7日目(5)―幸せなとき
自分の見間違えではないのなら、またブクマが増えていました。
皆さまからのブクマや感想、評価は書くための糧となっています。本当に嬉しいです。
家族とごはんを食べてから、また二人で一緒になる。
「美奈ちゃんと香澄って、本当に仲がいいわねぇ、本当の姉妹みたい」
お母さんにそうからかわれながら、今更みたいにミーナは私の義妹という扱いになってたと思い出す。
「そうかなぁ……」
つい、顔を見合わせて笑う。
私とミーナの仲は、そんな言葉ではとても表せないもの、――恋人同士だから。
そんな二人だけの甘い秘密を、ミーナと目で確認し合う。
「ええ、あ、香澄、お風呂洗ってくれる?」
「うん、わかった」
ミーナは先に部屋に戻ることにしたみたいだ。まあ、今も二人でじゃないと入れないくらい苦手だから、当たり前ではあるけど。
お風呂場で湯船を洗っていると、邪な考えが頭をよぎる。
二人でいつも入ってるから、キスとか、できるかな。
体を洗いっこするときに、ミーナに、いっぱい触ってもらえるかな。
そんな妄想に頭を浸らせていて、時間を忘れてしまいそうになる。
せめてもの償い、と言ったら大袈裟だけど、一番丁寧に洗っておいた。
「あ、カスミ、おかえり!」
部屋に戻ると、ミーナの声が迎えてくれる。
「うん、ただいま」
お風呂まではしばらくかかるから、今のうちに復習を済ましておく。と言っても、30分くらいだけれど。
それを済ませて、背中を伸ばす。重みが抜けたように身が軽くなる。
「そういえば、あのクッションどうしたの?」
ミーナのお気に入りだったクッションを、最近は触ってる姿を見ない。ベッドにはあるけど、最近は私のことを抱いて寝てるからその時もクッションにかまってることはない。
「うーん……、最近使ってないなぁ……」
「何で?」
「カスミのほうが、あったかくて、好きだからなぁ……」
思わぬ言葉に、頬が熱くなる。
「み、ミー、ナ……?」
向かい合わせだったのに、気が付いたらミーナの手に顔を向かされる。その視線の顔に、否応なく心臓がおかしなくらい跳ねる。だって、顔が近い。
「ねぇ、……キス、したくなっちゃった。……いい?」
「う、……い、いいよ……?」
そんなこと言われたって困る。……私も、ミーナの唇を、唇で感じたくなるから。
「ふふっ、顔真っ赤」
「うぅ……、ずるいよ……」
私がこうなってしまうのは、ミーナのせいなのに。
「そんなとこも、かわいくて、好きだよ、カスミ」
近づいた顔の距離が、0になる。
唇が重なって、反射で目を閉じる。
普段は同じくらいの高さの顔が、今はミーナのほうが高い。
そんな状況も、私のドキドキを増していく。
「……ちゅっ、……カスミ、好きだよ?」
「んんっ、……私も好きだよ、ミーナぁ……っ」
唇と唇が、紙一重の距離。
『好き』という言葉は、再びその距離を無くさせるには十分すぎた。
互いの『好き』って気持ちが、混ざり合って、溶け合って。
火照る体も、苦しくなる息も、跳ねる鼓動も、全部、気持ちいいって思ってしまう。
今、私、ミーナと、――『好き』な人と、キスしてるんだ。
今更のように沸いた客観に、酔っていくような気持ちになっていく。
こんなこと、もう何回もしてるはずなのに、まだ体は慣れないのか、力が入らなくなる。重なった唇も離せないくらい。
「「っ、はぁ……」」
ミーナから、永遠とも思えた時間は終わらされる。
外は寒いのに、体はもう汗が出るくらい熱い。
「早く、お風呂入りたいね」
「……うんっ」
汗も流したいし、――なにより、もっとミーナと触れてたいから。
一応学業というものがあるので、次回更新はもしかしたら来週すぎるかもしれません。すみません。