4日目(6)―消せない衝動
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「カスミ、お昼寝しよ?……具合悪いときは、いっぱい寝たほうがいいし」
「う、うん……」
正直、そうしたほうがいいと分かってるけど、あんまり眠れない。
だって、私がこうなってるのはミーナのせいなのに、いつも添い寝してくるから。
「もう、ミーナまで寝ることないのに」
「だって、好きなんだもん」
毎回のように後ろ抱きにされていて、――私といるのが好きなのかな、なんて、都合のいいように解釈してしまおうとする頭にブレーキをかける。
猫のときから、眠るのが好きだったし、……もし仮に私が『好き』だからそうしてたとしても、きっと、私の『好き』とは違う。もし私がミーナの立場だったら、添い寝なんてできない。ドキドキしすぎて、心臓が止まってしまいそうなのだから。
現に、ミーナは私を抱いたまますやすやと寝息を立てている。その微かな息が肌に触れる度、胸の奥が変に跳ねていく私とは裏腹に。
……やっぱり、想いは、届かない。届くはずのないものだと、頭ではわかってるはずなのに、いざその事実に向き合うと、心に、棘が深く突き刺さる。
手持無沙汰に、スマホを開いて眺める。試しに、『恋』について調べてみた。
特定の誰かに惹かれて、触れたい、繋がりたい、という感情だと、見ていくサイトには大体そういう事が書かれていた。……私がミーナに抱いているドロドロとした気持ちは、まさしくそれで。
私が、ミーナをどうしたいのか、気づいてしまった。
もっと、ミーナと触れてたいし、ドキドキしたいし、『一緒にいるため』だけじゃなくて、『好き』を伝え合うようなキスしたい。
でも、やっぱり、というか、『異性に』持つ気持ちである、と書かれていたものが多かった。
私もミーナも、女だから、この『恋心』は、行き場をなくしていく。
他の人からみたら、この気持ちは、ただの気の迷いとかなのかもしれない。それを、ミーナに思われたりしたら、なんて考えてしまうのが、とてつもなく恐い。
毎日キスをしないと、もう会えないというくらい脆い存在だから、いなくなってしまう可能性が、ほんのちょっとのことでありえてしまうから。
心の中のミーナという存在が、胸の中で大きくて、少し動くだけで痛むから。
それなのに、毎日するキスに、触れられる体温に、想いは膨らんでいってしまう。
痛くて苦しくて、気持ちいいと錯覚してしまうほど高鳴った胸の鼓動は、気が付いたら収まらなくなる。
体の向きを変えて、ミーナの顔を見つめる。こうしてみると、――かわいい。好き。キスしたい。ドキドキしたい。
本能から溢れる衝動というか、欲望というか、そういうものに憑りつかれたみたいに顔を近づけて。
……ちゅっ
熱くて、何かがこみ上げてく感覚。
安心感、快感、背徳感、高揚感。そんな感情がごっちゃになって、頭の中を何も考えられなくする。
一瞬で離したはずなのに、体から、力が抜けていく。
ミーナと、体が重なり合う。髪の香りとか、肌の温もりとか柔らかな感触とか、ドキドキして、ほっとして。
相反するような感覚は、私の中では違和感なく混じりあう。
ミーナが寝てたからこそ湧いた勇気は、一瞬で消えてなくなる。
一瞬で寝がえりを打って、ミーナの体を見ないようにする。
どうしよう、私。……ミーナに、勝手にキスしちゃった。
これまでもしたけど、これはお互いの合意があったし、『一緒にいたい』と思いあってたからで。
自分に対して嫌気が差す。欲望を無理やり満たそうとした自分にも、抱いてしまった想いも。
せっかく、ミーナが気を遣ってくれたのに、私はそれを裏切ってばかり。
こんなことになるんだったら、ミーナのこと、最初から奪っていってよ、猫又様。
あれ?4日目やたら長くね?