膨らんでいく。
「今日は、寒くなるみたいだね」
昨日の夜から降り始めた雨は、1日中続くらしい。雪にならないだけ、まだいいのかもしれないけれど。
「うぅ……寒いの、やだなぁ……」
そう言って凍える真似をしてるのが、たまらなくかわいい。
「じゃあさ、……二人でいっぱい温まろ?」
気が付いたら、こんな大胆なこと言ってて、顔が熱くなっちゃう。
「そうだねぇ、カスミ」
背中に回されてた手が、一層きつくなる。
顔が近づいて、条件反射みたいに目を閉じる。
唇の温もりを唇で感じるかわりに、ぷにぷにとした温もりが、ほっぺを撫でる。ミーナの髪が、肌を刺激する。
薄目を開けて見ると、ミーナが、私に、ほおずりしてた。
思わず、自分からも、肌の擦れる感触は、キスとは違うけど、確かに胸をチョコみたいに溶かしてく。
「ん、……あったかいね」
「そうだね、ミーナぁ……」
まだ朝だっていうのに、これから学校に行くっていうのに、ミーナの温もりに、蕩けてく。
そういえば、と、ちょっと前に聞いたことを思い出す。
「猫って、自分のものにほおずりして匂いをつけるんだよね?」
「うん、そうだよ?」
ちょっと前まで猫として生きてたミーナが、そういう意味でほおずりしたのなら。
「じゃあ、……もう、私はミーナのものってこと?」
そういうのに、ちょっと期待してしまう。恋する人に、そういうこと思われてるなら、私は。
「……もう、言わせないでよ、カスミぃ……っ」
そう言うって事は、……さっきのことは、そういう意味でしたってこと。
何もかも、ミーナに奪われてしまいたくなる。体も、心も、ミーナに溶かされて、思い切り愛されたい。
「ん、……私のこと、好きにして、いいよ……?」
一瞬で、心のスイッチが入っちゃう。もう、私には、ミーナしか見えなくなる。
そういう私にミーナがしてくれたのは、重ねるだけの優しいくちづけ。
「続きは、帰ってからにしよっか。……早くご飯食べて、学校行こ?」
「うぅ……、そうだね……」
その気にさせた癖に、ずるい。
でも、そんなとこも好き。頭の中に、勝手にそんな想いが浮かぶ。
私、いろいろミーナに甘い。それは、きっと、ミーナを恋をしたままだから。
まだ今日は始まったばかりなのに、いっぱいキスをして、ドキドキして。
このまま、ミーナのものにされちゃえばいいのに。自棄になったわけじゃないけど、そんなことを頭に浮かべてしまっていた。
これからも、まだまだよろしくお願いします。