7日目(4)―きみのぬくもり
なんで二日連続で投稿しちゃってるんでしょうかね。自分も予想外です。
二人の家が見えてきて、ふと、ミーナの繋ぐ指が緩む。
でも、その手を、私から離すことはできないし、ミーナも、絡めた指を離そうとはしない。
そのまま、手を繋いだままドアを開ける。
「あら、おかえり。ご飯まで待ってて?」
そんな声にただいまと返し、2階のふたりの部屋に行く。仲がいいと思われてるから、こんなことも許されてる。
そうされてるのは、ありがたい。だって、――ミーナと二人きりでいられるから。
ただの『家族』でも、『姉妹』でもなくて、『恋人』であるミーナとの時間は、何にも代えられないくらい幸せだから。
「カスミ、ぎゅ~っ」
扉を閉めた途端に、いきなり抱きつかれる。私の周りだけ、温かい空気が満ちる。
「わっ、な、何……?」
「言ったでしょ?……帰ったら、ぎゅってしてあげるって」
あの約束、ちゃんと叶えてくれる。
「ありがと、……でも、とりあえず制服脱ご?」
「そうだね、へへっ、つい」
ミーナの腕が離れて、体から力が抜けてたのがわかる。
まだ、ミーナの顔は近くて、体が、ミーナのほうに向かって。
そのまま、唇が触れる。再び抱き留められる体は、さっきよりもずっと熱くなる。
「んぅ……、どうしたの、カスミ?」
「ごめん、……ぎゅってされたら、力抜けちゃって……」
「あっ、……また、ぎゅってしちゃった……」
温もりに包まれて、ドキドキするのに、意識が遠くなりそうなくらいほっとする。
「……わたしが、着替えさせてあげよっか?」
そんなこと。想像しただけで、――体が、おかしくなっちゃいそうなくらい、ドキドキする。
「う、だ、駄目だよぉ……」
でも、そんなことされたら、どうなっちゃうんだろう。
頭の中で、気になってしまう私もいて。
「なんてね、冗談だよっ」
その言葉に、ほっとして、なぜかがっかりする。
足に力が入らなくて、ベッドに座って制服を脱いでいく。
上着をクローゼットから取るのを忘れていて、しかもストーブを点けるのも忘れていたことに気づく。
「カスミ?今日着るの、これでいい?」
そんな声に、ミーナのほうを見る。そこには、着替えを済ませたミーナが、今日着るつもりだった部屋着を持って
いた。
「う、うん。ありがと」
顔を見られなかったのは、下着だけの恰好をミーナに見られてしまったから。お風呂で、いつも裸なんて見られてるのに、今、背中から変な汗が出てしまうくらい恥ずかしいなんて、なんだか不思議だ。
なんとか着替えを済ます。ストーブは、いつの間にかミーナが点けていて、温かい風がくる所で温まっていた。
その姿は、一瞬、猫だったときのミーナを思い浮かばせる。たった1週間前には、そんな風な姿をずっと見ていたということにびっくりしてしまう。
だって、人になったミーナと、いろんなことが起きたから。一緒にお風呂に入ったり、学校に行ったり。抱き合って寝たり、キスしたり、『恋人』になったり。
数えきれないほどの想い出を、この姿のミーナと作ってしまったから。
私も、一緒にあったまろうかな。ミーナの隣に座る。
ミーナが猫だったときの名残りの、ストーブの周りの柵の前。
生ぬるい風が、私とミーナの体を温める。
でも、それよりも、ずっと。
自然に重なった私とミーナの唇は、お互いの体を温めていた。
この回でついに4万文字突破しました。そろそろ『Just loving you.』2つ分の文字数になります。
これもきっと皆さまの応援のかげです。