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4日目(4)―壊れてく

今日で第1話投稿から丸2か月ですわぁぱちぱち。

ブクマが25件もあってありがたい限り

「もう、起きた?」


 そう言うミーナの声で、目を覚ます。

 目を開けると、すぐ傍にミーナの顔。


「うわぁっ!う、うんっ……」


 いきなりのことで、もう胸の奥がバクバクと鳴っている。


「もう、……そんな声出されたら、わたしもビックリするよぉ……」

「ごめんね、いきなり声聞こえたんだもん」


 意識しているって気づいてしてしまってから、体はもうミーナの情報でいっぱいになって、過剰反応してしまう。


「まだ、顔赤いよ?大丈夫?」


 そんな間近で、まじまじと見つめられてるからなんて言えない。


「うん、大丈夫だって」

「もう、つらかったら、ちゃんと言ってね?」


 軽く抱くミーナの腕に、思わず体がぴくりと跳ねる。

 まだ、触れられて感じてしまうのは変わらない。

 身を起こされて、その手に触れられるだけで胸の奥が熱くなってしまうから、できるだけミーナのことを考えないようにして。


 ――でも、そうすると余計に、ミーナのこと、脳裏に浮かんで離れない。

 『好き』という感情が、身を焦がしていく。

 辛いけど、こんなこと、言えない。

 好きすぎて、胸の奥が苦しいなんてこと。

 

「もうお昼だよ、ご飯、食べれそう?」

「うん、ちょっとは……」


 嘘。まだ、全然食欲なんて沸かない。

 ミーナを心配させまいとしてつく嘘は、全部自分をささくれ立たせる。

 どんどん自分を汚していく想いも言葉も、嫌になってしまう。

 ミーナを好きになってしまったのが、どうしようもなく辛い。


「じゃあ、行こっか」

「う、うん……」


 そういわれても、起き上がる気力も湧かない。

 ふさぎ込んだわけじゃないけど、体が動くのを拒否してるみたいだ。


「もう、行くよ?」


 手を引っ張られて、やっぱり肌を触れる感触にどきりとする。

 さすがに身を起こさないわけにはいかない。のろのろとベッドから這い出る。


「うん、ごめん……」


 眩暈でも起こしたみたいに、頭がくらくらする。

 胸元に届く髪を撫でつけながら、ミーナの言葉を聞く。


「最近、どうしたの?元気ないし」

「うーん、……ちょっと風邪でも引いたのかなぁ……」

 

 なんでこんなことになってるのかなんて、とっくのとうに分かってる。

 私が、ミーナに、許されない、叶うはずもない恋心を抱いているから。

 でも、誰にも伝わるはずのない、いや、伝わってはいけないものだっていうのも、知ってしまっている。今にも壊れそうになっている心の中を、はち切れそうなくらいに満たすこの気持ちは。


「わたしも看病するから、早く治してね?」


 ミーナが看病してるかぎり、絶対治らないと思う。

 だって、私がこうなってるのは、ミーナのことが頭から離れてくれないからだから。

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