第28話 新たなる相棒
鑑定に怒りを感じていたおかげで卵のほうに魔力を込めすぎてしまったようだ。
さっきまで動いていなかった卵がモゾモゾと動き出している。
もう一息と思ったらしいディクも魔力を強めたので同じくらいに調節したところ卵が割れた。
「ぴぎゃう!」
中から出てきたのは犬?狼?
「……フェンリル」
フェンリル?フェンリルって幻獣のフェンリルかな?それにしては白くないな。
足のところが黒い靴下履いてるみたいだし、青い澄んだ目は黒い毛で縁どりされてる。
よちよち歩いてきたフェンリルを抱えてみる。
あ、背中にも黒い毛で模様がある。
「あなたはフェンリルなのですか?」
「ぴぎゃう!」
そうだ!とばかりに私の顔に鳴きながら頭を擦り付ける。
なにこれ可愛い。
「……多分、俺とゼルの魔力が混ざってこの模様になった。」
なるほど、闇と光の魔力を受け取ったためにソックスになったのですね。
「可愛いから良しとしましょう!それより名前をつけなければなりませんよ。」
ペットには名前をつけなければいけません!
光と闇、天使と堕天使……もういっそのこと名前から取るか!
ディクテノールとネーゼルだから……ノール?クディール?ゼルティ?なんかどれもしっくりこない。
んー……、あ!ディゼル!!ディゼルにしよう!
ディクの名前に近いし気持ち的に好きだな!
「よしっ!君の名前はディゼルです。よろしくお願いしますね。」
いつの間にかディクのところで一緒に戯れていたディゼルに言うと嬉しそうにまた頬に頭を擦り付けてきた。
かわいいやつめ。
名前が決まったところでこれからの事を考える。
ノリでとなり町に来たはいいが次の予定がないのだ。
このあたりを詳しくないし、取り敢えずふらふら旅していい国があったら定住しようかな?
ディクはどうするかわからないけど、旅についてくる気まんまんだし。その時はその時でいっか!
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町にあった小さいギルドで依頼の精算をし、今度は隣の国ラドリックへ向かう予定です。
隣と言っても広大な森をはさんだところで移動には時間がかかる。この前までいたテレジナス王国もすごく素敵なところだったけどこのまま戻るよりラドリックへ行くほうが冒険者!って感じがするからそのまま行く事にした。
一応ディクにも聞いたけどディゼルと遊ぶのに夢中なのかこくこくとテキトーに頷くだけだった。
手だけがせわしなくディゼルを撫でていたけど。
隣国までは流石に遠いからと馬を借りようとしたが馬の方がディゼルを怖がって結局徒歩になった。
でも、私は思いました!
私達って翼はえてるよね?っと!
ある程度いった森から飛びました。
人を感知するサーチの魔法を使ったが反応はなかったので大丈夫でしょう!
ほとんど行ってあと歩きで2日!って所で事件が発生。
どうしてこうなったのだろう……。
何で今私達はテレジナス王国の王族と馬車に相乗りしているのでしょうか?




