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プロローグ
■ プロローグ ■
世界中の何処を探しても見つからず、存在するわけのない幻のようなものを、私は手に入れてしまった。
他人から見れば、「 羨ましい 」と思ったり「 ずるい 」と思ったりするのだろう。
私からすれば、こんなもの「 いらない 」し「 あげたい 」と思うのだ。
神様は理不尽だ。そう思うのは、私だけだろうか。
何時だったか、止まることのない時間の中で、時を刻み続けることのできない私に、誰かが言った。
『 シェイド・ヴィーナスレイド。キミは其奴のことを殺す宿命だ。忘れるな。 』
そんな人、知らない。私には何の関係もない。…そのはずなのに、顔が自然と頭に浮かぶ。
違う、こんな人知らない。彼はこんな顔じゃない。
私は怖かった。怖くて怖くてたまらなかった。
そんなことお構いなしに、平穏に平然と日々は過ぎていく。
こんな世界、壊れてしまえばいい。こんなに残酷で醜い、穢れたこの世界など。