4.か弱い乙女は幽霊さん
□ 第4章 か弱い乙女は幽霊さん □
目が覚めると目の前には見慣れた天井があった。
シェイドはソファーの上で寝てしまっていたのだ。彼はベッドで寝るよりソファーで寝ることの方が多い。何故か、理由は単純だ。“ ベッドに行くのがめんどくさい ”からだ。
「 ...ッ......っく.........ふぇ...ぇっ...ん...... 」
すすり泣くような少女の声がする。
最近よく聞くのだが、声のする方に目を向けても誰もいない。
きっと俺は疲れてるんだ。
そう思い込むようになった。
これは幻聴。何も聞いてない。そう自分に言い聞かせるのだ。
「 あーあ、そうやって何もしねぇから、いつまでもここに居座っちまうんだよ〜。 」
突如、背後から男(?)の声がして振り返る。
そこにいたのは、あの“ 喋るネコ ”。
「 あ?お前まだ慣れねぇのな。もう2日も前からここで暮らしてんのになぁ。 」
まだ2日しか、だろうが。なんて口にはしないが。
「 おい、勝手に俺のワイン飲むな。 」
当然のように、注いであるワインを飲もうとする猫の目の前から、スッと奪い返すとワインを一気に飲みきる。
「 ケチだなぁ〜、一口くらいいいじゃないか! 」
何を言ってるんだ、この猫は。
これは、なかなか手に入らない高級の赤ワインだ。そして...
俺の唯一の大好物!!!!
表情や態度には出ていないだろうが、恥ずかしくなったシェイドはゴホン、と1つ咳払いをした。
「 で、居座るってなんだ? 」
「 やっと本題かよ。 」
やれやれ...と小さく漏らした猫を横目にソファーに腰をかける。
猫は俺の目の前、テーブルの上に座った。
「 お前、本当になんも見えねぇのか? 」
「 ...どういうことだ? 」
「 本当は見えてるんじゃないのか? 」
「 言っている意味が理解出来ない。 」
「 じゃあ、はっきり言うぞ? 」
最初から言え。という言葉は飲み込んだ。
ここで機嫌を損ねられると困るし、面倒だ。
「 ここに女の幽霊が住みついてるだろう? 」
一瞬、この猫の言ってることが理解出来なかった。
理解出来た途端、何故だか笑いが込み上げる。
「 笑ってる場合か?お前、このままだと死ぬぞ。 」
「 何を馬鹿なことを。そんな事あるわけないだろう。第一、幽霊なんて見たことない。 」
けれど、それを言った時の猫の表情は真剣だった。
「 まぁ、死んでもいいんなら俺は知らないけどな。お前が死のうが俺には関係ない。 」
「 ...信じはしないが、覚えておく。 」
少し考えてそれだけ言った。いつの間にか猫につられてシェイドの顔は真剣だった。それを見た猫は
「 好きにしろ。 」
と、少しニヤッと笑って言った。
その夜からだろうか。
いつもより鮮明にはっきり女の泣き声が聞こえるようになった。
翌朝、アウルに「 女の泣き声が聞こえないか? 」と聞いてみたが、彼女は首を横に振った。
「 貴方には、女の泣き声が聞こえるの? 」
馬鹿にされるかと思ったのだが、彼女が詰め寄って来たので、さり気なく彼女を遠ざけた。
「 ...キミが連れている猫に言われた。 」
「 なにを。」
「 このままだと死ぬ、だそうだ。 」
「 じゃぁ本当なのね、あの噂。」
ぽそりと呟いた彼女はすぐに部屋を出ようとする。
「 待て。 」
「 なに? 」
「 噂ってなんだ。 」
アウルは、キョトンとした顔をした。その瞬間、腹を抱えて笑い出した。
「 ...何がおかしい? 」
「 貴方、周りを邪険に扱うって本当ね!だから、噂を聞かないのよ。 」
だから何が言いたいんだ。俺は、必要以上に他人とは関わりたくはない。
「 この屋敷にはね、何十年も昔に不慮の死を遂げた女の子がいるのよ。 」
アウルは1枚の写真を目の前に差し出す。
シェイドは写真を見てハッとした。
「 彼女の名は、レイリル。元々メイドをしていた一般の女の子。 」
見覚えがある。どこで見たのかはよく覚えていないが、彼女を知ってる気がした。
「 この女の子、まだ現世に留まってるんだそうよ。 」
「 それはどういう... 」
アウルは、シェイドの話を遮って写真を持ったまま部屋を立ち去ろうとした。
「 ...死なないでね。 」
それは、どう受け取ればいいのだろうか。
この時の俺は、まさか彼女に命を狙われているなんて知らない。
暗い暗い部屋の中で1人の少女が泣いている。
なぜ泣いているのかわからないから、何も出来ない。
嗚咽とともに聞こえてくる声は、悲しそうで今にも消えそうな怯えた声。
「 ...っく.....だ...れ......?.........ぐす... っ...... 」
顔を上げた少女は、写真で見た、見覚えのある少女。
......思い出した。
見覚えがあるのは、当たり前だ。
俺は、あのとき...
読んでいただき、ありがとうございます(*´ー`*)
どうでしたか?
今回は幽霊少女のお話です。
まだ本題に入っていないので、お話がよくわからない、という人もいるかもしれないです( ˊᵕˋ ;)
これからわかって頂けるよう、頑張ります(๑•̀ㅁ•́๑)✧
次回も読んでいただけると嬉しいです\(●°∀°●)/
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