勇者イサキの鍛高譚
勇者だれそれの鍛高譚
俺は紫蘇である。紫蘇であり魚である。
そう、魚に目が無い。
ある日俺(イサキ:スズキ目)が泳いでいると、水面に光る不思議な円が目に入ったのだった。
これってまさか、召喚魔法陣? とか思ったとか思わなかったとか。
まあ、結局、水面にはいかなかったんだけどね。
だって、あれですやん? 魚ですやん? 俺ってば魚ですやん? (似非関西弁)
光に釣られて水面に言ったら、漁師が投網で捕まえてくるって、ほたるいかのほっちゃんからきいたことありましたけど。
そのあとほっちゃんは美味しくいただかれました。
つまりそういうことだ。
暗転。
俺は、気が付くとあそこにいた。
神殿的なとことの、神殿的な部屋だ。
「勇者様、世界を御救いください……」
白いスケスケのケープ? ケープって何? ケープじゃないな、ドレスだな。ドレスというかローブだ。
ドレスを着たお姫様的な神官少女が、俺を見るなり云う。
ここで少女のその他の衣装について説明しよう。
服を着ていた。以上。
「あなたの力で世界を御救い戴くために、召喚してしまいましたごめんなさい。
もう二度としませんから許してくださいごめんなさい」
「よかろう、許す」
肺呼吸が出来るようになったのが俺のチートらしい。
あと、足が生えた。ひれが手になった。
陸上で暮らせるには十分だ。
だが、俺はまだ世界を救うだけの力はない。
だから修行が始まる。あと、竜玉探しだ。今風に言うとドラゲボー。
ドラゲのほうは結構あっさり見つかった。
7つ集めると生ビール一杯サービスだ。だけど、二杯目以降にしか使えないらしい。
それはそうと修行は捗った。
俺は、全世界のために、剣術と棒術と、あと魔法を身に着けた。
「ちょっと、さっきの人いますか?」
初対面で名前を聞くのも忘れていたので、俺はさっきの人を呼んだ。
「はい、勇者様、まだいらっしゃったのですか?」
「うん、修行してた。修行してたから、お腹が減っちゃった」
「あいにく」、ここは湊町(作者注:港のご返還です)です。お食事は魚介類がメーンになりますが?
そうか。じゃあ、それでいい。
「わかりました。すぐにご用意いたします」
出てきたのは鯛や鮃やマイオドリだ。マイオドリというのは、この世界に住む、烏賊のような海産物だという。
俺は舌鼓を打つ。
ぽーん、ぽぽぽーん。ぽぽぽぽぽーん。
良く考えたら、俺ってば設定上は魚だから共食いになるところだった。
調べてみたら、鯛は、スズキ目だからアウトだった。だめじゃん。
まあいいさ。だめならだめで、そんときゃそん時だ。
仕方がないので、俺はわさび醤油で鯛に舌鼓を打つ。
「すいません、ラストオーダーになります」
さっきの女だ。
よくみると、白いケープにみえていたのはエプロンだったか。
そうか。異世界に召喚されたのではなく、の割引券を貰って、入店したのだった。
「じゃあ、たんたかたんください。ボトルで」
おわり。