5日目(4)―溢れてく
ブクマ40件突破、デイリーカテラン入り。
また、多くの幸せを皆さまからいただけました。ありがとうございます。
これからも、この書き物を応援してくれたら幸いです。
「ごめんね、今日の分のノート見せて?」
「いいよ、……そういえば、調子はどう?」
「うん、まあまあかな」
本当は、まだ体中が、ミーナを思う熱で熱くてドキドキする。
保健室の先生からは、この恋がいけないものじゃないと言われたけど。
溢れそうになる欲望は、その言葉すら無に帰そうとしていくような気がしてくる。
だって、……ミーナと、重ねるだけのキスより先の、もっともっと深いことしたい。
そんなの、私の勝手だ。『私と一緒にいるため』にキスをしてるミーナには、そうしたくなる理由なんてあるはずないんだから。
こんな気持ちを勝手にぶつけてはいけない。それくらいはちゃんと分かってる。
分かっているはずなのに、体の奥底の、ドロドロとした部分は、痛いほど強くミーナの熱を求めてる。
何もかも、周りに引っ張られるように1日が過ぎていく。
流されるままに味の感じないご飯を食べて、ミーナに引っ張られるままに部屋に戻る。
「カスミ、また、ぼうっとしてるでしょ」
「ごめんね?ちょっと考え事してて」
他でもない、ミーナのこと。汚してしまいたいと思ってしまう気持ちは、私の体を底なしの沼に沈めていくくらい大きくて。
「お風呂入ろ?こういうときは、早く寝るのが一番だよ?」
「うん、そうするね」
寝てる間は、そんなこと考えなくても済むかな、とありがたくそれに乗っかる。
――でも、一つ忘れてた。ミーナがお風呂が苦手だから、いつも一緒に入ってることを。
背中を流しあったり、二人じゃ狭い湯船に二人で浸かったり。
触れる素肌とか、濃く香るミーナのにおいとか、反響していつもより色っぽく聞こえる声とか、そんなのに、私の体は敏感に反応していって。
ドキドキしすぎて、何かしてしまいそうになってしまう。
そんな大きすぎる気持ちも、ミーナは気づかない。気づかれないようにって、ずっとこらえてるから。
それも、ちょっとのヒビで壊れてしまう関係を、傷つけてしまうのが怖いだけ。
「ね、カスミ?どうしたの?」
「なんでも無いよ、ごめんね?」
ごめんね、ミーナ。
私が、自分勝手に、ミーナのこと、傷つけてしまうこと考えてて。
大好きなはずなのに、――いや、『好き』になりすぎてしまったから。
お風呂も上がって、身支度も済ませて、もう寝る寸前。
電気を消して、同じベッドに潜り込む。
「おやすみ、……あ、待って、カスミ」
「な、何?」
「今日の分のキス、まだしてなかったの」
不意に言われた言葉に、顔が火照る。きっと赤くなった顔は、気づかれてはないはずだけど。
「うん、いいよ……」
ドキドキで心臓が止まりそうになるけど、それでもミーナと一緒にいたい。
目を閉じて、ミーナの唇を待つ。
……ちゅっ。
重なったミーナの柔らかな温もりに、何かが音を立てて切れる。
その瞬間、ずっとこらえていた気持ちが、体中に溢れ出した。
本当に香澄ちゃんはどうなってしまうのか書き手の自分もハラハラしながら見守ってます。