7日目(12)―恋の炎
多くの読者の皆様に支えられて、この物語もついに40話目になりました。
まだまだ、よろしくおねがいします。
首筋を、腕を、胸元を、そっと撫でていく。ミーナが私にそうしたみたいに。
私の肌が触れて、声は漏れないけど、ミーナの息が荒くなってくのが動く肩でわかる。
やっぱり、私と、同じだ。半分こになった恋が一つにくっついたことの証明は、それに気づく度に胸をキュンと鳴らせる。
「ミーナも、すっごくドキドキしてるね……、かわいいっ」
さっき言われた言葉をそのまま言い返すと、思わない答えが返ってきた。
「仕方ないでしょ?……カスミのこと、好きなんだもん……っ」
「私も、一緒だよ、ミーナぁ……っ」
ミーナに感覚が刺激されてく度、『好き』って気持ちは一層強くなってるような気がする。
ずっとずっと、ミーナに恋してたい。恋い焦がれて、命が燃え尽きるまで。
そんなこと考えて、――もっともっと、ミーナと交わりたくなる。
顔が近づく。考えてることは、ミーナも同じみたいで、……自然に抱き合って、唇が触れた。
最初にキスしたとき、あんなにどぎまぎしてたのが、嘘みたい。
ちゅっ、と言う音が鳴って、唇から、ミーナの温もりが立ち去る。一瞬だった時間は、重なった瞬間だけ永遠に続くんじゃないかって思える。
『好き』って言葉は、魔法みたいに心を引き寄せてくれる。たった二文字の言葉なのに、私とミーナの間では、どれだけ言葉を重ねても足りないくらいの気持ちが伝わる。
「もー、カスミ?早く洗ってよぉ……」
「あっ……そうだったね、ミーナ、ここ座って?」
私が座ってた椅子に、ミーナを座らせる。ずっと膝立ちしてたミーナの膝頭が、回りよりちょっと赤い。
細くて白い、私から見ても綺麗だなって思う足を、そっと泡のついた手で撫でる。
ピクン、とミーナの体が反応するのを感じる。太ももの内側を触れてただけで、蕩けたような甘い声が漏れる。
「はぁ、……ん、カスミぃ……っ」
恋してる相手が、私に恋してる。それに気づく瞬間は、幸せで胸が満たされる。
そのまま足の先まで丁寧に泡の跡をつけていく。つま先のあたりでも、ちょっとミーナが反応してたのがかわいい。
触られるのって、本当にドキドキしちゃうよね。私も、おんなじで。
でも、その感触にすら酔えそうなくらい、好き。
「ミーナ、立って……?」
座ったままじゃ、洗えないとこがある。おしりとか、女の子の、一番大事なとことか。
立たせて、そこを触れ合うと、――なんだか、えっちなこと、してる気分になって、体の中がおかしくなりそうになる。
「んっ、……ねえ、なんか、こうしてると、……すっごいドキドキしちゃう……っ」
「そうだねぇ……っ」
ミーナも、わかるのかな。こういうこと。
生き物の本能に刻み付けられたことだけど、それはもともと女同士ですることじゃなくて。
「ああ、あのさ、シャワー浴びよ?もう洗いおわったでしょ?」
「う、うん」
でも、もう、ミーナの顔が真っ赤。
それは、私に、そういうこと、思ってるのかな。
だったら、いいな。そう思ってしまうのは、私もそうだから。
シャワーを出すと、水がすっかり冷たくなっていた。やっぱり、二人でいる時間は、チョコレートみたいに、甘くて濃くて、あっという間に過ぎていく。
ミーナが恐がらないようにしながら、そっとお湯を流す。
真っ白な泡で包まれてた肌が、そっと姿を見せる。
綺麗、としか形容できないような白い肌に、私はどうにかなってしまいそうで。
一通り流したあと、シャワーを止めずにフックにかける。
「ねえ、カスミ……っ」
震えるような声でそう言ったミーナは、もう唇を差し出していた。
「ふふ、……ミーナ、かわいい、……好き」
心の中だけで言ってたはずの言葉は、気が付いたら浴室に響いてて。
……ちゅっ。
二人の唇が一瞬触れあう音は、シャワーの水音にかき消される。
「そろそろお風呂上がろっか。……部屋で、いっぱいキスしたいもんね」
「う、……うんっ」
お風呂だけで何回もキスしたのに、まだ唇の温もりを唇で感じてたくなる。
ずっとずっと、ミーナに恋してる体は、まだ温まり足りない。そう思ってるのは、きっとミーナもで。
最後にもう一回唇を重ねて、ミーナの匂いが濃く香る浴室を出た。
この回で5万文字も突破しました。やりました。さすがに気分が高揚します。