6日目(4)―くちづけの魔法
まさかの3日連続投稿。
「あのね、ミーナ……、私、ミーナのこと、好き」
ミーナが、真っ暗にしてくれた部屋。それでもドキドキする。
もし、周りが明るいままだったら、心臓が破裂してるかもってくらい。
「わたしも、カスミのこと、好きだよ?」
「そうじゃないの……っ、ミーナと私の『好き』は、別のものなの……っ」
言った瞬間、胸が締め付けられる。それは、私の恋を、諦めるのと同じことだからなのかな。
「わたしは、カスミの『好き』って気持ち知りたいんだよ?……わたしと同じか、知りたいから」
ミーナの顔が近いの、肌の匂いでわかる。
「あのね、ミーナぁ……、私、ミーナのこと見てると、ドキドキしちゃうの」
言葉の堰が、切れた。
「ミーナと、もっと繋がってたいし、……『一緒にいたい』からじゃなくて、『好き』だからキスしたいの……っ」
「ねえ、カスミ?……私も、一緒にドキドキしたいし、キスしたいよ?」
「……え?」
思わぬ言葉に、言おうとした言葉が止まった。
「昨日、カスミにされたキスされて……わたし、すっごくドキドキしちゃったの」
「あ、ごめんね、私、……」
続けようとした言葉は、抱きしめられて封じられる。
「謝らないでよ、カスミ。……あのとき、びっくりしたけど、それよりもずっと、嬉しかったのに」
もう、何も言えない。だって、ミーナがあのことを「嬉しい」って言うなんて、思えなかったから。
「ご、ごめんね、ミーナぁ……」
ミーナの気持ちも、考えられなかった。一番近くにいたのに。
「それより、ずっと聞きたい言葉があるんだけど、わかる?」
頭を撫でられて、そんなことを聞かれるる。……分かったよ、ミーナの気持ち、ちゃんと。
「……『好き』」
「ふふっ、……当たりだよ」
私を抱く腕の優しさに甘えて、ミーナに寄り掛かる。
「私も、キスしていい?……昨日、カスミがしてくれたくらいの」
どうしよう、言われただけで、ドキドキが止まらなくなる。
「うっ……い、いいよ……」
でも、もう、体が、ミーナの唇を、熱を、求めてしまっている。
「よかった……、じゃあ、いくよ?」
そっと、ミーナの顔が近づく気配。ぎゅっと、目を瞑って、ずっと待って、――
……ちゅっ。
唇が重なってから、私の体は甘く溶かされてく。
ミーナの方から重ねられた大人のキスは、私から重ねたときの何倍も気持ちいいって思ってしまう。
私の体が、愛されるためにできてたからなのかな。それとも、ミーナのキスが上手いのかな。
それとも、私の想いを、ちゃんとミーナが受け取ってくれたから、なのかな。
ずっとずっと長いキスに、息が続かなくなりそうで。呼吸を忍ばせようとして、私の口から漏れたとは思えない声が出る。
私とミーナの境界が、曖昧になっていく感覚。
ちゅぷちゅぷと、二人の気持ちが交わるような水音が鳴る。
まるで永遠とも思える時間は、ミーナがそっと唇を離して終わる。
「ねぇ、今ので、わたしのこと、嫌いになった?」
「そんなこと、ないよ、……っ」
「……わたしも、同じだよ?」
あの時のこと、そうやって許してくれる。
「「……んぅっ」」
「ありがとう」も「好き」も言ってないのに、自然と、唇が重なる。『好き』の意味が、重なるみたいに。
何も言ってないのに、もう一回、深いキスを交わしていた。
体に力が入らなくなって、そのままミーナに押し倒されたみたいになる。唇が離れたのが、ちょっと名残惜しい。
「んんっ、はぁ、ミーナ……っ」
「カスミ?……もっと、ドキドキしよ……?」
余裕がなくなってくみたいに、ミーナのキスはどんどん激しくなって。
夢みたい、体が、ふわふわと浮いちゃいそう。それくらい、ミーナのキスは甘くて、激しい。
好きだよ、ミーナ。
自然とそう言えちゃいそうになるくらい、体が蕩けていく。
「いっぱい、キスしちゃったね……」
「うん、……」
夢か現実かもわからなくなるくらいミーナに溶かされて、二人で布団に潜り込む。
手が、自然と抱き合っていたのが、心の底に残るくらい嬉しい。
「おやすみ、カスミ」
「うん、……おやすみ、ミーナ」
体を包むミーナの温もりに、自然と夢に落ちていった。
昨日の「すごいことが起こりそう」というフラグ、ちゃんと回収しておきました。